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映画レビュー:ムカデ人間


トランスフォーマー
発売日:2012-02-03

劇場公開時、メチャメチャ観たいにも関わらず、トレーラーにヴィヴィって、行けなかった作品。

気がつけば「2」まで公開されてます。

このDVDはやはりイモ引きながら鑑賞しました。

が、結果。

やはり、アレですね。

『トレーラーを超える本編は存在しない』

という”映画格言”は鉄板ですね。

ボクが作ったんですが。

「呪怨」とかもトレーラーの方が確実に怖かったし・・・。
*
*
自分のビビリと想像力の完全勝利です。

もっとエグい映画は山ほどあるわけで。

この設定を発想できただけで、この映画はすでに完成(勝利)していたとも言えます。

なぜかムカデ人間の先頭が関西弁の日本人で、終始日本語なのですが、やたらと画面にマッチして違和感がなかったのが意外でした。

多分、「2」も主役のキャスティングだけで完結してしまってる作品のような気がします。

もっとも、この感想は自分のヘタレっぷりを前提に、悪趣味映画としての評価しかしていません。

そして、その評価方法は間違っているとも思います。

映像美やジョセフ・ハイター博士のピカレスク・サイコ・アンチヒーローとしての魅力を掘り下げていけば、もっと違った切り口で楽しめます。

映画レビュー:女の子ものがたり(映画版)


