映画レビュー:力道山・・・正しいウリジナル?


著者 :
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日 : 2006-08-04
プロレスが題材の映画で観られてないのが3本。

「ビヨンド・ザ・マット」「レスラー」そしてこの「力道山」。
「ビヨンド~」はドキュメンタリーなんで除外するとしても、「レスラー」のミッキーロークは完璧にプロレスラーの体を作ってますよね。「お父さんのバックドロップ」の宇梶剛士も頑張ってるけど、背はあるんだが、とてもプロレスラーの体じゃない。

日本人には説得力のある体を作るのは難しいですね。

もちろん、かなりデカイ人もいるけど、一旦大きくなるとつぶしがきかないから、俳優としてはマイナスになるしね。昔で言えば大前均とか。需要が限られてくる。

で、この韓国人俳優ソル・ギョングさん。そこそこ思ったよりいい線いってるかな。
そもそも力道山というのは、小兵だったし。
ただ、実物と比べると、ゴツさのイメージがちょっときつい。

短期間で大幅増量したらしい。そういうのが特徴の俳優さんでもあるそうで。

映画としては評価できない「あしたのジョー」だったけど、伊勢谷友介を始めとするフィジカル面での役作りはすごかったですね。

そういう意味では、死の直前の正岡子規を演じた香川照之も命がけの役作りという感じですごかった。

だから・・・大きくなるのは無理なんで、小さくする方向でいけばいいのかね。日本人。

あと、ソル・ギョングはほとんど日本語のセリフでそれほど違和感なかったので、これもスゴイね。

この映画、プロレスファン以外にそれほど需要があるんだろうか。もう、力道山を知らない若い世代も多いしね。もちろんボクもリアルタイムでは知らない。

近代の日本と朝鮮半島の関係を確認するには象徴的な題材ではある。

今読んでる「血と砂」あたりと比較しても面白い。

韓国の発祥を主張する傾向をウリジナルなどと揶揄することもあるが、力道山は正真正銘の朝鮮半島出身(現在の北朝鮮だが)で、ながらくその事実を隠されていた。

この情報のあふれた時代でそれもナンセンスだし、正しいウリジナルを主張する方が良いのじゃないか。

差別も描かれているが、決してヒステリックではなく、むしろ押さえ気味。

新弟子時代の力道山が叫ぶように歌う、「予科練の歌」は感動的なんだが、実はその裏に秘められていたのは・・・。一筋縄ではいかず、政界進出まで睨んでいたと言われる稀代の英雄の物語。

現役プロレスラーが多数出演しているのも見物。ただし、馬場さん、猪木会長は出て来ません。これが惜しかった。

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