
良質な喜劇であり、深い問題提起でもある。
四方を海に囲まれた日本ではつい忘れてしまいがちな移民問題。
日本はほぼ移民を受け入れていない。
KKKはその点を評価しているが、彼らにそれを褒めてもらっても全くうれしくはない。
ww2時代同盟国であり、共通点もあるドイツではあるが、決定的な差異の1つは前述の島国であるかどうかだろう。
欧米の難民受け入れ問題は私たちが想像もできない喫緊の課題である。
我が国は昨今のインバウンドだけで中国を始め異文化の流入に手を焼いている始末である。
それも確かに重大な問題ではあるが、欧米の難民移民受け入れ問題はそれどころではない。
本作ではドイツにおけるアフリカ諸国(イスラム)異教徒の微妙な問題を取り扱っている。
ドイツ・ミュンヘン郊外に暮らす主人公一家、はナイジェリアからの移民を受け入れるのだがまったく善良な妻と人はいいのだが頑固で権威主義のインテリ夫婦の夫婦家族も崩壊の危機にある。
プロットとしては、山田洋次がリメイクしたら面白そうだ。
ナイジェリア・・・日本で思い出されるのはボビーオロゴン。
ボビーの才能努力と日本における成功は賞賛に値するが、本作で描かれている悲劇は同じ出身国の事とは思えない。
おそらくボビーさんも本作を観ているのではないだろうか。
彼も母国の支援を続けているみたいなので。
全体的に非常に軽く作られているのだが、上記の深刻な問題を考えさせるようにできており、上手い映画だとおもう。
諸問題を角度によっていろいろと反射し、考えさせる構成は秀作かと思う。
★★★★★