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読書レビュー:プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用


非常にわかりやすい本です。にもかかわらず、自分の語彙力(ターム)と理解力のなさを痛感します。
プラットフォームはランチャーなど複数の言葉に置き換えられるものと思います。
ビジネスモデルの構造としてのプラットフォームの説明が体系的に書かれています。
もとは学術論文で、それを一般向けにわかりやすく再構築リライトしたものとのことです。
ここのところ、ネットや新聞ではGAFAを始めとするプラットフォーマーという言い方の方が多く見受けられるように思いますが、その元となるものがプラットフォームです。
ここで言われるプラットフォームとは目新しいモデルではなく、ベースとなる大きなシステムがあり、それにアタッチメントとしてのサブシステムが乗っかるということです。
最近それが顕著に観られるのがITの分野であり、例えばOS上を走らせるアプリケーションソフトがそのモデルにあたります。
現実にはさらに多様性があり、複雑になっていきます。
印象に残ったタームとしては「スイッチングコスト」「マルチホーミング」などがありました。

映画レビュー:「ガンジスに還る」


ガンジスに還る
オフィシャルサイトより加工転載
インド映画ですが、歌もダンスもありません。マサラムービーではない。

ロッテントマトの評価が最高というのを信じて観たのですが、うーん、微妙です。

ちょっと、小津映画を彷彿とさせるものはあります。

あまりにも淡々としすぎていて、さりとてインドの風景をしみじみと堪能するほどの画力(えじから)もあるとは言い難い。

コメディと銘打ってる案内もありますが、コメディというにはパンチが弱い。

先日、同じインド映画の「バーフバリ 完全版」を観たのですが、これはこれで辛かった。あんまり
インド映画は観ていませんが、どうも相性というか、感性のズレがあるのかもしれません。

間も無く、「ムトゥ 踊るマハラジャ 公開20年記念」が封切られますが、これも観に行くかどうか迷い中です。

★★☆☆☆

お気に入りものまね


本日ラジオを聴いていると、ラジオDJが「虫の声の声帯模写」とか言ってました。

虫の声はものまねですね。江戸家猫八とか。

で、役者のマネが声色(こわいろ)で、文化人とかのマネが声帯模写だと思います。

「声帯模写」という言葉を生み出したのは古川緑波だと聞きました。

それまでの声色とは一線を画したわけですね。インテリの古川緑波らしい命名です。

テレビのものまね番組は昔から安定した人気があります。これは歌マネ番組と言ったほうが、より近いかと思います。

めんどくさいのでものまね番組で良いですが。昔は良く観ていました。

でも、最近はオリジナルがわからない(ついていけてない)ので、殆ど観ません。

You Tubeでたまに観ている中で、これは!と思うのを並べてみました。

だからどうってことはないのですが。

徳永英明 by英明
https://youtu.be/Bshw-vfC63s

鈴木雅之 byコージー冨田
https://www.youtube.com/watch?v=9q9BVfF7iuk

ちあきなおみ by君島遼 ※この人はモンスターだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=XKRUX5VrGwU

欧陽菲菲 テレサ・テン by篠塚満由美 桂銀淑 ※この中ではこの動画が一番好きです。

Freddie Mercury by Marc Martel

映画レビュー:「孤狼の血」 グロいよ-


孤狼の血
オフィシャルサイトより加工転載

ほんとは「シューマンズ カフェブック」を観に行く予定だったのけど、時間が合わなくなったのでこちらの映画にしました。良いという評判を聞いたもので。
見事に対局に位置するような作品なので、直前に試合相手が変わった総合格闘家のような気分です。

孤狼の血」タイトルにはイマイチそそられませんでした。

役所広司と松坂桃李のダブル主演。このダブル主演というところがちょっとミソ。

本作品は古舘伊知郎も「アウトレイジに対する東映の答え」と、流石の名評価をしています。

アウトレイジ」が「仁義なき戦い」をリスペクトしつつ、脱却しようとしている感じなのに対し、本作は乗っかってというか「1954ゴジラ」に対する「シン・ゴジラ」という作りでしょうか。

