「正直観たもの読んだもの」カテゴリーアーカイブ

「地上最大の手塚治虫」展


手塚治虫記念館に行ってきました。

宝塚大劇場への道
宝塚大劇場への道 この辺りの雰囲気は昔とあまり変わってない。

ほんの思いつきで行ったのですが、記念館開館20周年の企画展ということで、「地上最大の手塚治虫」展というのをやってました。

白状すると、それも出てから気づいたんですけどね。

記念館 火の鳥がお出迎え
記念館 火の鳥がお出迎え

行楽シーズンの日曜日なのに、かなりガラガラ状態でした。

そして、かなり多いのが海外からの観光客。中国人ぽい感じですが、中国でも手塚治虫は普通に有名なのでしょうか。

今時のアニメや村上春樹は有名みたいだけど。


特に「地上最大の」的なものは感じませんでした。

とりあえず、大量の生原稿が見られるのが値打ちです。

5.6歳の時の落書きに近いものもきれいに残っているのが貴重です。

もっとも子供の落書きレベルの「作品」ではないのですが。

良く戦火を免れたものです。散逸もせずに。手塚家という名家なればこそでしょう。

小さい頃から宝塚歌劇に親しみ、「リボンの騎士」の創作に大きな影響を与えたことは有名ですが、手塚治虫の著作の中でそのタカラヅカに対して「ブロードウェイの丸パクリ」「ニセモノ」など、かなりボロクソに書いてもいます。いかにも辛辣な手塚らしい言い方です。

現在のアニメーターの薄給激務の礎を作ったのも手塚だという指摘もあるなか、タイムリーにもデスマーチの果てに自殺に追いやられたアニメーターの事件が報じられています。

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アニメ制作で過労自殺 カルテに「月600時間」 28歳男性、労災認定  スポニチ  2014年4月18日

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これで自分の中の日本の漫画家の双璧である手塚・水木の両記念館へ行きました。

結果、施設としては水木しげる記念館の圧勝かな。遠くてももっかい行きたいし。

一方「手塚・・・」は一度は行っておきたかったけど、もう一度行きたいというところでもない。

と、ボクもシニカルに毒吐いときましょう。

 

山下達郎まみれサンデー


大体土曜日の午前中はランニングをしています。

でも、事情により走れなかったり、今回のような三連休で初日の金曜日にランニングの予定を入れて、翌々日の日曜日が良い天気でもったいないとか思うと、日曜日にも走ったりします。

