月別アーカイブ: 2012年2月

読書レビュー:はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲


佐藤優さんの著作にしては、比較的わかりやすい。かな。

宗教論といっても、佐藤さん自体が同志社大学神学部卒のクリスチャンなわけで、ベースはキリスト教なわけです。

もちろん、キリスト教学が新書の一冊や二冊に収まるわけはないので、ホントに初歩の初歩の入門の入門であります。

佐藤さんの「獄中記」はまだ半分ほどしか読んでないので、そっちも読まなければ。

とりあえず、この人はどこまで信用していいのかという見極めが難しいのです。

鈴木宗男って、どう考えても好きにはなれないんだが、佐藤さんは全面擁護だし、自身も偽計業務妨害とかで結構長期間牢屋に入ってたんですよね。だから「獄中記」。
つまらん小悪党でないことだけは確かだし、非常に魅力的でもある。

博覧強記。東大の一つや二つ枕に寝てそうなイメージです。

あとがきを最後に読んだのだが、これは前書きとしておいて欲しかった。
ご自身の基本的視座を書いているのだが、まず、キリスト教徒であること。

そして、宗教学は主体的でないと本質から外れるという基本姿勢。

そこはボクと根本的に食い違うとこですね。

ボクはそれは教学だと思う。

宗教学・比較宗教学であるならば、やはりニュートラルである必要があると。

ちらと出てくるロシアの科学的無神論というのが気になる。ちょっと調べてみよう。

ただ、上記のように自分(佐藤氏)はクリスチャンなのであるから、論も偏向していると明言している。そのわりには極端にキリスト教を突き放して冷静に分析してると感じましたがね。

書いたように、平易ではあるのだが、聖書の引用を多用している部分はやはりわかりにくいかな。そりゃ、仕方ない。頑張って聖書も読んでみよう。

印象・記憶に残った豆を。

イエス・キリスト。

イエス=ジーザス/イエススというのは無論人の名前である。だが、キリストというのは「油を注がれたもの」という意味で、古代の王が即位する時に油を注ぐ儀式があったことに由来するという。

なので、イエス・キリストと呼称した場合、それは「主たるイエス」という意味であるから、キリスト教信者であるということ。

て、ことはあれかな。「ハイル・ヒトラー」とか「ジーク・ジオン」とおんなじ感じなのかな。え、違う?

これは右巻ということなので、次は左巻を読んでみます。

左巻はこちら

読書レビュー:青い空  読み応え・満足度(・∀・)イイネ!!( ;∀;) カンドーシタ


海老沢 泰久
文藝春秋
発売日:2004-06-10

まず、最初に。

「青い空」とタイピングしようとすると、どうしても「蒼井そら」と変換される件。

これはどうでもいいんですが。

700ページ超のボリューム。ハードカバーで読んだので、長時間の読書はつらい。

多分、上下巻に分ける選択もあったのだろうが、これはこれでいいと思う。

今どきの書籍は文字のポイント数も行間を大きいので、単純にページ数だけで測ることはできない。

著者渾身の作ではないだろうか。

久しぶりに腹に応える小説らしい小説を読んだ感じ。緻密綿密で面白い。ゆったりと身を任せる感じで楽しめる

海老沢泰久、まだまだこれからの活躍が期待された作家でした。

出身校は國學院大学。良くは知らないが、駅伝とかでよく出てくるのかな。皇學館と並んで神主さんの学校みたいなイメージ。

作者の出身校であるが、この作品の中でも、もっともシンパシィを感じるのは神道であると書かれている。
そのあたりもこの作品のポイントとなってくる。

隠れキリシタン及び棄教したものであるキリシタン類族を描き、時代に翻弄される主人公も類族である。

ボクは大阪府茨木市の出身。著者は茨城県出身。イバラキつながり。

それと、茨木市の北部はキリシタン大名で有名な高山右近が領主であり、隠れキリシタンの里。キリシタン資料館に良く行きました。

キリスト教の伝来から秀吉・家康による迫害。そして幕末の動乱へ。システムとして、そして国家のバックボーンとしての宗教を描きます。

中でも堕落した仏教に対しての描写は容赦ない。ちょっと一面的に過ぎるのじゃないかとも思うのですが、徹底的に僧侶が悪役です。

そして歪んだ神道も批判的。

なんか、一人キリスト教だけがピュアなの?