映画の冒頭、まずオープニングでムチャクチャにされるのが駿河太郎だとは最期まで気づかなかった。この人はちょっと好きです。

主役1:役所広司の安定感はさすがです。

主役2:松坂桃李は最近好きです。なんか。

それにつけても「ガッチャマン」はひどかった。
旬の松坂桃李と鈴木亮平と綾野剛を使ってなんでああなるんでしょうか。
あと「ルパン三世」も
・・・関係ないですね。

本作はR15指定。

見に来ているのはオッサンというよりは初老の男性が多かった。
やっぱり「仁義–」の夢をもう一度なんでしょうか。

例外で一人だけで観に来ている女子がいたけど、多分松坂桃李ファンでしょうね。
多分後悔したんじゃないかな。
いや、後悔させる映画なんです。
無駄にリアルにグロくて超ドSなんです。
ネタバレじゃないけど、そういうのがムリな人は行かない方がいいかもしれない。

東映といえばVシネですが、そっち系の人たちは今回出ていません。
出してしまうとどうしてもVシネ臭がしてしまいますし。
しっかりと最近の東映ぽく、劇場映画の高級感を出しています。

「アウトレイジ」は中野英雄とか白竜とか出てましたけど、それほどVシネしてなかった。

それと、やはりアウトレイジと被っちゃうキャストがちらほら。
石橋蓮司とか。蓮司さんも最期はやっぱり悲惨な感じ。これはお約束なんでネタバレじゃない!

ピエール瀧も安心して見ていられる俳優になりましたねー。
今回はちょっと格好良かった。

で、このグチョグチョでグログロな映画の中で奮闘する一服の清涼剤的な役柄が松坂桃李なわけです。

うん、よくできた映画だと思います。

ただ、「仁義–」シリーズのようにセリフを覚えるまでヘビロテできるかというと、そういう感じでもないかな。

★★★★☆

※ホント、関係なですが、何を思ったか前の方の席を選んでしまったのですが、シネコンとかだと最近のスクリーンはやたらでかい。
視界に全部収まりきれないのと、手持ちカメラ多用(「仁義–」の影響か?)のお陰で気分が悪くなり途中で一番後ろの席に移りました。
こんなのはIMAXで観て途中退場した「インセプション」以来でした。学習しよう。

映画レビュー:「タクシー運転手 約束は海を越えて」 ソン・ガンホGJ!


タクシー運転手
映画館でもらってきたリーフレット

原題も「タクシー運転手」つまり「TAXI DRIVER」なので、例のロバートデニーロの名作と同じタイトル。

しかし、それに負けないくらいの佳作です。

ソン・ガンホは間違いなく素晴らしいですね。

昨年の「密偵」も観に行きたくて行けなかった。悔やまれます。

助演のユ・ヘジンはどこかで見たことあると思ったら、やっぱり「鍵泥棒のメソッド」のリメイク版「LUCK-KEY」で殺し屋役をやってた人ですね。
なんか、「燃えよドラゴン」のボロみたいで好きです。

本作は最初に言いますが、素晴らしいです。
最初に★✕5つけておきます。

光州事件の際にあった事実に基づいているらしいです。

「光州事件」というのが、現代韓国で起こった大惨劇であることは知っていますが、詳細は知りませんでした。
1980年にここまで非人道的な事件が隣国であったとは。
改めて勉強したいと思います。

