カテゴリー別アーカイブ: カトウワタルの本棚

読書レビュー:日本懐かし自販機大全


以前からYouTubeでよく観ていました。

ミュージシャンでもあり映像クリエイター・ウェブデザイナーでもある作者の、レア自販機サイト。
YouTubeはオリジナルのギターもすごく良いのです。

自分としては、富士電機の天ぷらうどん自販機がひたすら懐かしい。

自販機の神としてネットにも度々出てくる田中さんを大フィーチャー。ネットで観る以上の発見はありませんが、丁寧に作られた良い本です。

YouTubeサイトはこちら  http://bit.ly/1NjbtFE
オリジナルサイトはこちら  http://jihanki.michikusa.jp/

読書レビュー:古都


一応、郷土の超有名人なので常に意識はしていましたが、これまでに読んだのは
「伊豆の踊子」「雪国」くらいのもので、それもはるか昔のことでした。 続きを読む 読書レビュー:古都

読書レビュー:あかんやつら 東映京都撮影所血風録


力作です。10年以上の取材に基づき、日本映画愛・時代劇愛・東映愛にあふれています。
清濁併せのむというか、ほとんど濁ってる感の東映映画ですが、松竹はじめ、他社もえげつない歴史があったようですね。
「東映京都撮影所血風録」という副題はえらい大げさだなあと思っていたのですが、読みすすめると決して大げさではないと思えてきます。

大川博、岡田茂と言った東映の歴史を作っていった人たちは、とかくダーティなイメージを持ちがちだったのですが、特に岡田茂にという人については、新たな認識を持つことができました。

スター達の伝説については、これまでにあちこちでエピソードが語られてきているのですが、わりと初見のものもあり新鮮でした。
そして、スターの影に隠れることの多かった裏方たちの、それに優るとも劣らない武勇伝の数々も飽きさせません。

牧野省三から始まる東映という会社の流れが、今ひとつ分からなかったのですが、本書では非常にわかりやすく赤裸々に描かれます。

素晴らしい創造も多々ある中、昨今の中韓をパクリだなんだと言ってる人たちにも認識してほしい、どこも一緒だよというようなパクリ体質。バイタリティの発露と一言で片付けられない赤面事。薄々気付いてはいましたが、ここまでだったとは。
「宇宙からのメッセージ」とか、今見てもかなり恥ずかしい映画です。

私は昔一度だけエキストラとして東映京都撮影所に行ったことがあります。
俳優会館で衣装をもらって、ロケバスで京都の山の中に連れて行かれました。
その件の詳細は割愛しますが、その当時は当然時代劇も任侠路線・実録路線も過去の栄光であり、テレビ時代劇がそこそこ作られていた時代です。

しかし、あの独特の雰囲気は忘れられず、はまってしまったら抜け出せない麻薬のような空気を感じたことは覚えています。

東映と言えば、あの泥臭さしかイメージできない世代としては、昨今の良く言えば洗練された、悪く言えばボツ個性的な「相棒」シリーズとかは違和感しか感じません。とても「温泉みみず芸者」を作っていた同じ会社とは・・・。

映画好きはぜひ一読を。電子書籍化と望みます。

読書レビュー:赤目四十八瀧心中未遂


以前、映画になりました。小説としてではなく、まず映画としての認識がありました。

車谷長吉の作品ということは知らなかったのですが。

ただ、彫師役の内田裕也のインパクトだけが残り、なんとなくそういう映画・そういう話なんだなという曖昧な記憶のみでした。

そういう映画というのは、内田裕也がマンモスコングみたいな風貌でそのまま登場しても成り立つ映画っていうこと。

ちなみにずっと「チョウキチ」さんかと思ってたら「チョウキツ」さんだったのですね。奥付にルビがふられてました。

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「赤目四十八瀧」というタイトルからとりあえず一回は奈良が出てくるのだろうと思ってはいました。実際の舞台は殆ど尼崎。あの、ダウンタウンと勝谷誠彦。そして中島らもを輩出した尼崎です。

その中でも尼崎そのものでもなく、個人的にいろいろと思いのある、出屋敷界隈。

ニオイのある小説という感じ。

香りではなく、あくまでもニオイのある小説です。

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最近は西村賢太のアウトロー的私小説が評価されてます。

以前、西村賢太の事を暴力的なつげ義春と形容しましたが、こちらは関西のつげ義春という感じ。

「心中未遂」とタイトルでいきなりネタバレしてる感もありますが、まあ、それほど重要な部分でもありません。

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主人公は明らかに作者であり、非常にわかりやすい私小説。

新聞の人生相談などもやってましたが、なんか必要以上に年寄り臭い言い回しとかが少し引っかかる感じ。

西村賢太といい、最近の私小説はなんか尾籠な描写や性的描写をことさらミクロ且つ生理的に表現することによってリアリティを出そうとしてるのでしょうか。

荒唐無稽だけど、妙にリアルな話ってありますね。どちらかというとそういうものの方が好みではあります。

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登場人物がやたら出てきて、エピソードも沢山。それが全部投げっぱなしジャーマンなので、なんとかして欲しい感じ。それが作者の狙いなのかも知れませんが。

