月別アーカイブ: 2012年5月

読書レビュー:死ねばいいのに   諸手を上げてオススします!


なんというか、びっくりしました。超オススメ!!

なんだこりゃ。

面白い。おもしろい。怖い。悲しい。

こんな展開あるんだろうか。ジャンルは何だ?
ミステリー?サスペンス?ホラー? 初体験、新感覚。

それほどの作品数を読んでいるわけじゃないけど、京極夏彦の作品のなかでは一番面白かった。

ていうか、ここ最近の小説のなかでは最高の興奮を与えてくれました。

ほとんどがセリフのやり取りで、法廷劇の様に進んでいきますが、なんという緊張感。ぐんぐん惹きつけられます。

優れたフィクションはノンフィクションの深層を浮かび上がらせます。社会派エンタテインメントというか。

色々書きたいけど、なんか書くとネタバレになるので難しいね。

主人公(でしょうね)ケンヤ。登場シーンではまさかコイツが主人公だとは思わなかった。

すっげーウザいチャラ男だと思ってたら・・・いつの間にか自分の中ではヒーローになってました。

いつも通り、京極流漢字表現が散りばめられていますが、時代がリアル現代なので、ちょっと違和感が。というよりも、先述したようにディベートとも呼べるセリフのやり取りが(・∀・)イイ!!ので、ちょっと目を走らせるリズムを壊す嫌いがある、かもしれない。

でも、これがないとやはり京極作品ではないし。

タイトルから、てっきりネットに依存の心を病んでいるとしか思えない輩の救いようのないサイコ小説か?と思いきや、さにあらず。

まあ、読んでみてくださいという本です。

これは電子ブックの先駆けとして販売されたことでも有名です。

しかし、その他の極厚京極作品と違って、普通の(?)ページ数。すっごく読みやすいサイズでもあります。
せっかくページ数に関係ない電子ブックなのにね。

ある意味、言ってみたいね。

「ならさ。

—死ねばいいのに。」

読書レビュー:ちょいデキ! (文春新書)  「ちょい」を積み重ねたら、こうなるの?


確か、小飼弾さんが推してた本だと思います。

あの「サイボウズ」の社長ですね。

本書で自身も触れられてますが、あの「ボウズマン」はずっと胡散臭ぇと思ってました。
でも、グループウェアとしては先駆けであり、ほぼ国内では選択の余地がないようなポジションですよね。

徹頭徹尾主張してるのが、「自分のような普通の人間が」という姿勢。

自分のようなどこにでもいる凡人が30代で東証一部上場の企業のトップなんだから、ちょっとしたことでみんなそれくらいの事はできるんだよと言う、よくありがちな展開。

いやいやいや、逆に言うと、まず30代で東証一部上場企業のITベンチャー社長なんです。
絵に書いたような「IT社長」。

そりゃいろいろとあったでしょうが。

大阪大学から松下プロパーって、普通か?普通にエリートやん。

説得力にはかけますが、とりあえず、それは置いといてためになるところはピックしていきましょう。

飛ばし読みはしてませんが、かなりスピードアップして読みました。

常識と思っている視点を変えましょうという論調のポイントが多かったようです。

中でも、目標設定を低めに。

身の丈にあった目標設定を行い、確実にクリアしていこうと。

うん。なんか小学生の夏休みの宿題みたいですね。

あと、元々ナショナル(パナソニック)の社内ベンチャーだからか、やたらと松下幸之助の引用が多い。ボクも嫌いじゃないですが。

だったらPHP新書から出せば良かったのにね。

最初の目の付け所(グループウェア)が良かったし、仕事大好きな人で、なんだかんだ言って能力の高い人です。

余裕をかまして「ちょいデキ!」とか言われてもねえ・・・。

読書レビュー:吉田豪のセメント!!スーパースター列伝 (kamipro book’s)  んー、セメント


プロインタビュアー吉田豪氏がプロレス格闘技関連の一癖二癖五癖くらいあるチョイスでまとめた本なので、間違いはない。もっとも好事家向けではあるのだが。

かなり昔に「紙プロ」に掲載されたものの再録ではあるけれど、全く色褪せない。新鮮な面白さがある。

なんせ、最後の相手はマーシーだしwww すでに人間やめちゃってる感もあるマーシーではありますが。
やはり、時代の寵児ともてはやされた時代もあるし、もともといろんな意味で黒い(w)人だけあって、提供してくれるネタがめっちゃオモロイというかアブナイというか。さすがの吉田氏もかなり伏字のオンパレード。

