「カトウワタルの本棚」カテゴリーアーカイブ

読書レビュー:50歳を超えても30代に見える生き方 「人生100年計画」の行程表 (講談社プラスアルファ新書)


書店店頭で平積みされていました。なんか惹かれて購入。

結構有名な人なんだと思います。

中でもオススメのゴボウ茶とかはネットでもレシピがいろいろと公開されているし、製品としても売られていた。

活字も行間も大きいので、すぐに読めます。

専門用語や薬品名成分名などが沢山でてきますが、説明がうまいのか、全く引っかからず読み進むことができます。

アンチエイジングと健康長寿の指南書。

かなり、現在の常識に反する事もいろいろと出てくるのですが、「これがこうなって高作用するからこうなるんです」というようなテンポの良い難しいことを簡単にという池上彰さん的な展開が非常にうまいと思います。

特にテロメアの説明が目からウロコでした。

もちろん、ゴボウ茶レシピもあり、普通のスーパーで買うゴボウで自家製してくださいという感じで嫌味はない。

ただ、全部を鵜呑みにするには???です。

ところどころ、ん、それはちょっと・・・という部分もなきにしもあらず。

「成人の心拍数は大体50くらい」という記述が出てくるのですが、そんなことないでしょ、と。

普通は60以上じゃないですか。ボクは50くらいなんで心拍数がかなり少ないんですよ。だから気になる。

そこから進んで、人間の生涯心拍数というのは決まっているので、心拍数を不必要にあげる=過激なスポーツは健康に悪いという論調です。だったらそれはそれでいいかと思ったりもするんですが(^^ゞ・・・。

まあ、一番健康にいいのはウォーキングだとは良く言われますし、ジョギングの創始者は若くしてジョギング中に亡くなったのは有名な話ではあります。

ボクは現在ケガやなんやかやでランニングをサボっているのですが、とりあえず格好の言い訳にはなっています。

減塩についての記載も極端で、ほぼ無塩を目指せ的な勢いです。ボクなんかは高血圧に悩んでいるので、今さらながら読後に減塩に取り組んで早速顕著にその効果が現れています(^_^)v
・・・しかし、今は真冬。

去年の夏は原発事故で節電が叫ばれ冷房を控え、結果熱中症が多発し、塩分をしっかりとらなければいけませんでした。しかし、この件には触れていない。あとがきで東日本大震災にも触れておられるので、フォローしてほしかった。

というように、何箇所か(・・? というところはありましたが、8割ガタは信用できると思います。

なにより、自身の体で証明されてますし。

とりあえず、ゴボウ茶は作ってみようかと思います。

読書レビュー:水木しげる ゲゲゲの大放談 水木先生の適当さが(・∀・)イイネ!!


水木 しげる
徳間書店
発売日:2010-06

第一印象として、何度目かの水木しげるブームで、とりあえず出しとくかという感じの本でした。

内容は特に目新しいものはない。

対談集ですね。

ちょっと目新しいのはショコたんとの対談かな。水木先生がちょっとどう対処していいかわからん感じが(・∀・)イイ!!

あとは荒俣宏・南伸坊・佐野史郎・ゲゲゲの女房・ゲゲゲの娘くらいか。いい加減食傷気味か。

佐野史郎の鳥取・島根押しはまあいいかね。

水木先生のメジャーデヴューの「テレビくん」再録も見飽きた感じ。もちろん、作品としては素晴らしい。

できたら、対談の相手に呉智英にいてほしかった。

読書レビュー:藤岡イズム。 健さんとは一味違ったかっこよさ(・∀・)イイネ!!


藤岡弘、
無双舎
発売日:2011-02-15

モーニング娘。の「。」よりも藤岡弘、の「、」の方が先です

どちらにしても、双方とも、パクるという状況はセンス的にないでしょうが。

結構、テレビに出ているようですね。テレビをあまり観ないので、具体的にはあまりわかりませんが、俳優としてではなく・・・「藤岡弘、」として。

この本に書いてあることも、武道家だったり、冒険家だったり元祖ボランティアだったり、まさに職業:藤岡弘、という感じです。

本書の発行されたのが、東日本大震災の少し前なので、震災後であればまた独自の切り口で加筆されたことであろうと思います。

寡聞にして知りませんが、石原軍団や杉良太郎に負けない活躍をされたんだろうと思います。

武士道というのがキーワードとして、かなり強調されます。

政治経済を始めとするこの国のあり方、そして、自分の目で100カ国以上を見てきた体験から、世界の中の日本のあり方として、その根幹・精神的支柱に武士道精神をおくべきだと。

