「正直観たもの読んだもの」カテゴリーアーカイブ

映画レビュー:海洋天堂


オフィシャルサイトより抜粋

それほど多く観てないけど、アクションもさることながら演技力の確かさに舌を巻く、ジェット・リーの文芸作。

ジェット・リーがスーパーアクションスターのオーラ、激しさ、ケレンなどを一切封印して魅せる佳作。

あのジェット・リーが真面目一辺倒しかとりえない、中年のオッサンになっています。

静かな静かな・・・映画。奇を衒ったところの全くない、正統派ともいうべき演出とカメラワーク。

悪いけど、スタローンやシュワちゃんじゃ無理でしょうね。

ターフー(息子)を演じているウェン・ジャンも素晴らしい。

自閉症と言えば、「レインマン」のダスティン・ホフマンと”確実に”比較されると思うけど、その重圧を完全に覆してます。

これも淡々と演じて素晴らしい。

泣くという意見も多いし、そのとおりなんだが、ボクとしては心に沁みいる・・・と表現したい。

あと、サーカスのクラウン・リンリン役グイ・ルンメイが必要以上に可愛すぎて、コレも( ;∀;)泣ける!

観るべし!!

映画レビュー:さや侍   観ました


この顔面は反則やね

はぁぁ、こうくるかぁ・・・という感じ。

途中までは、「笑ってはいけない」シリーズを映画館に持ち込んで、観客を当事者にする試みか。

なるほど、主人公の演じる笑いのプレッシャーは、つまり松本自身のことなのね、とか思ってたのですが。

最後はこうくるか。

確かにいいよ、竹原和生。

柳家喬太郎おそるべし!!


ずっと気になっていた柳家喬太郎。

西の笑福亭三喬と並ぶお気に入り。

「朝日東西名人会」at梅田シアター・ドラマシティー。

本日のトリは笑福亭福笑だったのですが、目当ては当然、柳家喬太郎。

長く続く現在のお笑いブームの中にあって、漫才・コントと同じ空気感の中で伍してやっていける稀有な存在です。

と言っても、すでに50歳近いのですが。

何年か前の舞台をyoutubeで観ていたので、髪も真っ白になって、おまけにえらく肥えてて貫禄十分です。

ま、この大きなお腹もネタの中できっちりと活かしていたのですが。ちなみに掛けたネタは「たいこ腹」ね。

仲入り前の中トリが三遊亭圓丈で、どういう選択かしらないけども、新作の人情話をかけました。
圓丈といえば、紋付の紋をストーンズのアッカンベーステッカーにしてた、ヘリウムより軽い噺家さんだったと思うんですが、今日のネタは何だったんだろうという違和感が残りました。

あれはあれで良かったんかな。

さて、仲入り後の喬太郎ですが、期待をはるかに越える面白さでした。

東京からの来演なので、ともすればアウェイ感も大いにあるだろうが、そんなことは微塵も感じさせない。

もっとも、ボクを含めて期待感の方が大きいだろうから、そっちの方がプレッシャーか。

完全に客を自由自在に操っていた。文字通り手のひらに乗せてころがすように。

ナマ喬太郎はどうなんだろうと思ったこちらの浅はかさよ。

ほんま、やられました。

福笑さんもこのあとではやりにくいだろうなという感じ。

福笑師のネタは「口入れ屋」五代目桂文枝のものではない、豪快な演出はいかにも笑福亭でした。

とりあえず、三遊亭喬太郎さん、機会があれば、何度も観たい聴きたい噺家です。

しかし、大阪界隈のホール落語では、ほぼ、はずれなく会いますね。

落語作家の小佐田定雄センセイ。さすがに。

映画レビュー:猿の惑星 ジェネシス(〜何するものぞ)


オフィシャルサイトより

昨夜、予定通り「猿の惑星ジェネシス」を観てきました。
原題では「The planet of the Apes」となっており、映画の中でも「Monkey」と「Ape」は使い分けられているのですが、相変わらずやはり「猿の惑星」ですね。

