読書レビュー:スマホ断食


藤原智美という人は名前のみ知っていましたが、著作を読むのは初めてでした。

芥川賞作家ですが、エッセイの方が人気があるようです。

こちらの本も小説ではなく、ITにおける趣味・実用の分野です。

タイトルは「スマホ断食」ですが、さらに拡大して「ネット断食」としたほうが、内容には即すると思います。
現在最もスポットライトが当たっているデバイスとして、象徴的に「スマホ」が使われているようです。

大方の主張はほぼ、私も同調できます。

IT分野の書籍はすぐに賞味期限が過ぎてしまいます。まさにアッチューマです。

よほど本質を捉えたものでないと、上っ面の現象を論じていると、1年で読む価値がなくなってしまいます。

ベクトルを示し、タブレットやスマホ(iPhone)を作ったスティーブジョブスの凄さを改めて感じます。

そのジョブスの作ったAppleやビル・ゲイツのMicrosoft、そしてラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって作られたGoogleはまさに新たな地平を切り開いたと言えるでしょう。

しかし、そのGoogleなどを信奉することに否定的な人たちも最近増えてきたと、この書籍は説明します。

著者は特に様々な事例を挙げ、個人情報の守秘性について懸念を示しています。
それまで著作その他を保存していたクラウドストレージであるEvernoteの使用を止め、非ネット接続の端末に保存しているそうです。
しかし、そもそもその孤島端末のハードとしての脆弱性を補うために、様々なクラウトサービスが誕生したので、それもどうかと思います。
私は相変わらず、EvernoteやDropboxといったクラウド・サービスの恩恵を半ば開き直って受けている状態です。
ネットにおける個人情報の漏洩を心配していると、それこそ何もできなくなってしまいますし。

著者は現在の動向をかなり正確に掴んでいる上での意見を非常にわかりやすく書いています。

キーワードとしては「非知性主義的」といった単語が良く使用されます。
これも時代をしっかりと捉えてる証左でしょう。
本書が出版された数カ月後にはドナルド・トランプがアメリカ大統領に選ばれ、そのバックアップをしたのが「非知性主義的」な米国の人々であると散々言われていることに驚きます。

「スマホ断食」を気軽に2・3日始めてみましょうと書かれていますが、スマホは取りも直さず電話(通話)機能が大きなウェイトを占めます。
ガラケーとの二台持ちの人は良いでしょうが、スマホを机の引き出しに2・3日放り込むのは実際には困難です。
特に固定電話を持たずに携帯だけの生活をしている人たちには。

ただ、言わんとしていることはわかります。
PC断食ならばなんとかなるかもしれません。
少し、PCを立ち上げることを我慢するだけで、余計なネットサーフィン(死語)をしなくてすむので、自分としては生産性が上がったような気分にはなります。

要は「使う」ことではなく「使わない」ことで、どこまでITリテラシーを高められるか。
一度立ち止まって考えても良いのではないかということでしょうか。


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