そして、それは決して好戦的な点ではなく、護ることを主眼としてあらなければならないと。

イメージとして、常に微笑んでいる藤岡弘、さんがあります。

何年か前、成人式で暴れるバカモン共を前に、いつもと変わらないスマイルで、彼らに愛を表現する藤岡弘、。

まあ、世界中で極限状況を見てきた彼にとっては子どもがはじけてるくらいのことは何でもないのでしょうね。

そんな風なバカモン共から中高年まで対象に書かれているポジティブな一冊。

※そういえば、昔仮面ライダーショーの仕事を一緒にしていた友人が、実際にお会いした藤岡弘、さんが、めちゃめちゃ礼儀正しくてフレンドリーだったと言ってました。

読書レビュー:池上彰の宗教がわかれば世界が見える  まさにそのとおり


なんだかんだ言って、池上彰さんはすごいな。
なんでこんなに素直に聞けて読めてなんだろう。
様々なその道の第一人者(池上さんが選んだんだからそうなんだろう)と対談するんだが、紙面から池上さんの勝ち的匂いが立ち上ってくるよ。嫌味なく謙虚だしね。

ボクは一応、宗教(社会)学をライフワークにしたいなと思ってる。だけど、マックス・ウェーバーとか難しすぎて、読み進めることができないんですよね。

かなり、勉強になった。自分の考えを再確認することできた。

テレビの特番も制作されてましたね。池上彰特派で。

先日のテレビではアメリカが宗教国家であるという切り口でしたが、この本ではそれを強調してはいませんでした。

日本国内の件に比重が置かれています。つまり、仏教と神道です。

まず、グローバルスタンダードである(としておきます)アメリカのあり方と、イスラム圏の実情。

そして、ユダヤ教からキリスト教とイスラム教が誕生したいきさつ。世界宗教・三大宗教と言いつつ、現実的に世界を動かしているのはこの分派した2つの宗教であるということ。仏教はマイナーであり、ヒンドゥーの方が大きい。

一番心に残った池上解説を記します。

日本には無宗教を標榜している人が少なからずいます。かく言うボクもその一人。

それは宗教学を学ぶには、そういうニュートラルなポジションでないといけないと思うから。

しかし、キリスト教・イスラム教を初めとする、大勢を占める一神教においては、無宗教=反(アンチ)宗教(神)であり、神を認めない悪魔の使徒と判断されても仕方がなく、それこそがグローバルスタンダードなのであるという事実。

と、いう理解を持って、世界の情勢を考える必要がある。

神が不在の共産圏=中華人民共和国を商圏ととらえ、おもねる一面を見せるアメリカというのはどうなんだろう。

アメリカの知事選などの候補者のみせる二枚舌的な弁舌は、キリスト者としてOKなんだろうか。

このエントリーにおいては、持論は控えます。

あくまでも、本書の読後感、備忘録。

読むべし。

読書レビュー:ラーメンと愛国 (講談社現代新書) もう一度ラーメンを見なおそう!


ラーメンは大好きです。当然。自分のブログのカテゴリにもラーメンタグ置いてますし。

タイトルは軽めですが、本書の考察と切り口、不可分のない深さは非常に好ましいものです。

日本における、ブームとは言えない「ラーメン」というものの存在意義。

様々な面から分析解説していきます。

まず、(1)戦後におけるアメリカ主導で作られた小麦文化について。

(2)世界を席巻する安藤百福によるインスタントラーメンの発明。

(3)現在のブームともいえる、「作務衣系」と「ラーメンポエム」(著者銘名)

(1)については、学校給食に取り入れられたパンそして急速に需要の伸びたラーメン等の麺類は、米国の余剰米ならぬ余剰小麦の消費国として、日本を利用するという狙いがあったと。

(2)については、改めて安藤百福翁の偉大さをなぞっていきます。

(3)現在のやっぱブームと言っていいい、ラーメン(このラーメンという名称自体がほぼ消えているという)戦争のトレンド。

これが「愛国」に結びつくんですよね。

ラーメン=中華そば

そう、中華料理のイメージなんですよ。昔は。

ラーメン鉢と言えば、あの四角いクルクル柄が鉢をぐるっと巻いた、赤い器。

完全に中国のイメージですよ。

でも、現在のブームの流れはそうではないと。

つまり。

何故か「作務衣」もしくは筆文字染め抜きの黒いTシャツ。コック帽ではなく、タオル鉢巻。なんで腕組み?

