イブイブだ。今頃どうしてるかな。
ランニングコースは概ね決まっていますが、いつも微調整開拓しながら走っています。
元々知らない道を見つけると入って行きたくなる性格なので、しょっちゅう回り道をしてしまいます。
もちろん、ランニングコースはできるだけ交通量の少ない、信号の少ないコースを選びます。
定番コースの一部が新しく山を切り開いて造成されたピカピカで広々として空間を持った住宅地と、古くからある農家が隣接しているような場所です。
川沿いに走り、例によって行き止まりに迷いながら進んでいると、静かな枯れ草の陽だまりの中に一匹の真っ白な老猫がうずくまっていました。近づいて来るボクに気づき、いかにも大儀そうにいぐるぅと首を回します。
野良の老いた病猫
。
痩せこけているわけではなく、どちらかというと太ったかんじです。
しかし、毛がボサボサで左目が極端に上に引き攣れ、盲
いているようです。
右目もあまり開けないので、もしかしたら殆ど見えていないのかもしれません。それでもボクの方に顔を向けるというのは、全くの盲目ということでもないのでしょう。
最初は一瞬、彼(彼女)は死んでいるのかとも思った程、精気が感じられませんでした。
近づく人間にも動じないのか、動けないのか。
猫の前を通り過ぎ、細い川沿いの道を少し行くとやはり行き止まり。
引き返さなければなりません。
又、猫の前まで近づきました。
もう一度、首ををぐるぅりと回す彼(彼女)。ほぼ、感情のようなものは感じられません。
諦念の極致の様な風情。まるで人間のそれのような。
もしかしたら、彼(彼女)は今、最期を迎えているのかもしれません。
だとしたら、邪魔をしてはいけない。
少しでも早く、彼(彼女)の前から立ち去らなければ。と、思ってしまいました。
ネットには癒し系だかのペット写真が溢れていますが、とてもこの場の写真など撮る気にはなれませんでした。
立ち入ってはいけないところに立ち入ってしまったような気がして、振り向かずに走り続けました。
もっとも、それはこちらの勝手な想像で、この爺さんだか婆さんだかの猫は珍しく小春日和の陽光の中でまどろんでいただけかもしれませんが。
顔面のインパクトがなかなかのものだったので、確認できませんでしたが、もしかしたら尻尾は二つに分かれていたかもしれません。
もうすぐやってくる年の瀬も、無事に乗り越えてくれればと思います。