走るときのBGMはここのところずっとTats Yamashita。iPodのランニングアプリNike+でのセットは達郎シャッフル。1~2時間。

本日は寝坊した日曜日でうだうだしてたら、走り始めるのが昼前になってしまいました。帰ってシャワーを浴びたりしてて時計を見ると二時だ。

毎週日曜日二時はFM東京で「山下達郎のサンデーソング・ブック」の放送時間なのです。

これまた好きだった長寿番組「サントリー・サタデー・ウェイティング・バー・アヴァンティ」が去年終わってしまったので、今欠かさず聴いてるのはこの番組だけです

アプリのRadikoで聴く時もありますが、殆どは北摂の山をドライブしながらカーラジオで楽しむことが多い。

いいんですね。話しの内容とか。これが達郎さん以外だと、ただの音楽オタクの自己満的な鼻持ちならない感じになるんですが、やはりそこは達郎さんなので説得力が違う。

選曲は50年代60年代のアメリカのポップスが多いのですが、いろんな変化球を投げてくるし、見えないところからフックが飛んでくる時もあります。

もう、20年以上続いている長寿良番組なんです。

リクエスト受け付けがハガキのみという、イマドキ泣けてくる番組。

でも、この間から増税に伴う郵便料金の値上げを受けて、メール受付も開始しようかという話しを何度か番組内でしています。

当然のように、現状維持の意見は大半のようですが。

その一方、障害などで文字を書いたりポスト投函が困難な聴取者などはメールも受け付けてほしいという意見もあり、難しいところのようです。

でも、この番組の聴取者にそんなくだらないカタリがいるとも思えないので、臨機応変で良いんじゃないかなと思いますが。

そのサンソンが終わると、カーステレオに切り替え、ベスト盤OPUSを聴きながらワインディング・ロードを辿って帰ったり、たまには山道を迷ったり。

そんなドライブも楽しい季節です。

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本日は妙見山まで足を延ばしてまったりしました。

横尾忠則の「昭和NIPPON」ー反復・連鎖・転移


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前から行きたかった「横尾忠則現代美術館」に行ってきました。阪急電鉄王子公園で降りて、徒歩5分くらいの立地です。
右手に王寺動物園を見ながら東に。動物園と道を隔てて海側にあります。
京都の碁盤の目もわかりやすいけど、基本的にナナメってる神戸もある意味わかりやすい。

2010年に国立国際美術館で観た時は、ポスター展でしたが、今回の企画は【横尾忠則の「昭和NIPPON」ー反復・連鎖・転移】というタイトル。

観覧料は700円(税込み)で、作品数の量などを考えてもお得です。単価計算してるわけではないですが、満足のラインナップです。

ポスターを含め雑誌などのイラスト作品、そして近年の油彩画なども非常に充実。そもそも横尾忠則はイラストレーターや画家といったカテゴライズは無用の人なので、その時々で軽薄とも思える流行を取り入れて、見事に横尾芸術に昇華させています。

天気の微妙に良い土曜日なのに、なぜか観覧者も少なく、ゆっくりと楽しみました。

大型の油彩画はボクの好きな、奥行きを感じさせる幻想絵画です。

中でも気に入って10分くらいみていたのが「実験報告」という作品。
図録はかさばるし重いので、あまり買いません。その代わり、最近は作品の絵葉書が充実しているので、そちらを買いました。

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小さくて、ほとんどわかりませんが、本物を思い出すトリガーにはなってくれます。

現実から大きく隔絶した幻想的な風景の中に日本の原風景的登場人物が淡々とエキセントリックな作業を行う世界はいつか観た夢のようです。

この日は前後に予定があったので、美術館だけでしたが、動物園の隣には王子公園や兵庫文学館もあります。
今度はゆっくり訪れましょう

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関係ないけど、昔から気になってる王子動物園ど真ん前のこのお店。

動物園前にこの業種はかなりシュール。しかも最近はこんな絵が。どう見てもパンダを半ティグしましょうにしか見えない・・・。

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読書レビュー:赤目四十八瀧心中未遂


以前、映画になりました。小説としてではなく、まず映画としての認識がありました。

車谷長吉の作品ということは知らなかったのですが。

ただ、彫師役の内田裕也のインパクトだけが残り、なんとなくそういう映画・そういう話なんだなという曖昧な記憶のみでした。

そういう映画というのは、内田裕也がマンモスコングみたいな風貌でそのまま登場しても成り立つ映画っていうこと。

ちなみにずっと「チョウキチ」さんかと思ってたら「チョウキツ」さんだったのですね。奥付にルビがふられてました。

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「赤目四十八瀧」というタイトルからとりあえず一回は奈良が出てくるのだろうと思ってはいました。実際の舞台は殆ど尼崎。あの、ダウンタウンと勝谷誠彦。そして中島らもを輩出した尼崎です。