ポニーキャニオン
発売日:2010-03-03

原作とそれを映画化したものを比較して、貶す人がいますが、ボクはあまりそういうことはしません。

原作は原作で映画は映画と思ってますので。

でも。

これはいただけなかった。

原作を読んでなくても、納得できなかったかもしれない。

深津絵里がいくら部屋を取っ散らかしてても、申し訳ないが生活感というものを出すことはできてない。

本人がキレイ過ぎる。これは褒めてるのだろうか。微妙な感想ですね。

主人公の漫画家ということで、一応サイバラ先生がモデルということで良いのでしょうか。

まあ、サイバラ先生役はキョンキョンだったり山田優だったりするので今更その件に関してはなにも言いませんが。

それはともかく。

少女から高校生時代の主人公含む女の子3人組。

原作でも汚くてバスに乗せてもらえないかも、とかいうエピソードまであるんですが、ムリありすぎ。

どこから見ても美少女。

まあ、森迫永依は多少ファニーフェイスなんですが、それでも可愛すぎるし。

3人とも児童劇団のお姫様。

ワルガキ感も汚さも微塵もない。

原作ではニオイまで漂ってきそうな勢いなのに。

さらに高校生時代に至っては、こんな子らがクラスにいたら学校中で大変というか迷惑というかというレヴェルの美少女3人。

主人公・大後寿々花はハリウッドレヴェル(SAYURI)の美少女だし。

銭湯で3人で寝てるシーンなんか、どこのアイドルグループやねん、というか。

いくら映画だからって、ちょっとキレイキレイしすぎでしょう。

可愛いのに観てて興ざめという変なジレンマ。

まあ、それでも原作を映画用に別解釈した作品としては仕方ないですか。

ラスト近くの原作にはない喧嘩シーンで「んー、まあいいか。」と思えてしまいました。

この作品にもサイバラ先生はヒチコックばりに出演しています。

サイバラ先生的にはOKなんでしょうかね。

一旦OKを出したら、あとはどうなっても知らないし構わないというタイプの作家がいます。

水木しげる先生とか。サイバラ先生もその口でしょうか。

多分そうでしょう。カネになれば。

いや、非難しているのではありません。それは正しいし好ましいと思います。

・・・にしても、なあ。

もすこし何とかならなかったかなぁ・・・。やっぱり。

Public Image ltd. LIVE


フライヤー
フライヤー

金閣寺にいる時、福井のS君から電話が入りました。

「P.I.L行きません?」

ああ、そういえば・・・

「なんばハッチ?」

果たしてそうだ、とのこと。

なんか記憶に残ってました。

ピストルズは好きですが、あまりP.I.Lは聴いたことがなく、でも、ジョン・ライドンはステキだ。

変わり果ててるのだろうが。

S君が言うにはチケットが余ってしまったので、行かないか?と。

その他にも彼とはいろいろと話したいことがあったし、お言葉に甘えることに。

S君もバンドでベースを弾いてるのですが、違うバンドの仲間の女子二人と来ることになりました。

サマソニも毎年来てるし、ほんと、凄いパワーだと思います。

特に車で来ているので、ドライバーは彼一人。

逆にイベントが福井であったとして、自分にはとても行けないと思います。

行って来い。

車をなんばハッチの最寄りの駐車場に入れて、開演待ち。

集まっているオーディエンスがかなりカオスです。

ボクたちもそれを形作っているパーツではあるのですが。

ああ、この人は、ロンドン・パンクをそのままに生きてきて軌道修正効かなくてこうなっちゃったんだろうなあみたいな人もちらほら。

かと思えば、なんだ、この爺さまと婆様はみたいなのもいます。

なんか、勘違いして来てませんか?みたいな。

それと、いかにも不良外人みたいなのがちらほら。

バカ外人の一人は、ライブ中にホールの真ん中で一人で煙草吸ってやがりました。

フルハウス状態ではなく、そこそこの観客数。

まあ、この間のサマソニも来てるので、ありがたみはイマイチなのかも知れません。

登場直前
登場直前

さーて、登場。ジョン・ライドン。

「This is P.I.L!!」「ピル」って言ってます。それでいいのかしら。

まず、なんじゃぁ、その衣装は。

コンセプトがまったくわからない。

顔は確かにジョン・ライドンだけど、首から下はお前誰?的な体型。

終演後、その件を連れの女子に聞いたら「デブ隠し」と一言で切って捨てられましたが。

純白の衣装がまるで肥満したマハラジャ。それに真っ赤なベスト。還暦やったっけ?ジョニー。

途中で暑くなったのか、赤いベストは脱いじゃいました。

しかし、元気です。最初から飛ばす飛ばす。

声も良く出てる。あのパワーで余裕で歌いきりました。

歌い終わる度に持参のウイスキー(多分)でウガイ。もしくはガラガラごっくん。

喉ヤケないのかしら。

あと、しょっちゅうステージ上で手洟かみまくり。

ジョニー・ロットンの面目躍如ですなあ。花粉症か?ジョニー。

前の方は結構ヤバイ状態になってたようですが、ボクとS君は後ろの方でゆったり楽しみました。

今度はピストルズ・ナンバーを聴かせてほしいなー。

デジタルサイネージ前
デジタルサイネージ前

映画レビュー:黒帯 KURO-OBI


バンダイビジュアル
発売日:2008-03-25

昭和7年(1932)のお話。

場所はどこかわかりませんが、関東の山村の近くのようです。

伝統派空手を描いてるんですが、この当時は伝統派とかいう区別もなかったんじゃないでしょうか。

全部「唐手」っていうイメージしかないです。

昔の空手着って、もっと裾の短いイメージしかなかったんですが、出てくる人たちが本物ばっかりなんで、多分間違いはないでしょう。

伝統派空手も沢山流派がありますが、極真系フルコンではないというくらいのくくりで、これはプロモーション映画化と解釈して良いのかな。

昔は東映商業映画で千葉ちゃん独壇場で作られてました。

考えてみたらJJサニー千葉は凄いですね。

大概仲悪い噂しか聞かないマス大山と宗道臣の両方の役をやってるんですから。

そういうメジャー系の武道映画ではない、地味なプロモーション映画という位置づけでしょうか。

そういうのジャンルで(あるのか?)好きだったのは合気道を描いた「AIKI」ですね。主演の加藤晴彦よりも、師範役の石橋凌が良かった。石橋凌って、あのスッパマン体型でもカッコイイんですよね。

それはともかく、こちらの映画は空手のできる俳優ではなく、演技のできる空手家を起用しています。

主人公の3人の内、メインの2人は空手の実力者・キーパーソンです。

故・真樹日佐夫先生を筆頭に、極真系にもそういう人たちは多々おりましたが、どうも梶原一騎臭が漂って、そういうカラーに持っていかれてしまうんですよね。
いや、それはそれで大好物ですけどね。

伝統派空手の人たちなので、マッチョ的なアプローチではなく、型の綺麗さで魅せてくれます。

あと、セールスポイントの一つである速さとか。

結構、本作のアクション(擬闘)は、初弾の突きで終わらせるパターンを多用してます。

それと、当ててます(w オイ!

