読書レビュー:のり平のパーッといきましょう


聞き書き・小田豊二 と、なっています。

10年ほど前に日本一(世界一)の切られ役・福本清三さんの聞き書きを同様にヒットさせた編集者です。

福本さんのハリウッドデヴュー(ラスト・サムライ)の効果もあって、続編も作られた佳作です。

しかし、こちらの方が完成度は高いと思います。

まさに聞き書き、三木のり平の口調、所作を彷彿とさせてくれます。

少し前までは「エンタの神様」などをちょくちょく観ていたのですが、最近はテレビ自体をほとんど観ていません。

この本は全芸人(お笑いだけではない)が、須らくバイブルとして持つべきだと思います。

もっとも全員が三木のり平でも困りもんですが。

芸人としての矜持の持ち方を教えているように思います。

聞き手を通して、芸人とは何かと問いかけているようにも思います。勿論、ビートたけし同様江戸っ子のシャイさで、そんなことはおくびにも出してませんが、ボクの勘ぐりです。

にしても、三木のり平というのも想像するに、後輩としては怖い存在であったのだろうと思います。

小田豊二さんはよくぞここまで肝胆相照らす仲になれたもんです。

当の三木のり平さんがそう言って感心してるのだから間違いない。

このタイトル「パーッといきましょう!」はご存知東宝喜劇の「社長シリーズ」中に演じた当たり役の宴会部長の決め台詞。

もっとも三木のり平を端的に表す流行語です。

しかし、ご本人はその映画をあっさり否定?してしまいます。

社長シリーズなんてクソだよ・・・と。

そこまで言うか?

どこまでが本音かは知りませんが、のり平師にとっては舞台(ライブ)こそ至上のものらしい。

本名田沼則子(ただし)。この名前から女性だと思われ、終戦の5日前まで召集令状が来なかったらしい。

で、戦後、遊びはひと通り、というか生まれ育ったのが花街。

一時ヤクザの一家に身を寄せていたということも語っています。

「遊びは芸の肥やし」を地で行った人です。

しかし、巻末近くに掲載されている奥さんとの(結婚後!)の往復書簡(ラヴレター)の素晴らしさ!!双方に文才があるので、個人的なものなのに読ませてくれる。

写真も多く掲載。

一緒に写っている面々がまたすごい。

森繁・フランキー・淡島千景・乙羽信子・大村崑・藤山寛美・・・

写っているご自身の表情・躍動感も感動します。

小田さんъ(゚Д゚)グッジョブ!!です。

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