「正直観たもの読んだもの」カテゴリーアーカイブ

映画レビュー:津軽百年食堂 オリラジが(・∀・)イイ!!




ボクにとっての「東北」のイメージは相反する二種類があります。

イメージです。行ったことないので。

行ったことのある日本の北限は茨城県取手市。まで。

そこから先は靄がかかってます。

あんまり知り合いもいないし。

さて、そのイメージの一つは「田園に死す」。寺山修司ですね。ボクの観たことのあるのは映画だけですけど。で、その流れで三上寛「ひらく夢などあるじゃなし 三上寛怨歌集」これはCDで持ってます。

これらの暗さと業と怨念とタブーと・・・混ざり合ったものが、勝手ながらボクの東北(青森?)のイメージでした。

そこに吉幾三の「おら東京さ行くだ」とかオヨネーズ「麦畑」などがコミカルな東北弁で台頭。いや、こんなのは東北じゃないし。とか思っていました。失礼ですね。

まあ、ともかく、この二極的なイメージがボクの小さな世界では東北だったわけです。

理想は前者なんですけど。

そして昨年。梅田のシネ・リーブルでこの映画の予告編を観て、なんとなく気になってました。

しかし、その時は、なんでオリラジが主役なんだ。ちょっと下火なのに、ミーハー狙いのキャスティング?とか思ってたのです。

今回鑑賞して・・・謝ります。オリラジさん。大森監督。

この二人演技がいいんですよ。

すごく自然で。二人がオリエンタルラジオだということを忘れて映画を楽しめます。

二人そろってね。

藤森のあの声なのに藤森じゃない。

ホントに自然で、伊武雅刀がクサく思えてくる。

福田沙紀も上手ですね。ヤッターマンしか知らないけど。

百年前の事と現在の事がカットバックで進んでいく。

最近の村上春樹の小説のようです。

特に大事件もないし、ショッキングなこともない。普通に怒ったり泣いたり笑ったり死んだり・・・。

コンパクトにまとめられて観た後に疲れも残らない、満足感だけ残ります。

淡々と進んでいくいい映画ですよ。

困ったのは映画の中にたびたび出てくる「津軽そば」食いたくてたまらなくなります。

映画レビュー:カウボーイ&エイリアン


6代目007ジェームス・ボンド役のデニス・クエイドとハリソン・フォードが主演です。

「VS」ではなく「&」なんですね。

原題も「Cowboys & Aliens」なんですが、この人たちはカウボーイかな?

できるだけネタバレしないように書きます。

デニス・クエイドがボンドを演じた時は、あまりのイメージのギャップのためにかなり叩かれたそうです。

そうでしょうね。

ボクもなんちゅう暗そうなボンドなんだと思いました。

しかし、映画は大ヒット。今年デニス・クエイド版の3作目が封切られます。

魅力のある俳優さんだと思います。さすがですね。

最初の登場で(特に派手とかではなく)、がっちりと掴んでくれます。デニス・クエイド
存在自体がリアルな俳優さんです。

だからこの荒唐無稽な、結構細かい突っ込みどころのある映画に説得力を持たせてくれてます。

もちろん、CGIはがっつり使われており、すごいレヴェル。

でもそうではなく、実際に命がけのシーンも沢山あるのだと思います。

CGで創りだされたのかどうなのか見分けがつかない部分もあるのですが、デニス・クエイドが爆風で体もっていかれているようなシーンもありました。

シュワちゃんやスタローンもいいですが、「ミスターリアル」スリムマッチョで格好いいデニス・クエイドが堪能できます。

あと、ハリソンの悪役ぶりも必見。

映画レビュー:実演 ! 淫力魔人 イギー&ザ・ストゥージズ


God father of Panks
God father of Panks

十三の第七藝術劇場で一週間限定上映。

しかも一日一回だけ。GWの初日が封切り?でした。

この日は大阪市天王寺さんの古本市が行われるひで、どちらも行きたい。

しかし四天王寺の古本市は巨大古本市なので、気合を入れないと集中力が持ちません。
その上、4月の真夏日なので、どのように体力を温存しようか、悩みどころです。
でないと、午後8時40分からの映画まで持たない。

本日はこのために(半分は)福井から夫婦で来阪したS氏と、彼と20年近く振りでFacebookで邂逅したSと同姓のS氏(ややこしい)と一緒に鑑賞するという段取り。

しかし、「淫力魔人」て誰が邦題をつけたんでしょうかね。前から思ってたけど。
Raw Powerを直訳すると、そのままの力=実力ということですよね。

なんで「淫力」(こんな日本語あるのかしら。

IGGYはわかってるのかね。

この映画ライブを映画にしたもんです。

いやいや、元気ですねえ。イギー・ポップ。

2010年のライブだから、この時点で62〜3歳なんだけど、動く動く。あの気持ち悪いムーブは変わらず。

というより、20年以上前に観たサンケイホールでのライブより動いてます。

字幕が脱力系で面白い。

叫び声なんて意味ないんだからいちいち字幕にしなくていいんだよ。うゎわーとか、おい、おい、おいとかwww  しかもひらがなで字幕にしてるんでおかしい。

基本、アルバム「Raw Power」からのラインナップです。

もっとヤバめの客かなと思ったのですが、ガラガラでかなりおとなしめなんで肩透かし。

IGGYのロックT着てたのもボクだけでアホっぽかったです( ・´ω・`)