事実に基づいてはいるのでしょうが、かなりハリウッド的な映画(演出)だとも言えるでしょう。
私はいわゆるハリウッド映画も好きなので、良い悪いの問題ではありません。

1980年の韓国というのはこんな感じだったのですね。非常に興味深いです。

ネタバレになりますので、内容には触れませんが、ラストではヒロイックな庶民がハリウッド(アメリカ)的な情緒を持って描かれます。

ただ、やはり悪名高き光州事件に材をとっているだけに、ショッキングなシーンがリアルに凄絶に続いていきます。

その中にあって、庶民代表を演じているのがソン・ガンホ。
明るく軽い演技で重苦しさから救ってくれます。

観ている最中に感じたこと。
韓国の成熟度。

これからどうなるのかわかりませんが、つい先日南北首脳会談がありました。

それまでにも韓国映画では、「シュリ」などセンシティブな内容で北を扱ってきました。

そして今回は記憶にも新しいであろう軍による民間人大虐殺。

国としての文化的成熟と安定した平和がなければ作れないし、ましてや誰憚ることなく大きな支持を得ることもできないでしょう。

現在、先述のハリウッド大作には、大きなチャイナマネーが注がれいます。
また、マーケットとしても15億人の中国はオイシイ国です。

しかし、それは中国政府にとってマズイものであっては通りません。

中国国内で天安門事件を扱った映画ができるのはいつのことなのでしょうか。

★★★★★

映画レビュー:「LUCKY」 こんなジジイもいいかも


lucky
オフィシャルサイトより加工転載

90歳で主演した、ハリー・ディーン・スタントンは昨年亡くなりました。
昔、公開時観ようと思いつつ見逃した「パリ、テキサス」に出ていた人です。

サボテンだらけのアメリカの田舎町に住む主人公ラッキーは90歳の元海軍軍人。

毎朝起きてタバコに火を点け、牛乳とコーヒーを飲み、ちょっとだけヨガをする。
馴染みの店でクロスワードパズルをして、夜は禁煙のパブでブラッディメアリーを呑む。

それがルーティーン。

頑固で現実主義の唯物論者。なんだかとても親近感が湧く存在です。

なんか、ジーサンになるのも悪くないかなあと思わせてくれます。

そんなラッキーの友達を演じるのが映画監督のデヴィッド・リンチ。
エキセントリックな印象の強い監督ですが、「サイレント・ストーリー」で見せたようなホンワカした一面もあり、今回は演技者としてそれを見せてくれます。

ペットの亀に脱走されて、大泣きする紳士役。
くだんの亀もいい演技を披露してくれるのですが。

実はボクも一昨年15年以上飼った亀に逃げられてしまい、感情移入してしまいます。

そう、彼が言う通り、亀は100年生きるのですから!

それはともかく。

ラッキーはそんな愛すべき人たちに囲まれて、来し方行く末を思います。

結婚もせず天涯孤独で(多分)、悲惨な戦争も経験して来ました。

その上、無神論者の唯物論者。

齢はすでに90歳。

健康にも不安が出てきます。

でも、なぜかラッキーが羨ましくもある。
そんな映画です。

★★★★★

映画レビュー:「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」


ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
オフィシャルサイトより加工転載

イギリスの歴史について少し勉強をしようと思っているところです。

この映画の原題は「Darkest Hour」。
なんでTheがつかないのかわかりませんが、「最も暗い時間」(夜明け前)ということでしょうか。

今年2018年のアカデミー賞で辻一弘さんがメイクアップ賞を取ったことでも有名です。

メイクを施されたのがゲイリー・オールドマン。

実在の人物を演じてシド・ビシャスからウィンストン・チャーチルまで、なんと振り幅の広いことか。

受賞にふさわしい、完璧なメイクです。

チャーチルに似てるかというと、ベースが全然違うので顔面自体は特に似ていません。
が、多分チャーチルってこんな感じだったんだろうなと思わせる説得力はあります。

ゲイリー・オールドマンって目が可愛いんですよね。
チャーチルの妖怪みたいな目つきとはちょっと違う。

それと気になったのが、演技派のゲイリー・オールドマンが、顔を殆ど覆ってしまうような特殊メイクに抵抗がなかったのかなということ。

顔の輪郭が違うので、かなりの面積をラバーで 覆っていると思われます。

微妙な表情筋が使えなくなるということですよね。
ボクは映画を観ていても全く違和感は感じませんでしたが。

フランケンシュタインの怪物や猿の惑星ならばまだ良いのでしょうが。
正味演技を見せる映画でドアップも頻発しているのにね。

あと、先日の「シェイプ・オブ・ウォーター」もですが、まだ記憶のある程度の昔の街並みや地下鉄駅構内の再現度が超絶高いですね。

黒澤映画なんかはそうでしたが、邦画もこれくらいのリアリティを追求して欲しいです。
映画は真実よりもリアルを目指して欲しいというのが個人的希求なので。

最近は時代の流れに逆行するように、妙に喫煙シーンの多い映画が目に付きます。
(今日も都庁内完全禁煙の報がありました)
劇中のチャーチルは常に高そうな葉巻を咥え(というか噛んで)います。
さすがに絵になりますけどね。

★★★★☆

映画レビュー:「グレイテスト・ショーマン」


the greatest showman
オフィシャルサイトより加工転載

なんだろう。

どこがだめなんだろうか。
いや決して作品としてダメとか全然ないです。

自分の問題です。

周りから(というか娘なんですが)めっちゃ良いから観に行けと言われて行ったのです。ちなみに彼女は3回観に行ってるわけですが。

ヒュー・ジャックマンと相性悪いのかな。
「レ・ミゼラブル」も映画冒頭でで挫折したし。

ヒュー+ミュージカルというのがだめなんだろうか。

映画はキャッチーな曲とダンスから始まります。思いっきりミュージカルしています。
普通ならここで心を鷲掴みにされるんだと思います。

舞台はサーカス。
しかし時代は19世紀。なので現在のシルク・ド・ソレイユな部分もあるけれど、多くは見世物の障害者などのマイノリティで彼らを座員の中心として描いています。
(ヒゲ女・犬少年・小人・・・)