その中でも尼崎そのものでもなく、個人的にいろいろと思いのある、出屋敷界隈。

ニオイのある小説という感じ。

香りではなく、あくまでもニオイのある小説です。

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最近は西村賢太のアウトロー的私小説が評価されてます。

以前、西村賢太の事を暴力的なつげ義春と形容しましたが、こちらは関西のつげ義春という感じ。

「心中未遂」とタイトルでいきなりネタバレしてる感もありますが、まあ、それほど重要な部分でもありません。

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主人公は明らかに作者であり、非常にわかりやすい私小説。

新聞の人生相談などもやってましたが、なんか必要以上に年寄り臭い言い回しとかが少し引っかかる感じ。

西村賢太といい、最近の私小説はなんか尾籠な描写や性的描写をことさらミクロ且つ生理的に表現することによってリアリティを出そうとしてるのでしょうか。

荒唐無稽だけど、妙にリアルな話ってありますね。どちらかというとそういうものの方が好みではあります。

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登場人物がやたら出てきて、エピソードも沢山。それが全部投げっぱなしジャーマンなので、なんとかして欲しい感じ。それが作者の狙いなのかも知れませんが。

で、この続きはどうなるのよ。

退屈しないで読めましたけど。

映画レビュー:ブタがいた教室


 

2013.11.9buta

 

2008年公開の映画です。

実話に基づくストーリー。

で、このモデルの学校が、大阪府豊能町にある小学校。

そういえば、公開当時そんなことを聞いたような気がしました。

豊能町にある「北大阪ネオポリス」。割りと良く通るところです。

箕面市方面から山の中を抜けたところに、突如として現れる、結構な規模の北大阪マチュピチュ的な・・・

いや、ホントの北大阪マチュピチュはこっちです。「茨木台ニュータウン」。

どちらもバブル期の徒花です。

しかし、本作の設定は東京都の郊外ということになっています。それはそれで良い。


それはともかく、なかなかの映画です。

もっとも、どんな名優も、子どもと動物には勝てないとはよく言われる言葉ですが。本作はその両方が主役なんだから反則気味。

未見の映画「いのちの食べ方」にも通じる、原罪と向き合う、なかなか考えさせる映画です。

賛否両論というよりも、答えは出さないストーリー。

演じる子たちには白紙の台本が与えられ、本気で自分の言葉でディベートするシーンが長く続きます。

映画を見ているボクは、それをハラハラしながら見守る一人の大人になります。

有名なので、ネタバレさせますが、クラスのみんなが子豚から育てたpちゃんは食肉センター(屠殺場とは言わないのね)に送られます。

え、それで終わりか、というラストシーン。

あとはみなさんで考えてくだい、ということですね。多分。

ドナドナ。


原作本は読んでいないのでわかりませんが、実際にはどうしたんでしょうね。みんなで食べたんでしょうか。

クラスのみんなは苦渋の選択に当然、ゲーゲー泣いてますが、豚もたまったもんじゃないです。

1年間ペット待遇で飼われてたのに、ある日突然、「はい、今から君は産業動物ね」って。

豚の精神構造は知りませんが、聞くところによるとかなり知能は高いらしいので。

この企画を唐突に持ちだしたのが、妻夫木聡演じる担任教師です。その生命の大切を身をもって教えたいという試みは立派なんですが、子供と大した差もなく、ブレブレの意見しか持ってなさげで。

まあ、それは子供と同じ目線で悩んでるということでもあるのですが。

さて、この教育は果たして良かったのでしょうか。

映画を観て考えましょう。

映画レビュー:寝ずの番


 