で、この続きはどうなるのよ。

退屈しないで読めましたけど。

読書レビュー:勝ち続ける意志力


 

著者のことは全く知りませんでした。もしかしたら、ゲームの好きな人にはかなり有名なのかもしれません。なにせ、ゲームの世界チャンピオンでギネスブックに載ってるくらいですから。

ボクはゲームの類は全くやらないのですが、(むか〜しに少しだけアーケードゲームをやったことがあるくらい)何故か惹かれて読んでみました。

ゲームとしてのマーケットはもちろん恐ろしい規模になっているということは知っています。

今現在ではスマフォでしょうか。極端に知識がないので、敢えて調べて書くことはしません。

知らないなりにこの本も読んだのですから。

一つには著者がゲーマー⇒雀士⇒介護ヘルパー⇒プロゲーマーという興味深い人生を歩んでいるというところに食いつきました。

福祉介護の経験がなければそれほど魅力には感じなかったかも知れません。

人生、振り幅の大きい方が楽しいですから。


無知なりに、ゲームの世界をわかりやすく読ませてもらいました。

  • ボードゲームのようにマーケットが確立されていない。
  • 多分、バグやコントローラーの不具合にも左右される。
  • ゲームのヴァージョン自体によって、個人的な向き不向きなども左右される。

じゃないの?とかもひっかかったりしました。

おそらく、ボクが想像するよりもはるかに競技ジャンルとしては確率されているのでしょうね。

本書の内容によって、薄々はわかったように思います。


なかなか文章は読みやすいですね。

かなり特殊な職業(除く介護)なのですが、主張はかなり普遍的です。

やってることは最先端?ですが、正確はどちらかというと不器用で古風です。というか、「古風」なのかもしれません。

ゲームを辞め、麻雀を辞め、介護を辞め、現在はプロゲーマー。

なぜそれらを続けることができなくなったのか。どうもその辺りがはっきりと書かれていません。著者ははっきりと書いたつもりなのかもしれませんが、門外漢であるからなのか、ボクがそんなにギリギリの生き方をしたことがないからなのか、結局わからない・納得できないのです。

多分、「イチロー」とかに近いのでしょうね。とことん追い込んで、勝ち続ける。

本来、ゲームは楽しむためにするのであってそれが本分かと思うのですが、著者は気軽にゲームセンターに誘う友人に語ります。「おれにとってゲームは遊びじゃないんだけど」。

世界チャンピオンから抜け殻のようなどんぞこへ。そしてまたギネスブックに載るような人生。

中学生に読ませたいですが・・・それもひとつのギャンブルかもしれない内容です。

読書レビュー:最強のNo.2


著者 : 曽山哲人
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日 : 2013-04-13
サイバーエージェントの人事担当者・役員・ナンバー2が書いた本らしい。