物語の柱として、反差別やダイバーシティの重要性などが据えられいるようです。

そして彼らはおしなべて善意の弱者として存在します。
上流階級からも下流階級からもあからさまに迫害されています。

被差別者を率いて新しいエンタテインメントを作ろうと奮励努力する明るい主人公ヒュー・ジャックマン。わかりやすいし、歌も踊りも楽しい。

自分がもう一回観に行くかというと行きませんが、聞かれたらお勧めする一本です。

★★★☆☆

読書レビュー:「路地の子」 「路地」とは・・・


著者 : 上原善広
新潮社
発売日 : 2017-06-16
本書の「路地」とは被差別部落を指す。
著者は被差別部落の出身者であることを公言し、多くの路地を題材とした作品を著している。

主人公は著者の父であり、物語の中盤から主人公の三男である著者も名前が出てくる。

導入部の屠畜の詳細な描写は読者を選ぶかもしれない。

舞台は羽曳野市など、大阪のどちらかというと南部に近いところである。

ボク自身は大阪北部で生まれ育っているが、やはり、西日本は大規模な被差別部落が多く、大なり小なり身近に感じることは度々あった。

中でも、かつてボクの自宅の近くに市場があり、隣接して大きな精肉店とういよりは精肉工場があった。その入り口には巨大な肉牛を縦に二つに断ち割った枝肉がいくつも吊るしてあった。
その近くでは牛の大きな骨を野良犬が取り合っていたりした。

それを奇異にも思わず日常的に見ながら登下校していた思い出がある。

近くには地名からそれと分かる地区もあったが、関係はわからない。

登場人物は戦中戦後を生きた世代から主人公のように高度経済成長期から今日までの食肉業界の内幕を裏社会とのしがらみを交えて展開していく。

ノンフィクションではあるが、まるで花登筐の描く物語のように見事にドラマチックに展開して行く。
又、時代背景が未整備な行政と同和問題(利権)が絡み合った戦後からの闇社会なので、まさに仁義なき戦いの同和版と言える。

特に後半は同和・暴力団・右翼が利権を巡って複雑に絡み合い、銭儲けの才覚だけはあるが狂犬のよう(作中では何度も気違いと言われている)な主人公や、一人任侠路線を貫くヒロイックな脇役なども登場して盛り上がりを見せる。

とてもフィクションとは思えない展開ではある。
あとがきの中でも、著者は自分の父親に取材している時に誇張しているのではと思ったらしいが、むしろ控えめに物語っているらしいことを語っている。

主人公にはほぼ感情移入することはできないが、自分にはまったくない人格であり、ある意味魅力的でもある。

また、あとがきでも書かれているが、著者もずっと自分の父親を忌避しつつ、実は愛しており、同様な道をたどってきたとのこと。
佳品ではあるが、今のところ著者にもシンパシーを感じることはできない。

✳︎実はこの主人公に似た食肉会社のたたき上げ社長を知っているのだが、リアルすぎてこの文章に書くことが憚られる。

映画レビュー:シェイプオブウォーター


シェイプオブウォーター
オフィシャルサイトより加工転載

本年2018年のアカデミー 作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞を受賞した作品です。

で、半魚人です。

普通に、「大アマゾンの半魚人」が造形の基本になっています。

勿論、ギレルモ・デル・トロなんで、彼一流のビジュアルにはなっていまが。
このクリーチャーを演じるのは、ダグ・ジョーンズ。パンズ・ラビリンスでペイルマンを演じていた人。
アメリカ一の着ぐるみ俳優です。

時代は1962年の冷戦時代ということなんですが、描かれるスチームパンクっぷりがすごいです。60年代というよりは40年代っぽい。
この再現度は世界最高のオタクであるギレルモ監督の面目躍如といったところで、それだけで一見の価値あり。
実際に古い映画を観るよりもレトロ。

エログロも爆発で、幼い観客を拒否しているところもある意味シンパシーは持てる。
エロシーンは何の意味があるのか正直わかりませんが。

ホントにギレルモ・デル・トロという人はあのトトロのようなルックスの中に、邪悪な何かが住んでて、どうしてもそれを抑えられないんでしょうね。

ほんの少しネタバレさせると、猫好きは観ないほうが良いかも知れません。

ヒロイン・イライザを演じるサリー・ホーキンスが美人でないところも良いですね。

これ以上なくわかりやすい悪漢ストリックランドを演じるマイケル・シャノンも良い存在感です。

ディズニーとは一線を画する上質ファンタジーです。

★★★★☆

※ネタバレメイキングです。