今回は「猿の惑星・征服」のリメイク(?)なので、コーネリアスとかは出て来ません。主役はシーザーです。

旧シリーズでも舞台が近未来になっているので、リアルな面が強調された1本でした。

ネタバレしないように、気をつけて感想文を書きますが。

多分、95%はCGです。(すでにネタバレか?)
旧シリーズ、TV版、2001年版おまけに「猿の軍団」まで観てたボクからすると、やっぱ、メイク(エイプスーツ)での制作が良かったですね。最後まで居心地の悪さを感じました。

これも、テレビCMの予告編で流れてるので、書いてもいいと思いますが・・・
確かに本作のCGはリアルです。特にオランウータンはとてもCGとは思えないできです。でも逆にCGでないと作り出せない映像なんですが。そこに拘泥してしまって、楽しめない自分がイヤヽ(´Д`;)ノアゥ…

と、同時に、映像がリアルであればあるほど、おかしいのが、猿の数。

舞台はサンフランシスコなんですが、アメリカ中にしたっておかしいけど、一体、サンフランシスコに何頭のチンパンジーがいる設定やねん。ゴリラもオランウータンも。
オランウータンなんか、高等生物では絶滅危惧種の最右翼やし。

この点がいびつなリアリズムと言えるでしょうか。ほんとに観ながら笑う場面じゃないのに笑ってしまいました。

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演出上では、目が重要ですね。

これも活かされてました。

成長しておとなになったシーザーは途端に目が違います。

意思と知性をもった、人間の目になります。そして、目で演技するようになる。
ほんとの動物とは、これが決定的な違いとなります。

特殊メイクの部分もあるので、目が白人です。

ホントのチンパンジーやゴリラはこんな目の構造じゃないので、違和感といえば違和感。
やたらと男前なシーザーです。

2001年版では、あのチンパンジー女子がすごく可愛かったですが。

それにしても、アメリカ人は「キングコング」以来、ほんとに猿(Ape)が好きなんだなあ、と思わせる一編。

名前が「シーザー」なので、旧シリーズを観ている人ならば、大体の結末の予測はつくでしょう。
今回はシリーズ化はされるんだろうか。

されたら、又観に行ってしまうかもしれない。

新しいコーネリアスやザイアス長官に会えるかも・・・

書きたいことはあるけど、ネタバレにもなるので、今は書けません。

もしかしたら、数年後に書くかも。

読書レビュー:脇役誕生 花沢 徳衛


花沢 徳衛
岩波書店
発売日:1995-02-24

図書館で借りたので、全部読めませんでした。

良いエッセイなのですが、今ひとつ集中できなかった。

大好きな俳優さんです。

ほとんど高齢になってからしか知りませんが、名優です。

共産党員としての活動でも有名でした。

昔、「徹子の部屋」に出た時のことを覚えています。

指物師だったそうで、作品持参して説明されていました。

本書によると、小学校中退で指物師の修行をし、非常に若くして独立して失敗したようです。

その後、絵かきを志し、紆余曲折の後、俳優になったと。

ルックスをご存知の方も多いと思いますが、特に年を経てからは「頑固親父」を絵に書いたような人でしたね。

「男はつらいよ」にゲスト出演した時は、病気でしゃべることができない、老香具師をコミカルに哀歓たっぷりに演じていました。

しかし、文才というかボキャブラリーというか、いささか古めかしくはありますが、近頃の有名作家を凌駕しているのではないでしょうか。

文中、何度も「小学校中退」「無学」「学歴がない」という自虐的な言い訳が出てくるのですが、単に学歴がないだけでその知識・見識は全くのインテリです。

同時に俳優の研究所に入った同期が京大や早稲田の出身者であったり、やはり映画監督などは高学歴の人たちが多かったので、負けん気で猛勉強されのであろうことはうかがい知れます。

そのせいもあるのか、文章が非常に固いです。

ちょっとエッセイというには肩がこる感じ。

そう感じる自身は少し反省すべきなのか。

井岡vs.エルナンデス


デジタルに移行して、HDレコーダが対応しなくなったので(デジアナはOKだけど、汚い)、久しぶりに録画しないでボクシングを観ました。

全くダレ場のない、面白い試合。

WBCミニマム級タイトルマッチ 井岡一翔VSファン・エルナンデス

WBC同級一位の挑戦者。初防衛の相手として、どこからも文句のこない強敵。

さすがに井岡も緊張してるっぽかったですね。

まあ、テレビで観ている分には全然問題ないんですが、後楽園ホールってどうなの。
もっと大きなハコでも良かったんじゃないの?