以前読んだ藤田晋氏の本は、本来氏が作家志望であったこともあり?普通にヨメた記憶がある。

本書はレイアウトにメチャメチャ凝っている。

にしては、内容がどうもひたすらマジメで凡庸で・・・。

2/3ほどで、イヤになってやめました。

鱗は瞳に張り付いたままです。

読書レビュー:「歪んだ経済」で読み解く中国の謎


歪んでいるのは経済だけではないと思いますが、現在の中国は経済抜きに語ることはできません。

著者は新聞等の解説などでお名前を拝見しますが、本を読んだのは初めてでした。

すでに日本に帰化しておられるのですね。あまりにも日本寄りな切り口に、さもありなんです。そこまで言っていいの?という感じで。

現在はネットの普及や経済成長に伴う、海外旅行の体験から、とっくに閉じられた情報ではない中国です。

この石平さんの発言も逐一中国語に訳されて、ネットに出回っているとのこと。

本書に出てくる話しではありませんが、新唐人テレビなどはニューヨークに本部を置いて中国語で発信しており、本国の検閲も受けないらしいです。

中国の経済破綻もカウントダウンに入っているとかは、新聞・ネットでもかなり以前から言われていますが、どうなんでしょうね。

中国富裕層の海外流出が止まらないとか。中国共産党は有事の際には財産を守ってくれないのが見えてるという理由です。

当然、金を持っている中国人民は良いものがほしい。

となると、海外製品である。直接日本や欧米諸国に買いに行く。中国国内消費は伸びないまま。

人民の経済格差もどんどんと広がって行く。

不満が爆発。発展に伴うジレンマ・負のスパイラル。

で、とりあえず、共通の敵を作ってしまえ。一番手っ取り早いのが加害敗戦国家「大日本帝国」だ・・・と。

本書によると、反日デモの際、集まった人民は反日云々でもなく、日頃の鬱憤晴らしに参加しているようです。現在の出口の見えない経済格差よりも、みんな平等に貧しかった鄧小平の昔を懐かしむ人が多いそうです。

はっきり言って、尖閣諸島など、明日の、いや今日のメシと較べたらどうでもいいことでしょう。

本書に明記されていることで重要なポイント。中国においては政府も軍も関係ない。何が何でも共産党そのものが唯一絶対の存在であるということ。

これが共産主義という一神教の宗教であれば良かったのですが、それが求心力を失いつつある今、もっとはっきり言えばITによる情報の共有化・コモディティ化で、その神通力を失いつつある今、不満の噴出を抑えられずに一気に崩壊しないのが、むしろ不思議ですらあります。

中国経済の失速は止められないのでしょう。

手負いの巨龍は怖い存在です。

素人目に見ても、アンバランスに成長した国家ですから、ムリがくるのも当たり前かと思われます。

それはともかく、東アジア全域で考えると、暢気に構えている場合でもありません。

運命共同体的な部分も少なくい、と言うか大いにあります。

特に中韓について言えることですが、あまりにもお互いのメンタリティの差をおろそかにし過ぎではないでしょうか。「お互いに」です。ある意味近親憎悪とも言えます

ネットなどを見ていても、ヒステリックになりすぎているのは否めません。

それは欧米や中東(特にイスラム圏)なども同様なのですが、やはり隣国なので。

「日本人は、古代中国には深く大きな尊敬の念を抱いているけれど、現代中国(第二次大戦後に建国された中華人民共和国)には敬意を持てない」というのが大方の意見のように思います。

読書レビュー:テトラポッドに札束を


このタイトルは、あれですね。「アルジャーノンに花束を」からですね。

著書の中で、漫画やSFが好きだと何度も書いているので、おそらく、「アルジャーノン」も好きな作品の一つなのでしょう。

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作者はかなり重度の身体障害者です。首から下が麻痺しており、殆ど動きません。

生まれつきではなく、12歳の時に、海に飛び込んだら見えないテトラポッドがあり、頭から激突。頚椎を骨折して障害を負ったとのこと。

考えるだけで恐ろしい事故です。

現時点でまだ、25歳。高校生の時にネット起業し、大金を得ます。アフィリエイトがメインのようですが、様々なビジネスを行っているようです。

体が動かないのですから、当然、アイデア勝負であり、PC・ネットというツール・インフラを最大限活用してマネタイズしていきます。

現実に収益を上げているのですから、まさに錬金術。

かつては察することもできない、どん底の絶望でしょう。

実際、本書でも絶望と希望のバランスについて触れられています。

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アフィリエイト・情報商材というのは非常に胡散臭い。儲かったところで、その再現性にも疑問があります。

と、いうような言い訳?で、避けて通ってきたようなところもあります。

いや、情報商材などは、感覚的には99%が詐欺まがいでしょう。

そのような経験もあります。

著者はそんなことは自明の事で、分かった上でエネルギッシュに踏み分け踏み越えてていきます。歩けるわけはないのですが、バイタリティに押し進んで行く様が目に浮かびます。

乙武さんではないですが、バーチャルな世界だけではなく、リアルな世界にも超積極的に出ていき、多くの人とふれあいます。

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語り口が極端で毒舌に感じることもあります。

曰く。

嫌われても構わない。嫌われる代わりにその分シンパも増えていく。嫌われることを恐れていては、始まらない。半ば確信的に嫌われるようにもしている、と。

体が動かない分、考えて考えて考えて考えぬいた結果なのでしょう。

確かに鼻につく部分はあります。昔、ホリエモンに対して感じた「イラツキ」を覚えるというかw。

資本主義と共産主義をそんなに簡単に断じられてもなあ。この本全体でも薄くて、普通に一気に読める分量なのに。  などであったり。

しかし、結果を残している人はそれだけの説得力も持ちます。

何より、嫌な部分も包み隠さず出しつつ、非常に単純明快に自分の生き方・やり方を説いていきます。

優れた人ではありますが、何と言ってもボクよりかなり年下。

それはなあ・・・。みたいに感じる部分もあります。

ポイントとして、3つ上げる式の書き方が多いのですが、結構、単純で普段からそのようにしていることだったりします。

当然のことがなかなか難しかったりはするのですが。

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気づける人間になるための三か条。

抜き書きさせて頂きます。

(1)人をバカにしないこと

(2)必ず質問をすること

(3)わからないことは必ず調べること

ん〜、これだけ書くとなんだそりゃ、ですが、特に(1)は気の緩みからつい、おろそかになりそうです。

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もちろん、本書は全部賛同できる内容ではありませんが、次世代の可能性を感じさせる人だとは思います。

