SNS:ソーシャルネットワークではなく、ソーシャルメディアという単語を使っている。
どちらでも良いように思うが、後者の方がより広義であり広汎な意味説明が可能だろう。
本書は新聞書評で高評価を得られていた。
まさしく現在のソーシャルネットワークというよりも、実際的なウェブ全般を俯瞰する上においては格好の書である。
ウェブマーケティングを、ネットワーク黎明期から第一線で牽引してきた著者なればこその説得力。
経験だけでは得られない、博識と文章力が結実している。よくぞこれだけ濃密な内容の本に仕上げたものだ。
現業に立脚し、なおかつ文学的で美術的である。
資金難に陥り、消費者金融に頼らざるを得なかったぎりぎりの現実。
かなりタイトロープな人生もかいま見られる。
しかし、01の世界に身を置きながら、非常に、–本書の言葉を借りるのであれば–「オーガニック」な方法で成功を勝ち取ってきた。
Googleは素晴らしく、現在なくてはならないサービスではあるが、Google自体はツールでありシステムに過ぎない。実際に私達が利用しているのは現実の私達がキーボードで打ち込んだ情報なのである。
ということ。
一方通行であった企業と顧客の関係。
ウェブではかなり初期から双方向性ということが言われてきていたが、実際にはそれが自動返信的な合理性優先ということに堕してしまっていた。
それを再構築する意味での「ソーシャル」ネットワーク。
この本からとりあえず、一つのキーワードを憶えておこうと思う。
「ネット上におけるオーガニックな関係」