月別アーカイブ: 2016年8月

映画レビュー:健さん


健さん
「健さん」映画チラシ

健さん讃歌のドキュメンタリー映画。

ただそれだけ。これがNHKあたりの特番であれば良いのだが、劇場用映画としてはいかがなものか。

私も高倉健は大好きです。でなけりゃ観に行きませんわね。

この映画では高倉健ゆかりの著名人(でない人もいるが)のインタビューで構成されています。
ひたすらインタビューの編集です。たまに高倉健の生前の声も入ります。

私達ファンが雑誌やネットなどで知りうる高倉健像を上回るものではありません。

新たにジョン・ウーやマイケル・ダグラス、マーティン・スコセッシなどの社交辞令的な健さん称揚は若干目新しいですが。

映像としては、「ザ・ヤクザ」と「ブラック・レイン」の二本だけだったと思います。どちらもアメリカ映画ですね。
東映や東宝は許可出なかったのか。使用料としてはハリウッドの方が高いと思うけど。

健さんは勿論「高倉健」を演じていたのです。そんなことは分かっています。
この映画はそれを確認しただけで、それ以上のものはありません。

小田剛一ではない高倉健にだって、批判される部分はあったと思います。
それをこの作品では全く取り上げません。
別にそれはそれで良いでしょうが、物足りないのも事実だし、劇場に足を運ぶだけの価値は感じません。

個人的には多数演じたヤクザ映画の影響等をどう処理していたのか。
山口組のイベントに招かれたこともあったと記憶しています。

「健さん」を映画にするなら、もっとやりようもあったはず。

なぜ、あまり接点のないジョン・ウーなのか。チャン・イーモウは断られたのか。

もう一人、ほぼ時を同じくして亡くなった東映のアイコン菅原文太との対比は。

いろいろと言いたいことは出てきます。

★★

映画レビュー:あなた、その川を渡らないで


あなた、その川を渡らないで
公式サイトより転載

あなた、その川を渡らないで

まあ、そのままの意味なんですけどね。

トレーラーを観て惹きつけられました。

悪い映画ではありません。

90分ほど。これくらいでよかった、という感じ。

夫98歳、妻89歳。ん?なんか映画の中の説明と違うような?ま、いいか。それほど重要な点ではない。

韓国の田舎の超リアルがわかります。と言っても、日本の田舎と殆ど同じですね。

ドキュメンタリーですが、オモニ(ハルモニ)のセリフが殆どです。

まるで台本が用意されているみたいに。

なんだろう。いい映画だとは思うけど、今ひとつ。

半分ほど埋まっている劇場からは最後の方で鼻をすする音がやたら聞こえましたが。

私はどうも。

ドキュメンタリーに対して作為的などというのは失礼にもあたるのですが、この主人公(オモニ)がこのように雄弁でなければ、この映画はどうなっていたのか。
違う切り口にはなったのでしょうが、その点気になります。

★★★

映画レビュー:シン・ゴジラ 是非劇場で!


シン・ゴジラ
シン・ゴジラ

シン・ゴジラ の「シン」が何かはわからないけど。

これは凄い映画です。

すんません、庵野秀明監督ナメてました。脱帽です。

初のフルCGIゴジラですが、確実にハリウッドGODZILLAを凌駕しました。
これがゴジラなら。
いやゴジラです、やはり。
渡辺謙もこちらに出たかったのでは。

何を書いてもネタバレになりそうなので、言葉少なに宣伝します。
本作はネタバレが流布される前に観るべきです。
いろいろな面で。

しかし、出ている俳優の数が凄い。
今の邦画に出まくっている有名所も数多く出ていますが、これは誰?という人もそれ以上に出ていて、緊迫感のある名演技を魅せています。

石原さとみは好きだけど、ギリギリのラインで頑張っていました。

印象に残った無名の人では自衛隊員を演じてた人。どこから見ても自衛隊の人にしか見えません。これはむしろキャスティングの妙か。

二発目のトレーラーの最後にいかにも放射能火炎を吐く素振りのゴジラですが・・・これがすごいです。
これまでの伊福部昭をはじめとする曲も効果的に使われていて、血沸き肉踊ります。

どこを切り取っても凄い。凄いです。

凄いとしか書いてない己の文才のなさよ。

エヴァンゲリオンを観てませんが、同じようなBGM(ティンパニーのドンドンドンドンみたいな)が使われているので、多分絵的演出的にもエヴァンゲリオンに近いのでしょう。

セリフの量がすごくて、みんな早口。登場人物が基本、閣僚・政治家・自衛隊。
一般人が出てこない。
その登場人物達が一刻の猶予も出来ない状況下なので勢い早口+テクニカルターム。
多分中学生以下が話しの流れを理解するのは難しいでしょう。
完全に大人向けの怪獣映画。

庵野監督の初代ゴジラに対する敬意がヒシヒシと伝わってきます。
1954⇒2016。
これだけの時間が経過しているのだから、これくらいのアンサーは必要でしょう。

それに加えて、東日本大震災をはじめとする災害の実態を映像で嫌というほど見ている自分たちにはもっとその部分に時間を割いても良いようには思いました。

これ以上は今は書かないので、是非観に行ってください。

エンドロールの最後まで緊張感を途切れさせずに観た映画は久しぶりです。

★★★★★