nezunoban2013.9.21

原作 中島らも。

多くの作品の中でも中編です。かなり以前に読んだので、内容を忘れているのですが、かなり違うような。

最初と最後だけ原作で憶えてます。

なぜ、これをマキノ雅彦(津川雅彦)が映画化しようとしたのか、わかりませんが、良いセンスだと感じました。

しかも、これを実兄の長門裕之で。

レビューの中には下品という意見も多いようです。

確かに最初にR指定が出てきます。隠語のオンパレードなんですが、演じている俳優陣が良いので、ボクには下品とは感じませんでした。

中井貴一がきれいな声と持ち前の品で歌い上げる猥歌は下品さを感じさせません。

集められた俳優陣が好みでもあるのですが、みんなが監督の方を向いて、この映画を良い物にしようという姿勢が見えます。

長門裕之演じる老落語家は、明らかに六代目笑福亭松鶴。

劇中で長門裕之と笹野高史が少し落語を演じますが、さすがの名演。全部通して聴いてみたいと思わせます。

石田太郎演ずる小田先生というのは小佐田先生でしょうね。

石田太郎が違和感なく関西弁をしゃべるので調べてみたら京都の人でした。

なぜ、堺正章が出演してるのかわかりませんが、堺正章を見直す機会にはなりました。

しかし。

ザ・スパイダースの堺正章とザ・タイガーズの岸部一徳。

世代は同じはずなのに、片方は長門裕之の恋敵で片方はその息子の役回りというのは面白いですね。

中島らもの小説は、仕入れたネタをあまり加工せずに披瀝するというパターンが、割りと見受けられます。

中でもボクの好きなプロレスや落語について。チョット気になる。

この小説もそのような嫌いがあり、少し問題にもなったようですが、映画は小説を再構築し、原作を越えたと思います。

それはマキノ雅彦監督と演技陣の成果だと思います。

★★★★★

映画レビュー:息もできない


息もできない
予告編より
著者 :
Happinet(SB)(D)
発売日 : 2010-12-03
ヤン・イクチュンが気になって・・

先日、ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」を観て、キャスティング及び演技陣の素晴らしさや映画のできに感動しました。

中でもほとんどセリフのない寡黙な役ながら、なぜか印象に残ったヤン・イクチュンが気になり、その監督・主演映画で好評を得たという本作を観てみました。

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なるほどいいね

あれ、この人だっけ。

という感じで、かなり違う印象です。

これはやはり演技の確かさということでしょう。

ひたすら粗暴で狂犬のような主人公です。債権取立て屋。

「ヤクザ」という表現も用いられていましたが、途中から言い回しが「チンピラ」に変わります。

確かに、共同で高利貸しを営んでいるので、ギャングとは違います。

そもそも韓国ではこの手のギャングはどのような存在なのでしょうか。

ギャングやアウトローはどの国にもいると思いますが、共通項は犯罪者であり、犯罪者集団であるということです。

なので、日本のように「ボクたちは犯罪者です」よ、◯◯組と看板を上げてる国というのはないらしいのですよね。

シシリアンマフィアでも、公然と存在はするけれども、看板はあげてませんから。

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既視感・・・

この映画を観て、まず「竜二」を想起し、もうすぐ読み終わる長編小説「血と骨」も思いだしました。

前者はプロットとして、後者は粗暴さの放つ同国のメンタリティ的な類似として。

ネットで読んだインタビュー内で、ヤン・イクチュン監督は、日本は感情の表現がおとなしい、そして殴る演技(多分喧嘩とかに特定するのではなく)が遠慮がちであるというような事を言ってました。

邦画への出演も結構多く、度々来日しているので、素直な感想なのでしょう。

感情表現については、良く分かりません。「クサイ」ということとは別なのでしょうか。

歌舞伎を一つの源流としている日本の演劇は、結構オーバーアクトな場合も多く、洋画出演などでも指摘されるようなことも多く聞くのですが。意味的に違うのかな。

2つ目は、本作の中で主人公の女子高生が不良の弟と喧嘩する演技で納得しました。

多分、あんな演技(?)は日本ではないでしょう。

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やはり似て非なる国

韓国へは行ったことないのですが。多分、リアルな韓国を見ることができる映画なのだと思います。

主人公の取り立て屋が訪れるのは、返済期限の過ぎてる切羽詰まった低所得者の家。

住宅の雰囲気などは日本に近く、親近感を覚えますが、やはり何かが違う。

スラムではないのですが、あまり富裕層でない住宅街。

何が違うのかを考えた時、単純に道が舗装されていないことに気付きました。

日本では個人の土地でない限り、道路は基本的に舗装されています。時代劇に対する嫌がらせのように。

ハイキングコースであっても、アスファルト。

そんなところに異国情緒があるのですね。

「ナニワ金融道」「ヤミ金ウシジマ君」などで、非道な高利貸しは描かれますが、あまり直接殴ったり蹴ったりはないですよね。

恫喝はともかく、殴ったって殺したって一文にもなりませんし。

この主人公は債務者をボカスカ殴ってますが、取り立てもしっかりできてる。どういうカラクリなのか、その点は気になります。

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2時間以上の長い映画で、韓国の抱える、家族・貧困などの問題が沢山詰め込まれています。