壁にはなんか相田みつおを暑苦しくしたようなラーメンポエム。

前述しように「ラーメン」という言葉を使わずに「麺や」とか「麺匠」とか・・・

店名も昔のボーやんみたいな難読漢字のオンパレード。

中国由来のイメージを何故か、過剰に「和」テイストにしてる店が多い。

というとこら辺がタイトルの「愛国」というところを具象化した部分でしょうね。

ほんとに多角的な切り口でラーメン万華鏡という感じの一冊です。

もっとふくらませるんだけど、ラーメン同様、くどいと飽きられる。長いとのびちゃうと。

読書レビュー:怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世 戯れて候ふ


麿赤児

名文である。文章の密度が濃いというか、隙がないというか。
京極夏彦的な濃さではなく、より優しく孤高な濃さとも言える。

抜群にリズムが良くて、とっとっとっと読まされる。

脚本も書かれるのだから、プロの文筆家とも言えるがこのような自伝とは又別物。

ガンを克服し、己の来し方をまとめてとどめておこうと思われたのか。
最終章に、稽古中に被災した東日本大震災のことにも触れられているので、より一層その感を強められたのかもしれない。

なぜかあとがきがない。唐突な終わり方だ。
これは続編でもあると期待していいのだろうか。

実際、割愛している部分もあると明記されている。

読みたいです、麿さん。

あまりにも劇的すぎて、ホント?と思えるようなエピソードもあるのだが。この人ならばあるんでしょうね。

語彙の豊富さは文学者レヴェル。非常に好ましいのだが、現在では一般向けにはあまりアピールしないか。その点、少し寂しい感じもする。

最後の方に少しだけ出てくるが、劇団日本維新派。ボクはこの劇団を少しだけ、ほんの少しだけ手伝っていた。現在は維新派となっているようだが。

まだ、バリバリの白塗り前衛だったころ。町田町蔵(町田康)も在籍していた頃。

東の大駱駝艦、西の日本維新派と言われていた。

最初から最後まで、憧れた時代だ。麿赤児さん、ボクよりも大分と世代が上。

まさにボクにとっては理想的演劇人の人生双六。

唐十郎、三島由紀夫、埴谷雄高、池田満寿夫、そして寺山修司。

錚々たる登場人物をさらって描いて、かっこいいなあ。

あの時代の憧れていた東京、新宿あたりが期待通りに描かれている。

この思いは今、「深夜食堂」などに続いているのかもしれない。
と、脱線しかかったところで、まとまらないし、やめておきます。

読書レビュー:世界一わかりやすい「速読」の教科書  速読法チャレンジ


あけましておめでとうございますm(_ _)m

今年は震災への配慮から、年賀状におめでとうと書かない人も多いとか。

しかし、これは前向きに、無事に新年を迎えることに大しておめでとうなんだから、良いですよね。

いつも、正月は完全にOFFになってしまいます。

お屠蘇というよりは、単なる連続飲酒状態で。

しかし、最近は自分を完全にOFFにしてしまうことの弊害を認識しています。

火を全部落としてしまうのではなく、常にアイドリング(暖機運転)状態に保っておくこと。

この方が再びエンジンをかける時へのストレスもなくなります。これば大きい。

で、大晦日から、速読法の習得に取り組んでおります。

ちょっと前に買って放置していた本が気になってたので。

読書の達人・アルチザンを目指して。

あまり読了とかは関係ない種類の本と思いますが、読み終わりました。

付属のCDによるトレーニングを1週間。まだ2日目なので。

速読の本は何冊かチャレンジしましたが、その都度挫折。

神田昌典さんや勝間和代さんが実践して推薦してる「フォトリーディング」も、言ってることはわかるけど、なんかめんどくさくてダメでした。

しかし、この本の理論・技術にもフォトリーディングは包括されています。

本は精読するものという固定観念を捨てるということは、常々自分が思っていたことです。だから何冊読んだとかいうのは、あまり意味を持たないと思っています。

付属CDには、通常の朗読の3倍・4倍・10倍の音声が収録されています。

この本を読みながらその音声を聞く方法。10倍はまったく宇宙語で聞き取れません。いまのところ。

3倍・4倍はなんとか聞き取れるのですが、10倍というのは聞きとるというよりは、イメージとして捉える練習のようで。