メイキングでは口から血出てるし。

演出的に謎な部分も多いですね。

なんで、そんないきなり憲兵隊と対立するのかわからんし。

やられ役のヤクザもおかしい。

3人組なんですが、全員着流しでド派手な赤・青・黄の着物です。

吉本新喜劇やないっちゅねん。

しかも、ヤクザのくせにやたらとフライングニールキックとかヘタしたらカポエイラみたいな蹴り技出すし。

伝統派空手からの挑発メッセージなんでしょうか。

ラストの立ち回り。

なぜか、モノクロ画面になります。

昔のピンク映画はさわりのシーンになると、それまでモノクロだったのが総天然色(パートカラー)になったらしいのですが、その逆ですね。

意図がわかりませんが。

全体的なストーリーとしては、なんだか香港カンフー映画みたいです。

やはり、主役が俳優としての魅力にかけるので、イマイチ感が残ります。

映画レビュー:忍たま乱太郎


アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2011-12-22

第二弾が今年封切られるようです。

ハリーポッターじゃないけど、計画的に撮らないと主役の加藤清史郎がどんどん大きくなってしまうよ。

今度はすでに1年生じゃないのかな。

キャスティングがかなり豪華です。ある意味無駄に。

これも監督の求心力でしょうか。

三池崇史は今もっとも俳優が一緒に仕事をしたい監督らしいですから。

三池組ということでもないのでしょうが、この前年に撮られた「十三人の刺客」(未見)と同じ人がかなり出ており、その映画の内容のギャップも楽しめます。

中でも平幹二朗のハジケっぷりが凄い。

東映映画黄金時代から活躍しており、サロメなどの舞台でもインパクトを残し、今更そんなことをしなくてもという感じ。

でも、やってくれるから嬉しい。

あまり原作を知らないので、脚本とか演出の必然性がよくわからない部分もありますが、多分子供にはオオウケなんだろうなあと思えます。

ヤッターマンの演出はそれなりに良かったし、映画館に行く値打ちはありました。とりあえずフカキョンドロンジョ様が大画面で拝めただけで。

杏とか古田新太とかの使い方が一瞬だし贅沢です。

平幹二朗に勝るとも劣らないぶっ飛び感なのが鹿賀丈史。なにがあったんだ?!的な。

あと、松方弘樹のノリノリ振りもいいし、「仁義なき戦い 完結編」以来かなと(そんなことはない)。

大人(名優)が真剣に幼稚(あえて)なことを真剣に照れなく演じてるので、大人の鑑賞にも耐えられる。

多作なので、たまにハズレもある三池監督の安定感を感じる佳作です。もちろん、三池監督は常に全力投球ではあります。

エル・グレコ展 国立国際美術館


エル・グレコ

名前は聞いたことあったが、ほとんど知らない。

今回のポスターをあちことで見かけても、特に食指を動かされることおなかった。

もらったリーフ。折りたたまれてます。ほんとはもっと長くて下につながった絵です。

大阪に用があり、国立国際美術館が近くだったので、行って来ました。

土曜日だったので、結構な人出です。

肖像画家なので、展示は全部肖像画。

タッチが独特ですね。

この時代にあって、印象派のようなテクニック。写実的なタッチもあるし、デフォルメされた感じのものもある。

良く言えば現代的だけど、悪く言えばポップすぎるかなという感じを受けました。

それほど感銘は受けない・・・というのは単に周波数が違うだけであり、人それぞれです。

ボクの感想なんて、そんなもん。技術論など語れるわけもなし。

あと、どの角度から見てもライトが反射して台無しという展示があります。いかがなものか。

UVカットのガラスがはまっているのでしょうが。

今回はエル・グレコよりも、特別展示の「宮永愛子」という人の作品が印象に残りました。

どうやって作ったのかなという、あちら側の視点に立ってしまいます。

なが〜い作品

発砲スチロールをいろいろな加工で成形しています。

基本、色がない

全部写真撮っていいということで。太っ腹ですね。

映画レビュー:おんな牢秘図(1970)大映系のエログロ


桜井浩子
アキコ隊員。う、うつくしい

 

田村正和を見直す怪作。

この頃の大映系映画って、タガの外れたグロさがあります。
倒産寸前で、かなり迷走していたのでしょう。

若山富三郎の「子連れ狼」のシリーズも東宝だけど勝プロだから大映系とも言えますよね。
似たようなノリで無意味にグロい。

東映の猥雑さとは別のエログロ路線。

舞台は江戸時代の罪人を流した「獄門島(ごくもんじま)」。

この島は女囚だけが送られてきます。

「女囚さそり」の時代劇版?

なんというか、中川信男版「地獄」にも通ずる、善人はだれも出てこない映画。
女囚たちが一番まともなんですが、そりゃ虐げられている立場だから。所詮は罪人。

女囚たちを監視して迫害する役人たちは、もちろん、私利私欲のみの我利我利亡者。

汚職が袴はいてるような奴ら。むしろ清々しいほどの最低男たち。の、仲間で大同小異なのが田村正和なんですけど。

エログロのエロの方は、まったくピクリともしないサービスカットもございます。

ウルトラマンのフジアキコ隊員、桜井浩子が良い役で出てるので、観てみようと。
我らがアキコ隊員も裸踊りの仲間入り

桜井浩子のマブダチ(?)の新入り女囚の北島マヤって・・・ガラスの仮面?

食うや食わずで重労働させられている女囚たちがイヤに健康的なのがちょい気になります。

フジアキコ隊員は、すごくキレイで色っぽいです。ウルトラQに出ていた頃とは一皮二皮三皮くらいは剥けてます。

この頃には「怪奇大作戦」にもゲスト出演してますが、これがまたロングヘアーで物凄くいい女になってます。

なんでもっとブレイクしなかったのかなあ。

そう言えば、アンヌ隊員@ひし美ゆり子もね。

今はまあ、それなりのオバちゃんになってしまいましたが。

北島マヤが天才的というか、物理的にムリな壺振りの超達人。

この設定がどうなるのかとおもっていたら、そのまま放置。え、あ、そういう人なんですという説明だったのか?