映画レビュー:やさしい手  水沢アキがリアル(変則的)な風俗嬢を・・・


ロングでにっこり微笑む水沢アキは相変わらずカワイイ。アップになると・・・ちょっとキツイな、やっぱw。

良くアイドルあたりが汚れ役をやる常套句として「体当たりの演技」などといいますが、まあ、ここまでくると逆に適役かと。

映画作品としての需要が今ひとつわかりません。もちろん熟女好きにはたまらんと思いますが、ラスト近くのの宮川一朗太との・・・ちょっと痛々しい感も漂うかな。

内容はアダルト作品ですが、間接的な表現が主で、ほとんど濡れ場はありません。絡み的にはテレビドラマの方が過激だと思います。

端役に恵まれなかったように感じました。これは監督やスタッフのせいでしょうが。押しなべて「なんでそんなにクサいんだ?」という感じです。

中盤に出てくるバカボンパパの格好した人は、エンドロールを見ると芸人なんでしょうか。ダイラケや漫画トリオの昔から、映画のちょい役でお笑い芸人を使うことはよくありますが、知らないと変にキャラだけ立ってるので違和感ありますね。

まあ、もいちど言いますが、水沢アキ及び熟女好きであれば(ていうか、そうでないと(´ε`;)ウーン…)観る価値あるでしょう。

※関係ないけど「やさしい手」でググるとまず介護事業所がヒットしました。

映画レビュー:らもトリップ 泣けるぜ(;_;)


オフィシャルサイトより抜粋

サイトのリニューアルだなんだと更新できてないので、時間がたってしまいました。

我が畏敬する先輩(あ、灘高じゃないすよ。大阪芸大)中島らもをフォローする人たちの映画。

オムニバスで原作小説を3話映画化しているが、それよりも生前ゆかりの人たちの証言というか、思い出というか、そのあたりが(・∀・)イイ!!

みんな、らもさんを失って悲しいはずなのに、満面の笑みでエピソードを語っていきます。

なかでも古田新太さんのトークはぜひ「すべらない話」に出てほしいなと。

このあたりはもっと充実させられると思うんですけどねえ。らもさん交遊録はもっと広いはずだし。有名どころも大勢いるし。

なんか、芸大生が作ったらしいので、そのあたりが限界なのかな。

映画自体はまあ、どうなんでしょうねえ。

オムニバス3本目の「子羊ドリー」が、らもワールド爆発で特によかったと思います。

あと、中島美代子さんの老けっぷりが衝撃でした。彼女の本の表紙のイメージしかなかったので。
らも 中島らもとの三十五年

エンディングのライブ「いいんだぜ」泣かせます。まじ。放送はできないけどww

youtubeでも聴けるので、ぜひ。

草間彌生 永遠の永遠の永遠


現在、大阪中之島の国立国際美術館で「草間彌生 永遠の永遠の永遠」が開催されています。

やっと行くことができました。

国立国際美術館がこれだけデコレイトされるのは初めてみました。

いきなりの草間ワールド。

いきなりの草間ワールド

今回は2004年から直近の作品なので、かなり新しいものです。

草間彌生さんは1929年生まれなので、83歳。もうすぐお誕生日です。

にもかかわらず、このパワー・エネルギー。素晴らしい。

入ると、最初に撮影禁止の説明。

当たり前やんと思って良く読むと、撮影可の三箇所以外は撮影禁止とのこと。

これは太っ腹ですね。せっかくなんで撮影させてもらいました。
iPhoneだけど。

草間彌生画伯というと、どうしてもイメージがドット・水玉なのですが、最初のコーナーではあまりドット模様は用いられていませんでした。

多分、抽象画を見た人のうち120億人くらいが漏らしたであろう「これだったら自分にも・・・」というお約束のつぶやきが頭をもたげてくるのですが・・・1枚くらいならともかく、この量を普通の神経?で書き続けるのは無理。

このシリーズ「愛はとこしえ」はアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのジャケットを彷彿とさせますが、それよりはずっと温かみがあり、ちびまる子ちゃん的ワールドも振りかけられている感じ。いいかな、こんな感想で。