最近関西勢が目立ってますね。三馬鹿兄弟は不要だけどね。

今回の一回目の防衛戦はいい試合でした。特に日本人だけら応援するということもないですが、井岡はやはり好ましい。今のところ。

非常にスリリングだけど、安心して観ていられる試合でしたね。

お互いに積極的な攻防を魅せてくれた。

エルナンデスのディフェンス力の高さは素晴らしい。

華麗なヘッドスリップで、負けたとはいえ、キレイな顔のまま終わりました。
逆に井岡の方がカットしてましたね。

井岡の方はどうも無理くりボディでのKO再現を狙ってたくさいような。

書いたようにヘッドスリップが巧みな挑戦者を攻略するために、打分てたのもあるでしょうが、終盤はかなり右ボディを多用してました。結果非常に有効ではありましたが。

挑戦者はあれで心が折れかけてたように見えました。それほど、井岡のボディは威力があったと。

しかし、エルナンデスを今ひとつ捉えきれなかったのも事実。

もっとも、あれだけの巧者に対して、ボディを多用するのはかなり怖いでしょうし、やはり、井岡の技術とハートも素晴らしい。

やっぱ、タイトル奪取時のエグいボディが鮮烈だったので、再現してほしい気持ちはあります。

3R目が終わったくらいから、負ける要素がなさそうなので、あとは倒せるかどうかだけかなという感じ。

圧倒して勝利したのはご承知の通りですね。

やはり、減量がきついみたいですし、一番小さいところから始めていくのは、複数階級制覇も目論んでのことでしょう。

防衛記録もいいですが、あと、1,2階級上げたところで全盛期がみられるのかなと思います。

長谷川穂積が失速してしまった今、やはりフォローしていくべきは井岡一翔で決まり。

読書レビュー:ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」 (宝島社新書 307)


この著者の前著「ウェブはバカと暇人のもの」も読んだが、そこで書き足りなかったのか、同じ路線での著作、だと思います。

前著でも、端々の事例や考えはわかるのだが、今ひとつ言いたいことがわからない。
ボクの頭の中では様々な事例が解へと収斂していかない。シナプスがつながらないというか。

本書にある「ネット原理主義者」って、誰のことなんだろうか。そんなMacエヴァンジェリストみたいなユーザってあんまり周りにいないけどなあ。

むしろ、何日かに一編しかPCを立ち上げないとかいう人の方が目に付くか。

ただ「痛い人」は掃いて捨てるほどいますわね。多分、若年層を中心に多いのでしょう

その「いなし方」というところに惹かれて、読んでしまいました。決して前著に感動して読んだわけではありません。

インターネットに世界を変える力なんかないと。力のあるのは、それらを正しく使える人間だと。

そんなことは声高に叫ばなくてもわかってます。

そりゃ、もちろん、ツールはツールでしかないです。

それは電話やファクスにも言えることで、通信革命ですよね。

ファクスなんか、つい最近まで、そんなモンなくても仕事できる、って言ってる零細企業の社長はいましたから。

どんなツールでもユーザにエキセントリックな人間は存在します。

もともと偏執的な人が、こりゃいいわいと使い始めて、その存在があぶり出されるように顕著になったっていうのが現状じゃないのでしょうか。

「ウェブはバカと暇人のもの」というのは、やはりあまりにも一面しか表現していないと思います。

著者は、ネット住人でもある代わり、多くの偏執的なネットユーザの被害者でもあるので、あえて、辛辣に断じてるように感じました。  

最近、どのように使えばいいのか悩んでいるSNS。

Google+で一応の収束なのか?なかなか整理してついていけませんが、可能性は感じています。