生ける伝説は本当の伝説になりました。
各メディアは争って追悼特集を行い、その日は新聞各社も衆議院解散よりも大きなスペースを取って報道していました。
テレビは追悼特別番組として、ノーカットを売りにヒット主演作を放映しています。いずれも「幸福の黄色いハンカチ」以降のヒューマンな作品や、大作をピックアップする中、テレビ東京系だけは「網走番外地」シリーズをチョイスし、さすがテレ東と思わせてくれます。
ボクも個人的にこの未見であった「新幹線大爆破」をやっと観ました。
名作だというのは分かっていたのですが、なかなか観ることができず、今日まで。
「スピード」の元ネタだなんだと言われていますが、ボクとしてはジェイソン・ステイサムの「アドレナリン」の元ネタかなと思っております。
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健さんの数少ないピカレスク巨編。
有名なので書きますが、世界一のスピードで世界一の安全を誇る新幹線超特急に爆弾を仕掛け、時速が80kmを下回ると爆発するという前代未聞のパニック映画。
東映オールスターで描きます。
最初から出てくる俳優みんなが東映スター。
それだけで引きこまれて、忘れた頃に真っ赤な文字のタイトルが現れます。
2時間半超の長い映画ですが、何層にも重なるストーリーが飽きさせません。
チバちゃんの運転士がいつもどおり暑苦しすぎるのですが、この極限状況を表すにはやはり最適なキャスティングと演技だったと思います。
熱いチバちゃんとクールな健さんの対比も面白い。
そして、それ以上に熱いのがチバちゃんの上司の宇津井健。結構東映の中にあっても宇津井健です。そのまま。この人は犯人役がもっともできなさそう。
東映の大部屋さんや悪役商会さんが新幹線の一般乗客なんですが、パニックになって竜雷太の鉄道警察に詰め寄ったりするところがどう見ても一般人には見えない。
無駄に乗客のキャラクターがそれぞれ立っているので、ストーリーに集中できない嫌いもあったり。結局なんだったんだ、みたいな。
この映画が当時の国鉄の協力を得られずに作られたというのは驚きです。
どうやって撮ったのか分からないシーンもあります。東映お得意のゲリラ撮影もあったのでしょうが。
ミニチュアの特撮も結構イカしています。違和感もなく、それと気づかせないし。
それよりも特筆すべきは、実際に走るSLの貨車をを爆破させてしまうところ。良く撮りましたね。どう見てもミニチュアではないのですが。これも国鉄の協力なく、どうやって撮影したのでしょう。
ましてやこの時代にCGIなどあるわけもなく。コンピュータ処理が嫌いなわけでは決してないのですが、今となってはCGIでないというが一つのバリューと言えると思います。
長い映画でころころと視点が変わるので、結局だれが主役なのかわからなくなります。
もちろん、主役は健さんですが、それが「高倉」なのか「宇津井」なのか・・・。
どちらも悪いうわさを聞いたことのない、大スターでした。

