読書レビュー:~遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白~ 飛田で生きる


飛田新地。最後の遊郭と言われる場所。
橋下さんが顧問弁護士を勤めていたとも言われる。

この地のルポとして、かつてこの本「さいごの色街 飛田」の書評を書いた。

しかし、飛田は取材など基本的に受け入れない。
本当の姿は描かれない。
これだけ海外からの旅行客を受け入れるようになっても、ネット発信なども拒絶している。
中国人客はここでも相変わらず嫌われているようだが。

この秘境とも言うべき飛田新地をなぜここまで具体的に赤裸々に描くことができたかというと、それは著者が元飛田の店舗経営者で、現在も女の子のスカウトマンであるということ。
つまり、昨今攻撃されている飛田の防衛に立ち上がったということ。

飛田遊郭(料亭組合)は、著書によると、厳然としたルールがあり、それに基づいて働く女の子を守っているのだとか。

人類最古の職業であり、どこまでいってもなくならないであろう風俗産業。

大阪府に関しては1990年の花博を機にソープランドが廃止された。

しかし、何故か飛田・松島などの風俗街はそのまま。

本書のあとがきによると、隣区・阿倍野再開発で建築されたタワーマンションの高層階から飛田遊郭が見渡せ、ネットの書き込みなどで悪所として攻撃されているのだとか。
併せて2016年11月現在、2025年に誘致予定の大阪万博開催に伴って、またもや危機に直面しているのかもしれない。

遊郭存続の危機に向けて牽制する意味での本書出版なのかも知れない。というか、当然その意図はあるでしょう。

それらを考え合わせても、よくできた本であると思う。

飛田で遊郭を経営するための段取り(資金など)であったり、女の子確保のノウハウなどが余さず書かれており、遊郭経営入門のような内容でもあります。
良くあるカフェやカレーハウス開業のノウハウ書みたいです。

しかも文章がうまい。私が関西人であるためかも知れないが、リアルな大阪弁でのやり取りもリズムよく進行していき、ダレさせない。

先述の飛田防衛意図があったにしても、悪所ならではの必要性。現在はかつての人身売買的な女郎屋とは一線を画し、働く女の子の将来や人権も考慮した「働く場所」であることを主張している。

勿論、身内や近親者がこのような場所で働くことを黙認できるかというと、確実に無理なので悩ましいところではあるわけであるが、一個の人格を有した成人女性が自らの判断で選択する場所としては存在しても良いのかなとも思う。

少なくとも個人的にはホストクラブにハマるよりは前向きかなと思うし。
と言っても、ホストクラブに入れ込んで、てっとり早く稼ぐために飛田にくる子も多いようだが。

著者は飛田での経験しかないので、他の五新地(松島・今里・滝井・信太山)や、その他かんなみ新地等については触れられていない。
他の新地が飛びたほど整備されているとは聞かない。飛田は段違いに生き残りに貪欲なようだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です