最初の撮影エリアは、本展示場に至るまでのフロア。

かの有名なカボチャ

二箇所目は展示場に入ったところの説明エリアなので、スルー。

そして三箇所目がこちら。水玉チューリップ。

たーのしー♪

さすがにこのゾーンではほぼ全員がカメラでカシャカシャ。

場内では草間彌生の最近の創作活動現場の記録映画を上映。

あのね。あの草間さんの写真ね。超眼力(めじから)の。

あれは写真を撮るから目を剥いてるわけではないんですよ。

常にあの顔で絵を書いたり喋ったりしてます。壊れた消火栓というか・・・。

にも拘らず、格好はおしゃれエプロンを着た、ただのバアさんなところがまた。

岡本太郎のギョロ目は演出的な感じも受けたのですが、この方はこれがデフォルトらしい。

昔のニューヨークでの活動のパネルもいくつかありましたが(50’60’)これもインパクト大。

60年代初期くらいのファッションなんか、めちゃめちゃかっこいいです。

ま、体型が完全に昔の日本人なのがアレですけど。

映画の中で死ぬまで描き続けるというようなことを仰ってますが、多分、もうしばらくは元気そうな感じですね。

パワーいただきました。

映画レビュー:イップ・マン 序章  


※少々ネタバレかもしれません。

ブルース・リー「怒りの鉄拳」でおなじみのプロット、反日(帝)もの。

で、そのブルース・リーの詠春拳の師匠として有名なイップ・マン(葉問)が主役です。
イップ・マンというかスーパーマン。どういう経緯かお屋敷に住むお金持ちなんでバットマンかもしれない。とりあえず、問答無用にめちゃめちゃに強い。

演じるのはどうしても若いころの林与一に見えてしまうドニー・イェン。

なんか、ヒットしたので第三弾まで作られてるみたいです。

大日本帝国は悪役には欠かせないですね。

とことんシリアス路線で作られてるので、観ててちょっと疲れるかな。
カメラアングルとかは結構アメリカン?そして全編を通してグレーの(流行りかな)フィルターがシリアス感を高めます。

といっても、武術指導がサモ・ハン・キンポー。あんまりリアルな立ち回りとは言えません。

同じような映画ならば、ジェット・リーの「スピリット」の方が明るくて好きですね。ちょっとファンタジーなところもあって。

しかし、さすがのドニー・イェン。時々見せるオーバーアクトではない、一瞬のスウェーでの見切りなどはスゴイです。

またもや、ラスボスにアクション俳優ではない池内博之。他にいないかな。池内さんもこのオファーは悩んだと思いますが。「スピリット」の時は中村獅童が演ったのと同じような役。

「怒りの鉄拳」の時は敵役の日本人は結構柔道だったりするのですが、今回は日本人全員空手。

日本軍でねえ。

確かに武道専門学校とかで、十分に空手も広まってたとは思いますが、これはちょっと不自然じゃないのかな。

しかも、池内博之のセリフで「我が日本の空手の力を見せつける云々」というのがあるんだが。この頃はまだ空手というか「唐手」だったんじゃないのかね。つまり中国から沖縄経由で発展した武術という。しかも、あんまり動きも空手っぽくないし。

続編が観たいかと言われると、うーん。

中村天風と植芝盛平 氣の確立  ちょっとした暴露本?www


藤平 光一
東洋経済新報社
発売日:1998-12

最近、特に合気道が気になります。

神秘のベールっちゅうか。実際のところどうなんだろうと。

名のある格闘技関係の人が口をそろえて言うのが、塩田剛三はホンマモン。誰も塩田剛三を貶す人は(少なくとも戦闘力において)いないようです。

その塩田先生が常に達人と紹介するのが、現在の合気道の創始者植芝盛平。

中村天風は言うまでもなく、東郷平八郎や松下幸之助などの錚々たる日本の根幹に関わってきた人が師と崇めている超人。

その二人に師事したのが、著者の藤平光一です。

先述の塩田剛三と並んで、合気道の巨人。昨年なくなりました。

なんで、この二人(中村・植芝)を並べて一冊の本にされたのか。真意はどこなんでしょうか。

はっきり言って、完全に中村天風に偏向しているような内容です。

植芝盛平がちょっと困った性格で、ずっと自分(藤平)の悪口を言い続けていたとか。自分が掴んだ合気道の極意は自身の研鑽によって得た(盗んだ)もので、植芝本人は、むしろ反対の理論を教え続けたとか。大本を押し付けられるのにも閉口したようです。

で、その辺を暴露するたびに、でも、師として尊敬してます、恨んでるわけではないです、とかフォローしてるあたりがあざといというか、カワイイというか。明らかに恨み節やん。

加えて、植芝は若いころはめっちゃ弱っちかったとか書いてます。

あまつさえ、大師匠であり神域にあると語られる大東流合気柔術の現実的な再構築者、武田惣角さえもその実力に疑問を呈しています。どんだけぇ〜。

最後の方は自分の強さアピールもどんどんエスカレートしてくるし。ちょっと鼻白む?

最初の方は淡々と書かれていて好感を持てます。

戦争では最前線で隊長として、戦った。実際に怖かったことなど、本心を吐露しています。人間的です。

別にこの方がどうこういうつもりはありません。実際に非常にわかりやすく合気道の理論などを書いてくれています。って、自分もフォローしてるかな。

でも、これが実感なんですよね。

あと、佐川幸義や岡本正剛あたりのことがちょっと出てきたりすると個人的には楽しかったかな。

合気道のことがますますわからなくなる、面白い啓蒙書。

※あれ、これ塩田剛三のことかなと思われるような描写がさらっと出てきます。

植芝道場に毎日通って来ていた軍事探偵の男が、戦争が激しくなるとぱったりと来なくなった、と。軍事探偵として中国に渡った塩田のこと・・・?

(文中敬称略)