Facebookなども見てみてください。

読書レビュー:「在日」 姜尚中


著者 : 姜尚中
講談社
発売日 : 2004-03-24
確かに。

在日コリアンには、ダブルスタンダードな生き方を選ばざるをえないのかもしれない。

本書の内容、自伝の部分は多少ドラマチックな切り方があるかも知れないけれど、赤裸々な葛藤の真実だと思います。

どうしても韓国人の気質として「火病」と言われるような、ヒステリックなイメージがつきまとう。

あながちステロタイプとも言えないように感じます。

一方姜尚中は、テレビでしか見たことはないけれど必要以上にトーンが低く、ウィスパーボイスとも言える、感情の起伏を見せない、常に論理的な語り口と佇まいです。

意識してそうしているのでしょうか。

この自伝の中では、秘めたるマグマのような静かな熱さを感じます。

事実、学生時代は運動家でもあったとのこと。

先ほどのダブルスタンダード、ネットなどでは「二枚舌」とも書かれています。

日本国内での本書のような発言と、韓国マスコミに向けた発言内容との差があまりにも激しすぎるせいでしょう。

しかし、テレビで美術・絵画の解説を穏やかにしている姜尚中が本来の彼であり、本人も望む自分自身であるような気がします。

だが現在、未だそれはつかの間のことであり、許されないことなのか。

在日の「作られ方」、生き方。

諦念にも似た、「在日とはなにか」をまとめた本かと思います。

好きなのですが、シンパシィは今ひとつ得られない。

読書レビュー:血と骨


著者 : 梁石日
幻冬舎
発売日 : 1998-01
すごい小説です。

梁石日の父親がモデルらしいのですが、どこまでがフィクションなのか、あるいはほぼ事実なのか。小説の持つリアリティとしては、もはやどちらでも良いのかもしれません。

ページを破ると血と内臓が出てきそうな、そんな小説です。

この長さで、良くこれだけの登場人物と大小のエピソードをぎゅうぎゅうに詰め込んだものです。

登場人物名について、ロシア人ほどではないですが、朝鮮名では誰が誰だかわからなくなります。

描かれる視点が状況によって変わっていき、主人公が誰なのか、誰の視点で感情移入すれば良いのかという点にも、読んでいて翻弄されます。

誰か一人を主人公に、というのであれば、やはり父親・金俊平でしょう。金俊平が大きな幹となり、全てを突き破る邪悪で粗暴な巨木の周りに身内や周辺の登場人物たちが否応なく巻き込まれていきます。

この主人公の特異性は、国籍や時代にはあまり関係ないでしょう。今の時代にどのように生きていけるかは分かりませんが、どの時代であっても社会に適合できることはないと思います。

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読んでいて思い出したのが、「じゃりン子チエ」。

作者の梁石日と、はるき悦巳はおそらく同じ空気をある程度吸っていたのではないでしょうか。

大阪市の生野区と西成区。

かまぼこ屋とホルモン屋。

又、「じゃりン子チエ」には「男はつらいよ」に対して相似性を感じます。さくらを主人公に大阪を舞台にした「男はつらいよ」。ずっとそんな気がしてました。

テツに対するのは寅さんです。

一方、こちらの「血と骨」の主人公・金俊平は”リアル・テツ”という感じ。

生まれつき粗暴で、偏狭な価値観を持ち、金に汚く、ヤクザもビビって逆らわない一匹狼。

違うところはテツは女性に対して極端に純情である(ここは寅さんと一緒)のに対し、金俊平は強姦などもなんとも思わない鬼畜の性欲モンスター。

この点はテツとは大きく異なります。

遠慮せずに言えば、本作の主人公には一片の共感も持ち得ないし、まさに唾棄すべき人物ではあります。

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読後にはなんとも言えない感情が残ります。

できれば、是非とも読んでもらいたい小説なのですが、内容や表現があまりにもリアルで、作中にも度々使われる表現「汚穢」が、形而上形而下にこれでもかと描かれます。耐性のない人には辛いかもしれません。