映画レビュー:強盗放火殺人囚


著者 :
東映ビデオ
発売日 : 1988-04-08
しかし、このタイトルはもうちょっと何とかならなかったのでしょうか。

「強盗」で「放火」で「殺人」の「囚人」です。

ただの人間のクズでしかないですよね。

こんな映画の主役なんか誰がやる?

はい、松方弘樹です w

松方弘樹主演の東映脱獄路線(そんなのがあるかどうか知りませんが)。

『脱獄広島殺人囚』 『暴動島根刑務所』に続く3作目です。

前二作と較べても、無駄にキャスティングが豪華な気がします。

演技陣を書き出すだけでもお腹いっぱいになります。

その分、ストーリーの迷走ぶりがスゴイ。

これぞ70年代東映プログラムピクチャの醍醐味!

☆ ☆

今はカタギになり、飲食店をやっていたのですが、何の間違いか刑務所に入ってしまった松方弘樹。

シャバでは異常に色っぽくてキレイな妻ジャネット八田が待っています。

模範囚なので、仮釈放の内定が入り、それを面会にきたジャネットと楽しそうに語らう松方。

その隣ではなぜか聾唖者の囚人@蓑和田良太と手話で面会しているこれまた聾唖者の志賀勝。

必要なのか?このシチュエーションは?

その手話を見て、看守@小島三児が「規則だから、筆談しなさい!」って、ギャグっぽいんですが。

その他にも放送禁止用語満載なので、DVD化は難しいかも知れません。その前にニーズがないかも。

このようにこの3作目は前作と比較してかなりコメディ要素が高いです。

まあ、コメディというよりは正確に言うと単発ギャグなんですが。

演者の濃さと、シリアス(?)とギャグの波状攻撃が作品をより一層カオスな状態に発酵させていきます。

☆  ☆

もうすぐ仮釈放なのですが、仲間に頼まれた松方弘樹は刑務所内で印刷されている、難関医学大学の入試問題(゜o゜; を塀の外へと投げ出します。

拾ったのは、その問題の横流しで大儲けを企むヤクザ。

松方弘樹にそれを依頼する仲間というのは、上記ヤクザの内通者:岩尾正隆。

なんというか、囚人の中でもいじめ役とか特に悪い囚人演らせたら、世界中で右に出る人はいませんね。岩尾さん。

☆  ☆

特にこの辺りの映画前半に出てくる俳優陣が”特濃”です。

松方弘樹の周りにいるのが、殿山泰司・石橋蓮司・前田吟・川谷拓三・・・

前田吟は初っ端から印刷機を操作してるので、どうしても違う映画シリーズを連想してしまう。しかも、川谷拓三と義兄弟の在日コリアンという設定。呼び名は当然の如く「アリラン」拓ボンと二人で朝鮮語でのやり取りを頑張ってますが、どう聞いても朝鮮語には聞こえない。残念。

そしてさらにスゴイのが看守や所長の皆さん。

小松方正・菅貫太郎・沼田曜一・西田良・阿波地大輔・・・

しかもこの人達(前3人)がほとんど端役扱い。

菅貫太郎だけはヒットラーそっくりの謎なメイクで頑張ります。いわゆる怪演(ノリノリ)。

松方弘樹を拷問するからヒットラーなのかな。

一方、小松方正が珍しくおとなしい淡々としたセリフ。

沼田曜一に至っては、セリフが二言三言のみで、本日閉店。

なんか、たまたまスタジオに遊びに来てたのか?みたいな感じです。

かえっていつもはインパクトだけであまり目立たない西田良・阿波地大輔が大活躍。

ほんとにこれだけでお好きな人は大満足でしょう。

☆  ☆

さて、仮釈放で松方弘樹に出所されては、極悪アルバイトに支障が出て困る岩尾正隆は、裏から手を回して、出られなくします。

それが分かってキレた松方弘樹は岩尾正隆をボコる。

さらにその仕返しをするために岩尾が懐柔したのが、「怪物」然とした・・・

はい、満を持して若山富三郎登場。

前科何犯かわからないけど、ほぼ一生出られないであろう、漫画のような化け物囚人。

大好物の酒一杯で松方を殺しそうになり、二人で別の刑務所に移送されます。

それを襲撃したのが、試験問題横流し黒幕:遠藤太津朗の配下。

辛くもその襲撃を逃れた二人ですが、なぜか急に男の友情が強く芽生えます。

「夜の大捜査線」のような、葛藤の描写とか一切なし。

東映的ご都合主義で、若山先生もさっきまでの怪物ぶりから一転して、いつもの憎めない島村清吉や熊虎親分になってしまいます。

☆  ☆

なんせ、ほとんどヤクザと警察関係と被害者しか出てこない、条件の限定されたお芝居です。

それから、もうこれでもかというくらいの場面転換があり、着地点が見えないままラストに向かって行きます。

好きな人や深夜の3本立てで寝たい人には良いでしょうが、普通の観客は多分置いて行かれるでしょう。

☆  ☆

印象に残ったシーン。

◎エロ&バイオレンス

お色気担当はジャネット八田・春川ますみ、あともう一人、遠藤太津朗の娘・森田めぐみ(知らない)

松方弘樹がハッスルハッスル!

正司照枝も出てますが、もちろん、お色気は担当してない。

◎遠藤太津朗の名演

松方弘樹に娘を人質にとられた遠藤太津朗が、その脅迫電話で流す脂汗。

ウソみたいに途中からダラダラ流します。これが演技だとしたら凄いです。四六のガマです。さすが遠藤太津朗!

◎念願の柔道対決

警察官の宴席に暴れこんだ若山先生。警官とは知らず、酒肴を蹴倒します。

上座でご機嫌だったのが、大前均。

若山先生vs大前均。有りそうでなかったマッチメイク。

両者ともにガチで柔道有段者。

さすがにゴツい若山先生も大前均と対峙すると分が悪い。

登場時の怪物性が消え失せてる若山先生は、ストーリー上、大前均の腰投げ二発で松方弘樹がタオル投入。

実際は大前均はびびってたんじゃないかなあと想像されます。

でも、いいもん観られました( ゚∀゚ )

☆  ☆

最後はまあ、東映らしい終わり方。

最後に松方弘樹がジャネット八田に「女には一生わからんわい!」と言い捨てますが。

いや、男でも分かりません。かなり特殊な価値観だと思います。

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