あと、ヤン・イクチュンは出演シーンの80%以上が喫煙シーンのようなイメージ。「かぞくのくに」でもそうでした。どんだけヘビースモーカーやねんというか、そのメッセージ的なものが不明。

その周りの人(チンピラ)もかなり吸い続けてるので、アウトサイダー表現でしょうかね。

そして、パチンコにものめり込んでます。韓国ではかなり前にパチンコは全廃されたはずですが、これは違法パチンコなんですかね。

主人公の女子高生。かなりいい演技してます。

基本的にストーリーに類することはあまり書きませんので、観てください。オススメではあります。

映画レビュー:ローグアサシン


著者 :
角川映画
発売日 : 2009-11-20

んだこりゃ?

これは日本公開はされたんでしょうかね。

制作が2007年なので、割りと新しい。

現在、「ウルヴァリン・SAMURAI」が公開されていて、トンデモ日本描写には気を使ってるとかヒュー・ジャックマンが言ってましたが。実際観てないのでなんとも言えません。

一方、ほとんど気を使ってない。気を使う気もないのが本作です。

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好きか嫌いかで言うと好き

そう。

好きな俳優が沢山でてるので、見ました。

ジェット・リー

ジェイソン・ステイサム

ジョン・ローン

そして石橋凌

石橋凌はともかく。

このラインナップで、割りと言いプロットで、なんでこれなんだろう。

そもそも、マーケット的に誰をターゲットにどういう意図で作られたのかが不明。

日・中・韓が三つ巴で、英国人(米国)のジェイソンが絡んでくるという。

最後までどんでん返しが続くので、緊張感はあります。

ジェット・リーの冷血漢も板についている。

ジャパニーズヤクザとチャイニーズマフィアの抗争がサンフランシスコで繰り広げられ、FBIが絡んでくる。

多分、そのFBI捜査官でジェイソン・ステイサムの相棒ぽいのが韓国系米国人ぽいんですが、よくわかりません。

それより、後からジェイソンの相棒になる、偉丈夫な黒髪ロン毛の韓国人が格好良い。

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やっぱ、俳優が活かせてない

香港マフィアの親玉がジョン・ローン。

日本ヤクザの親分が石橋凌。

ジョン・ローンが中国系米人のギャングを演るのはイヤー・オブ・ザ・ドラゴンでもそうでした。観てないけど。

そして、石橋凌もハリウッドではヤクザ率高いですね。

チャイニーズマフィアではそれほど象徴的ではないのですが、この映画の逆説的な見所はやはり、ジャパニーズ(ヤクザ)の描かれ方。

やっぱりかなりエキゾチックなんでしょうね。

やっぱりそれか、みたいなステレオタイプ健在です。

ラストサムライ以降のアメリカ映画としては、ワザとやってる?みたいな気もします。

・ヤクザは全員倶利伽羅紋々全開。しかもタトゥー的に手の甲まで入ってる。だからスーツ着ててもヤクザ丸出し。いかにスジモンでも日常生活に影響ありすぎ。しかも石橋凌は経済ヤクザなのに。

・何故かサンフランシスコで丁半賭博をやってる。そのヤクザを始め、日本語が喋れない。英語の字幕が付いてるんですが、肝心の日本語が聞き取れない。ので無理やり英語を読む。