かなりファナティックで、解釈によるずるい側面があるとも思うが。

だからこそ、時の為政者に畏怖され迫害に拍車がかかったとも言える。

主人公は農民出身ながら、抜群に剣の才能がある。これは剣豪小説ではないので、それほど固執することもないが、そのあたりの描写説得力が弱いようにも思う。

その辺は瑣末なことで、本当によくできた小説であり、読後感も最高である。

必要ではあるのだが、時代の説明の部分は若干めんどくさいかな。早くストーリーの展開が読みたくて。これは仕方ない。

「坂の上の雲」にしても、余談と時代の説明がくどすぎてつらいし。

浅田次郎や和田竜のようなエンタテインメントではないが、こういう重厚な展開もいい。
満足度大。

フレディ・・・許す(・∀・)イイネ!! パーフェクト!!!


また、天才見つけた。

このチープさでこのクォリティ。 リッチー・カスティリャーノさん?何者?

ルックスがアレなところがまた・・・
チロリンのとこのすっとぼけた表情がまたいい。

1つだけ言うと、懐中電灯で照らすのは下からじゃなくて上からだよー。
下からだと一龍斎貞水になっちゃうよー( ´∀`)

改めて丁寧に聴くと、ジョン・ディーコンのベースってかっこいいなあ。

ボクもカラオケで歌って、すごく迷惑がられてるんですが、これを見てしまったので自粛します。

あと、youtubeで「歌ってみた」とかの人、迷惑なのでどっかいってください。素人の歌なんか聞きたくありません。

オリジナルはこちら

グッチさんの伝説のパロディGUEEN以来の衝撃。子供番組なのに。

読書レビュー:不器用なもんで。 って、書き手にも問題が・・・


金子 達仁
扶桑社
発売日:2011-11-15

読了・・・と書きたいところだけど、最後の20ページくらいは読んでません。いやんなって。

で、何が言いたいんだ?という本です。

これは小林旭が悪いんじゃなくて、著者のせいですね。

新聞書評には、数年小林旭の家に通って取材したということだけど、何を聞いてたんでしょうね。

最近の本として「スティーブジョブズ」と比べても仕方ないけど、それだけ取材したんなら、ボリュームとして20倍くらいになってもいいと思うけどね。
なんか、ちゃっちいタレント本みたいな仕上がりですね。

もっかい言うけど、何が言いたいの?