でも、まだトレーニングは始めたところなので。1週間後にはなにかがわかってるんだろうか。

読書レビュー:随筆 上方落語の四天王――松鶴・米朝・文枝・春団治


良かったのは、番外とも言うべき古今亭志ん朝編だけと感じました。

あくまでボク的にはですけど。

いわゆる四天王(この表現もおかしいと思いますが)の「解説」なんですが、なんか、単に速記の解説みたいで、それも私見のみという感じで面白くもなんともない。

志ん朝の上方との関わり、TORII HALLとの関わりなんかが唯一興味深かった。

なんで、飛ばし読みにしました。

読書レビュー:山嵐


今野 敏
集英社
発売日:2000-11-24

先日読んだ武田惣角伝「惣角流浪」と対を成す作品かもしれません。

ほぼ同年である武田惣角と嘉納治五郎。

かたやオリンピック競技にもなり、古流から見事にスポーツに進化した講道館柔道と、正反対の道に深化していった「大東流合気柔術」。

ともに、幕末から明治にかけて武道に命を掛けた創始者(創始者というには惣角は?かもしれないが)であり、この二人を真っ向から対峙させれば、まさに「刃牙」的ワールドが広がるのだが、史実はそれを許しません。

互いに接点はありますが、小説として盛り上がるほどのものではない。

そこで、講道館四天王の一人、「姿三四郎」のモデルでもある西郷四郎がこの小説の主役です。

西郷四郎と武田惣角は同郷であり、互いに近しい間柄でもある。
というか、兄弟弟子のようでもあります。

題名の「山嵐」を武器に連戦連勝に青年の苦悩を絡めてとなると、「姿三四郎」になりますが、この西郷四郎は一路柔道に邁進するわけではありません。

大陸へ馬賊になるべく、東京に出てくるのです。

しかし、やはり武道家としての血が騒いで・・・いろいろと。

作者はあまり、扇情的な筆使いをしません。

唯一、中国に渡ったときに戦った李書文(!)とのアクションがくるくらい。

読後感として、四郎ははこれで満足だったのかなあと・・・。

凡人としては一抹の寂しさを覚えます。

武道家として、又新聞人として、燃え尽きたとは思うのですが、両方が軸足で、満足のいく働きだったのか、人生だったのか。

いや、これは西郷四郎という偉人としてはということですが。

明治の初年。この時代、いろいろと面白そうです。

読書レビュー:のぼうの城


大分前に買って、ずっとおいてあったのをやっと読みました。

映画化される(されてる)のですが、水攻めシーンが読んでいるだけで東日本大震災の津波をイメージさせるので、公開を一年以上延期させるようです。

読後感というより、読んでいる最中から、こりゃ漫画(アニメだな)という感じを受けました。

ボクは特に歴史小説を沢山読んでいるわけではないのですが、吉川英治や司馬遼太郎なんかを読破してきた人にとっては、表現が安っぽく感じるのではないでしょうか。

読んでいて、いかにも現代的な・・・んー、よく知らないのですが、少年ジャンプ的なビジュアルが浮かぶんですよね。

長編とは言え、先述した先達の大長編を考えると、短い小説です。

それがご都合主義的に進んで行く感じがしないでもない。

ちどりとかの設定なんですが。中高校生とかにもシンパシーを感じさせるのではないでしょうか。

ちなみにちどりのキャスティングは当然のごとく芦田愛菜なんで。

読んでいて、実写版の映画より、ジブリに任せたほうがいいんじゃないの?と思いましたが。

小説ではのぼう様は長身の大男です。野村萬斎もイメージ的にはすごくいいんですが、ちょっと違うかな。

最初の展開は結構ゆっくりしてます。

ちょっと退屈するかもしれない。

しかし、その感覚は中盤あたり。

上り詰めたジェットコースターが滑走するようにブレイクします。

なるほど、こういうことなのね。という感じ。

まんまと乗せられます。

面白い、おもいしろい。

これが全くのフィクションであったなら、白けて読んでないとおもいます。

史実に則っエンターティンメントであるので、いきいきと楽しむことができます。

しかし、ある意味、映画化は楽なんじゃないかなと思ってしまいます。

全てが現代的なイメージで次々と思い浮かんでくるのです。

著者は本来脚本家なので、当然ですが、それを考えても確信犯だなと。

さて、自分でハードル上げまくった和田竜の今後が心配な快作です。