・石橋凌の娘役のデヴォン・青木がルーシー・リューくらい日本語がヘタ。で、何故か顔見てると殴りたくなってくるタイプ。

・あちこちになんか変な垂れ幕がはってある。そこに意味不明な四文字熟語とか書いてある。東南アジアのパチもん日本語Tシャツみたい。石橋凌はなんも言わなかったのか。

・ヤクザの殴りこみが忍者装束。向こうの映画は「ラストサムライ」からして、どうしてもニンジャを出さないと気が済まないらしい。

などなど、ツッコミたい人は是非観てほしい。

そして、それぞれの持ち味を見事に殺して迷走している映画。

その中でも、確かな演技を魅せてくれれるジェット・リーは格別にステキでした。

ステキなんだけど、結局お前は誰なんだ?という感情移入しにくい設定なんでイマイチ・・・。

ジョン・ローンはなぜこの役を引き受けたのか。

「仁義なき戦い」で言えば、槇原あたりの役どころじゃない?

それとケインコスギがヤクザ(こんな健やかな顔した爽やかなヤクザ見たことない)の下っ端役で、石橋凌に散々な目に会います。でもジェット・リーともタイマンできるので、良かったかも。ショー・コスギの七光はあんまり届いてないようです。

映画レビュー:野獣刑事


日本版ダーティーハリー?

と言っていいのかしら。

サンフランシスコって大阪と似てるんでしょうか。

一度だけ行ったことありますが。

ハリーはサンフランシスコ市警。こちらは大阪府警です。しかも今宮警察署というところなんですが、実際には西成署でしょうね。

もうかなり以前ですが、サンフランシスコへ行った時、結構良いホテルだったんですけど、周辺地図を渡されて、この斜線が描いてあるところには絶対行くなと。しかし、ホテル周辺ほとんど斜線で身動き取れんやん。夜はずっと部屋で映画観てました。窓から見下ろすと、暗い中に新聞紙が舞っていていかにもやばそう。