新入りの二人組(北島マヤと桜井浩子)がビーバップハイスクールのヒロシとトオルみたいな感じで中途半端に強い。女囚たちの中でも、一定のポジションにいるんだけど、生い立ち来し方がなんの説明もないので・・・?

アヘン中毒の桜井浩子、隠し持ってきたアヘンがもう切れるから、死ぬって・・・。そういうもんか?

田村正和も浮世離れした悪役人なんだけど、ナニモンなのかも一切謎。
ちょっと眠狂四郎が入ってます。

とりあえず、美しくてカッコイイ。

この頃何歳でしょうか。

こんなに着流しが似合う人もちょっといませんね。

サービスカット、花柳幻舟との濡れ場。色っぽいね、花柳幻舟。

しかし、田村正和。ラストシーンも何がしたかったのか不明。

エンディングのナレーションも救いがない、というか、だからなんなんだ的な。

なんか、誰にも感情移入できないままEND。

かと言って、全くおもしろくないわけでもないです。

多分、二度と観ないけどw。

コレクションの誘惑


オフィシャルサイトより抜粋

国立国際美術館35周年記念展 「コレクションの誘惑」に行ってきました。

そろそろ梅雨入り間近か?という空模様。傘をさすほどではない天気の中を中之島へ。大阪北の辺りは、なにかしらの高層ビルが工事中です。

ムシムシする中を美術館に入ると、さすがに空調は完璧の別世界です。

いつもの企画展より規模が大きく、展示スペースの全てを使っている感じ。

癖でB3Fへ行ってじっくりと観てから、なんか、プッシュされてる作品がないなあと思ってたら、メインの展示はB2Fでした。ピカソ・カンディンスキー・ウォーホルといったビッグネームはあまり広告されていませんでしたね。

なんか、さらっとピカソっぽいのが展示されているので、「ん?」と思ったらやっぱりピカソでした。

B3Fだけだと思ってたら、メインはB2F。スタミナ配分が狂ってしまって、後半は疲れてしまいまいした。

平日なので、空いている。

沢山あるベンチもガラガラなので、しばし休憩。

ジメジメのシャツが乾いて、完璧な空調のおかげで非常に気持が良い。

しばしまどろんでしまいました。

なんともしあわせなヒトトキ。

これまでにも観たことのある作品も多数ありましたが、新たにインスパイアされる作家作品も多数。

工藤哲巳・会田誠

6/24までです。

映画レビュー:若き日の次郎長 東海一の若親分


若き日の次郎長 東海一の若親分 [VHS]

なんと、今回はテレビ地上波による映画鑑賞です。

前から思ってるんですが、KBS京都はエライ!!

さすが、東洋のハリウッド。

なにがすごいってね、週一の映画(邦画)、地上波でCM一切なしで放映してくれるのですよ。もちろん主にはレアな時代劇。

東京のフィルムセンターとかに憧れてたけど、これもすごい大英断ですよ。

テレビなんかいらねぇと思ってたけど、こういうのがあるから捨てられない。

本日は錦之助の次郎長シリーズ。

錦之助と言えば森の石松なんだが、次郎長のシリーズもあるのよね。

両方やったのって、この人だけじゃないか?

時代劇映画最後の輝きを見せてくれる・・・監督はマキノ雅弘。

清水港なんだけど、錦之助兄ぃはいつもどおりの巻き舌のちゃきちゃきの江戸っ子。これはまあ、お約束。

一瞬、破れ傘刀舟の原型もみせてくれます。

大政・小政・桶屋の鬼吉・関東綱五郎・法印大五郎・・・キャラ立ちまくり!!

このフォーマットを活かしきれていない現在の映画はどうかしてるよ。
マキノ雅彦(津川雅彦)版の次郎長は未見だけど、近いうちに観てみよう。

しかし、田中春男の法印大五郎の安定感は異常。

シリーズが変わっても、会社が変わっても、法印大五郎だけは常に田中春男。

こんな治外法権的キャスティングってないよな。

関東綱五郎を演じるのは寅さんよりずっと前の渥美清。この頃から啖呵売を見せてたんですね(゜-゜)

オールスターではないけれど、十分豪華なキャスティング。

こんなに鉄砲撃ちまくる次郎長は初めて見ました。

ワンパターンや予定調和などといった言葉も陳腐に思える、豊な時代の映画です。

※それとね。放送禁止用語もそのまま修正なし。放映後、お断りもありました。今どき珍しい処理です。