
かつては政治家としての顔も持っていたクリント・イーストウッドの監督主演最新作。
と言っても現時点で米寿なんですよね。
映画監督って、これくらいの高齢になっても創作を続けてる人がいますが、その感性の瑞々しさにはホントに驚かされます。
コカインを大量にシカゴまで運ぶ高齢の男性の話ですが、クリント・イーストウッドが広大なアメリカの乾いた大地を走るトラックというのはそれだけでワクワクさせてくれます。
まさに憧れのUSAというか。
ロードムービーのようでロードムービーじゃない。
映画の中でネット社会を批判するような言葉が沢山出てきますが、反面ITについて行けない自分たちの世代へのある種自虐的な感じも受けます。
本作も特にCGIを使ったようなシーンは見受けられませんでした。
イーストウッドは、晩年にディジタルを拒否して引退した菅原文太と、ルックス的にも相似的なものを感じます。
「許されざる者」でイマイチ???と感じたのですが、
「グラン・トリノ」「ミリオンダラー・ベイビー」ですげぇ!と感じて、「アメリカンスナイパー」でも唸らせてくれました。
一つ前の「人生の特等席」まで、演じるキャラクターが本作も含め似た頑固親父なんですよね。そして続く本作。
今回も期待して行ったのですが。
悪くはないんだけど、なんか物足りない印象。
ストーリーに今ひとつ盛り上がりがない、というか。
一応、実際にあった事件が下敷きにはなっているらしいのですが。
もう少しケレン味のようなものがあっても良いんじゃないか。
観ていて退屈させるようなことはない。これはやはり上手いのでしょう。
画面はクリント・イーストウッドで持たせている感じです。
エンドロールまでメキシカンギャングがアンディ・ガルシアだって気づきませんでした。
太っちゃって。
※ちょっとネタバレ
他の人のレビューでも書かれるでしょうが、コカインで莫大な富を得て、殺人など屁とも思わない極悪ギャング。
末端の子分はちょっとイイやつだったりもするのですが。
結局、運び屋として大きな報酬を得た主人公は法の裁きを受けます。
そしてアンディ・ガルシアは因果応報で殺されますが、ギャング団自体は代替わりをしただけで解体されるようなことはありません。
そりゃ、メキシコのギャングですからいかにアメリカの警察(麻薬取締官)でもなかなか手が出せない。
つまり、アメリカにとっては脅威のままなわけです。
そこでトランプ大統領のグレートウォール作戦に繋がります。
共和党支持のイーストウッドの思惑が見えてしまう部分です。
*蛇足ながら、本日ピエール瀧が同様にコカイン使用で逮捕の報道がありました。
★★★☆☆