大阪も全国的にはそんな目でみられてるところもあるし。

そして御存知の通りサンフランシスコは坂が多い。大阪もその名の通り坂が多い、かも知れない。

港町なところはどちらかというと神戸い近いですが。

まあ、むりやり共通点が多いことにして。

この日本版はジモティとしては、生活感がありすぎて、どうしても本家とかぶりません。

ヒロインいしだあゆみの住んでいるのは多分淀川区・加島の文化住宅の模様。推測ですが、おそらくモスリン橋の辺りではないかと。

ハリーはホットドッグをモグモグしながら44マグナムをぶっ放しますが、緒形拳の方は文化住宅のDKでレバニラ炒めを作っています。

yajyu2013.9.6

この生活感はダーティだけどハリーじゃない

ということで、もう比較はやめましょうww

完璧な関西弁

ボクはテレビ版「ナニワ金融道」のシリーズが大好きで、DVDボックスを持っています。

その中で緒形拳は主人公灰原達之@中居正広の勤める帝国金融の社長:金畑金三を演じています。

この人(緒形拳)、生粋の東京っ子なんですよ。

「ナニワ金融道」であまりにも達者な関西弁なので驚いていたのですが、そのルーツはこの映画にあったのですね。

1982年の映画ですが、こちらの関西弁の方がさらに見事です。

全く違和感がありません。非の打ち所がない。今どきの若いネイティブよりイケてます。

「極道」シリーズ・「悪名」シリーズを演っていた若山・勝兄弟よりずっと達者です。

「復讐するは我にあり」では長崎弁を駆使しますが、おそらくこちらも完璧なんでしょう。

ダーティ緒方ですが、どうにも無軌道で無茶苦茶すぎますね。東映イケイケ路線でもきっちりいい仕事してます。

共演者

・泉谷しげる

ダメ男を演じさせたらやっぱ天下一品。むか〜し、エキストラのアルバイトで一緒になったことありますが、独特の存在感ですね。

足が悪いのに結構走るシーンが多く、それだけで、物語に深みがでます。シャブ中なんですが、暴れまわってガラスを叩き割るシーンでは、多分腕から出血してます。大熱演。

・いしだあゆみ

地元、池田市出身のお嬢さんのはずですが、結構汚れ役多いですね。今回は美しい裸身が拝めます。

TV版「ナニワ金融道」でもスレたおばはん役で好演。

・小林薫

若い。わりとしっかりクレジットされていたので、もう少し活躍するのかと思いきや、出番は少しだけ。

こちらも「ナニワ金融道」桑田役で緒形拳と名コンビでした。

芦屋雁之助が西成のドヤのおかしなおっさん役。ちょっと裸の大将の原型ぽい。

藤田まこと・遠藤太津朗・成田三樹夫などが脇を固め、安定感あり。

映画レビュー:復讐するは我にあり


ホラーとか、もういいわ

観たいなーと思いつつ、観られてない映画は沢山あります。この映画もその一つでした。

もう一つ、「鬼畜」と並んで観たいリストに入ってたんですが。多分こちらから観てよかったかな。

比較するのもどうかと思いますが、コワイよー(・_;)

どんなホラー映画よりコワイ。

度々書いてる「映画において、予告編を越える本編はない」という持論ですが、それは商業映画でショッキングなものはショッキングな描写があるということも一因です。

つまり、何種類かのショッキングな描写を散りばめてるわけで。

でも、この映画、基本的にショッキングなシーンてないんです。

あるとすれば、ボクとしては一箇所だけでしたね。

それも直接描くんではなくて、状況と音のみで。

つまり映画にのめり込んでいる想像力と感受性の強いひとほどダメージが大きいという。

緒形拳対三國連太郎、そりゃ反則だ

この二人が親子なんですね。濃すぎます。

実話を元に、大悪人の連続殺人犯人を演じるのが緒形拳。

で、敬虔な(???)五島のクリスチャンである両親が三國連太郎とミヤコ蝶々(!!!)ミヤコ蝶々の関西弁以外の役は初めて観ました。元々、東京の人ではありますが。

緒形拳と三國連太郎が、それこそ顔面10センチまで近づけて大熱演ですから、迫力が半端じゃない。それだけでお腹いっぱい。の、ところにさらに色々と口に無理やり詰め込まれるような映画です。

実はこの極悪主人公役のオファーが最初に来たのが渥美清だったらしいのです。すでに寅さんのイメージが定着していた渥美清はそれを壊すことができなくて、断ったらしいのです。

寅さん大ファンの自分としては、渥美清の冷血鬼というのも観たかったような観たくないような。

ちなみに「男はつらいよ」で、ミヤコ蝶々は車寅次郎の母親役です。そしてこの映画では緒形拳の母親でもある。

この二人は双子なのか。

後から知ったのですが、寅さんもこの映画の主人公も、何者にも縛られず己の好きなように生きている、という点では同じかもしれない。

「黒い寅次郎」と呼ばれているらしいのです。

そしてヒロイン(か?)を演じるのは元猪木夫人・倍賞美津子。

エロイにもほどがある。

ご存知の通り、こちらは車さくらの倍賞千恵子の妹。

となると、こちらも「黒いさくら」なのかしら。

深くて救いがなくて、ホント怖い映画です。

hukushu2013.9.6

息子の顔に思い切り唾は吐きかける父


あと、上にも書いた通り、セットで語られるのがこの映画の前作。緒形拳の悪役開眼とも言える映画「鬼畜」です。

ざっくりとあらすじは知ってるので、この映画を観たあとでは、ちょっと遠慮したい。怖すぎます。

体調の良い時に観てみたい。

しかも、こちらの映画も最初に主人公のオファーがきたのが渥美清。

今村昌平、よっぽど渥美清で映画が撮りたかったのでしょうか。

その他、本作は豪華演技陣と言って良いでしょう。

根岸季衣がちょっとかわいいです。