形式がヘン。小林の独白なのか、著者の評伝なのか、境界がなくてわかりにくい。

確かに小林旭は石原裕次郎・梅宮辰夫や宍戸錠のようにテレビには出ていません。描写されているように、ひたすら不器用なんでしょう。

「不器用」って、謙遜にはなるけど、特にほめられたもんじゃないと思います。

健さんはそういうキャラなので別格ね。

中でも昔の日活の事などはそれなりに面白いけど、この人の文章自体は面白くない。なんか、全体的に考えすぎて変なことになってる感じ。

後半、ゴルフのことが延々出てくるけど、個人的にはゴルフが大嫌いなんで、さらに興ざめ。

昔の、ホントに限られた人たちだけが楽しむ紳士のスポーツだったころは良かったんだろうなあ、と思わせてくれなこともないこともない。

もっと、映画ファン向けにディープに作品を追っていってくれたほうが良かったんじゃないかな。

この人はスポーツライター?ですよね?良くブックオフの100均コーナーでみるけどwww

ほぼスルーされてますが、「仁義なき戦い」の小林旭はめちゃめちゃカッコよかったね。

とはいいつつ、黒い交際で干されたあたりに妙にページを割かれてます。

なんか、こんな中途半端な仕上がりになって、小林旭がかわいそうな読後感の一冊でした。

中村天風と植芝盛平 氣の確立  ちょっとした暴露本?www


藤平 光一
東洋経済新報社
発売日:1998-12

最近、特に合気道が気になります。

神秘のベールっちゅうか。実際のところどうなんだろうと。

名のある格闘技関係の人が口をそろえて言うのが、塩田剛三はホンマモン。誰も塩田剛三を貶す人は(少なくとも戦闘力において)いないようです。

その塩田先生が常に達人と紹介するのが、現在の合気道の創始者植芝盛平。

中村天風は言うまでもなく、東郷平八郎や松下幸之助などの錚々たる日本の根幹に関わってきた人が師と崇めている超人。

その二人に師事したのが、著者の藤平光一です。

先述の塩田剛三と並んで、合気道の巨人。昨年なくなりました。

なんで、この二人(中村・植芝)を並べて一冊の本にされたのか。真意はどこなんでしょうか。

はっきり言って、完全に中村天風に偏向しているような内容です。

植芝盛平がちょっと困った性格で、ずっと自分(藤平)の悪口を言い続けていたとか。自分が掴んだ合気道の極意は自身の研鑽によって得た(盗んだ)もので、植芝本人は、むしろ反対の理論を教え続けたとか。大本を押し付けられるのにも閉口したようです。

で、その辺を暴露するたびに、でも、師として尊敬してます、恨んでるわけではないです、とかフォローしてるあたりがあざといというか、カワイイというか。明らかに恨み節やん。

加えて、植芝は若いころはめっちゃ弱っちかったとか書いてます。

あまつさえ、大師匠であり神域にあると語られる大東流合気柔術の現実的な再構築者、武田惣角さえもその実力に疑問を呈しています。どんだけぇ〜。

最後の方は自分の強さアピールもどんどんエスカレートしてくるし。ちょっと鼻白む?

最初の方は淡々と書かれていて好感を持てます。

戦争では最前線で隊長として、戦った。実際に怖かったことなど、本心を吐露しています。人間的です。

別にこの方がどうこういうつもりはありません。実際に非常にわかりやすく合気道の理論などを書いてくれています。って、自分もフォローしてるかな。

でも、これが実感なんですよね。

あと、佐川幸義や岡本正剛あたりのことがちょっと出てきたりすると個人的には楽しかったかな。

合気道のことがますますわからなくなる、面白い啓蒙書。

※あれ、これ塩田剛三のことかなと思われるような描写がさらっと出てきます。

植芝道場に毎日通って来ていた軍事探偵の男が、戦争が激しくなるとぱったりと来なくなった、と。軍事探偵として中国に渡った塩田のこと・・・?

(文中敬称略)

映画レビュー:大鹿村騒動記  期待を裏切らず!!


TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
発売日:2012-01-21

面白いですよ、そりゃあ。

これだけの俳優揃えれば。

しかし、監督が半端な人じゃだめだったでしょうね。阪本順治に対する信用がこれだけの個性を一つにまとめてるんだと思います。

原田芳雄。かっこいい。松田優作が慕って、原田芳雄のウチの隣に自宅を建てたっていうだけのことはある。

ほんと元気ハツラツな演技を見せてくれてます。

とてもこの映画公開後数日で病没するなんて信じられない。

若い俳優の演技を受けるベテランというのがヒシヒシと伝わってきて、なんとも気持がいい。

やはり亡くなった原田芳雄のことがクローズアップされるが、認知症を演じる大楠道代の設定も見逃せない。

年齢的には十分あり得るのだが、大楠道代の父親役の三國連太郎が矍鑠としている。

眼から鱗というか、そうなのだ。超高齢社会ではこういうこともあり得るのだ。

自分の子どもが認知症になってしまう。

さらっと描かれているが、これはきつい現実である。

でんでん、岸部一徳、小倉一郎、石橋蓮司・・・えらいキャスティングではあります。

この大鹿村は長野県に実在するし、大鹿歌舞伎も連綿と演じ続けられているらしい。

エンディングテーマが清志郎というのも泣かせるね( ;∀;)

アメリカ映画のエンドロールの長さには辟易してるので、あっさりしたエンドロールにも好感!!

大阪府立図書館に行ってきました


ボクは図書館のヘビーユーザである。

近所に図書館があるというのも一因であるが、やはり所蔵場所に窮する、購入資金に窮するというのが大きい。

実際、手元に置いておきたい本だけに絞っても大変だ。

新刊書などは外れたら必要以上に悔しい。

大体はネットで検索、予約する。

豊中市は箕面市の図書館と提携しているらしい。

でも、所蔵されていない本も多々ある。

で、エリアを拡大して国立国会図書館・・・と言わないまでも、府立図書館まで検索すると、やはりかなり網羅されている。

でも、それを取り寄せることはできないんですよねえ。

府民税払ってるのになんでよヽ(`Д´)ノプンプン とは思うのですが、本屋さんや出版社のことを考えると、これもある程度線引きは必要だよなあとは思います。

ただ、言い訳すると図書館で借りてみて、(・∀・)イイネ!!と思った本は改めて購入します。

さて、その府立図書館ですが、中之島と東大阪にあります。

なんで東大阪なんだ?と思うけど、やっぱりあれですかね。大阪の誇る文豪・司馬遼太郎のお膝元っていうのが効いてるんでしょうかね。

規模からいうと、古参の中之島より東大阪お方が大きそうなので憧れてました。

先日、その府立図書館に行く機会がありました。

市営地下鉄長田駅から結構あります。

第一印象   でかっ(゜o゜;

ワクワクする規模です。となりがイオンモールなんで、便利

周りが大規模な公団住宅みたいで、ここに澄んでる人はラッキーだよね。

結構な規模です

盗難防止用のゲートをくぐってはいります。

四階に分かれているのを階段であがりました。
バリアフリーは完璧なようで、エレベーターもあるし、電動カートの人も悠々利用できてました。

空間を非常に広くとってある。

天井が高いわりに、大体の書架は目線より下にあるので閲覧するのに苦労がない。贅沢な陳列。

PCがかなり潤沢に用意されています。

Wi-Fi環境も整っているらしく、請求すればパスワードがもらえるらしい。
別にパスワードいらんやん、と思うんですが。

豊富な本たちを眺めているだけで幸福な気持になれます。

あと何年生きられるのか分からないけど、絶対に読み尽くすことはできない本の量。

本たちをずーと撫でていたくなるような・・・

しかし、公的な場所にしては手指消毒用のアルコールが入り口に一つ置いてあっただけみたい。ここにこそ必要なんじゃないの?

ここまで返しに来るのは無理なんで、借りることはしませんでいたけど。

近所にできないかなあ( ・´ω・`)

読書レビュー:ソーシャルメディア進化論  良書ъ(゚Д゚)グッジョブ!!


武田隆
ダイヤモンド社
発売日:2011-07-29

SNS:ソーシャルネットワークではなく、ソーシャルメディアという単語を使っている。

どちらでも良いように思うが、後者の方がより広義であり広汎な意味説明が可能だろう。
本書は新聞書評で高評価を得られていた。

まさしく現在のソーシャルネットワークというよりも、実際的なウェブ全般を俯瞰する上においては格好の書である。

ウェブマーケティングを、ネットワーク黎明期から第一線で牽引してきた著者なればこその説得力。

経験だけでは得られない、博識と文章力が結実している。よくぞこれだけ濃密な内容の本に仕上げたものだ。

現業に立脚し、なおかつ文学的で美術的である。

資金難に陥り、消費者金融に頼らざるを得なかったぎりぎりの現実。
かなりタイトロープな人生もかいま見られる。

しかし、01の世界に身を置きながら、非常に、–本書の言葉を借りるのであれば–「オーガニック」な方法で成功を勝ち取ってきた。

Googleは素晴らしく、現在なくてはならないサービスではあるが、Google自体はツールでありシステムに過ぎない。実際に私達が利用しているのは現実の私達がキーボードで打ち込んだ情報なのである。

ということ。

一方通行であった企業と顧客の関係。

ウェブではかなり初期から双方向性ということが言われてきていたが、実際にはそれが自動返信的な合理性優先ということに堕してしまっていた。

それを再構築する意味での「ソーシャル」ネットワーク。

この本からとりあえず、一つのキーワードを憶えておこうと思う。

「ネット上におけるオーガニックな関係」