サムソン・クツワダとか鶴見五郎とか・・・今の人(ファン)達は「歴史」としての認識だろうなあ。

プロレスラーらしく、どんだけ人生ガチンコやねん、という感じですね。二人とも。

あの故・サムソン・クツワダがこれだけオトコマエ(その上カール・ゴッチの直弟子!!)だとは知りませんでした、はい。

倉持アナウンサーのキラー振りを最初に発掘したのも吉田氏ですよねえ。確か。

この本「パート1」となってるけど「パート2」は出てるのかしら。

それと吉田氏はボクの大好きな山城新伍の若山・勝兄弟の本を文庫で再版プロデュースしてるんですよねえ。やっぱ、目が離せんは、吉田豪。

この男は実在する!

読書レビュー:ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法  100倍ラクかどうかはともかく


ちきりんさんは多くの読者をもつアルファブロガーです。

簡単なプロフィールからは、勝間さんともかぶります(?)が、勝間さんが常に己にプレッシャーを与えてるっぽいのに比べると、対極かもしれません。

また、一人称が常に「ちきりんは・・・」なので、ことさらユルイ印象です。それでいて、時として舌鋒鋭い切り口を見せてくれるところもある。

私には少なくとも価値観を共有できる人です。

現在、会社を辞めて特に仕事はしておられないそうです。

本やブログの執筆から収入はあるのでしょうが。

タイトルから、ストレスフルな生活をストレスフリーに生きるために、頭と体の体操でも書いているのかなと思ったけど、少し趣は違いました。

なんというか、最初から2/3程は、一般的な日常の再確認と整理。新しい視座からのまとめで構成されています。

そうなんです。もう、何が何だがわからなくなって、こんがらがっている日常を、冷静に分析して、まあ、落ち着いてお茶でも飲んで・・・こういうことでしょっていう感じですね。

で、頑張り過ぎない。現実不可能な(というよりは少し大変な)目標は立てない。ということなんですが、それは個々人が判断すればよいでしょう。

手元において、しんどくなったらパラパラとめくってみるのが良い本かも。

ベストセラーになった「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」や「カエルを食べてしまえ!」の日本語版という感じの本です。

あと、印象に残ったエピソード。

ちきりんさんのお母さんは、どんな時でも「良かった」ところを発見して、超ポジティブに考えられる人だそうです。

私もできるだけそうあろうと思っています。

昔、少女漫画の中で「ハッピーゲーム」という呼び方で紹介されていました。「ゲーム」と呼んでしまうところが、さらにポジティブでいいですよね。

最高のお天気なので


サンドイッチを作って、プチドライブに行きました。

ついでにちょっと遠回りしただけなんですが。

箕面ドライブウェイを駅方面から登ります。

木漏れ日のトンネルを通り抜けるのは、それだけでなんとも贅沢な時間です。

さるてんを抜けて、ビジターセンターの駐車場。満車一歩手前なので、ラッキーです。

ハイカーで非常に混雑している東屋へ。

実はこのへんにはオオサンショウウオが生息しております。

ところが・・・↑この写真を撮る時に、手に持ってた財布をつい、柵の上においてしまい、車にもどってから財布のないのに気づきました。

慌てまくって走っていくと、三人組の老婦人ハイカーがボクの財布を持って鳩首会談。

走っていったボクを見て、一瞬で事態が飲み込めた感じで、ニコニコ財布を渡してくれました。

「あー、良かった良かった」と。

ヘコヘコしてお礼を言ったのですが、見つけてくれたのが彼女達でほんとに良かったε-(´∀`*)ホッ

ありがとうございましたm(_ _)m

木陰のあまりの心地よさに、ボーッとしてしまったようです。

反省。

それはともかく、駐車中の一台、エンジンかけて寝てるおっさんがいた。
外の木陰にいれば極楽の涼しさなのに、なぜわざわざアイドリング。
意味のわからんアフォです。

読書レビュー:新書がベスト that’s right!


鈴木宗男氏と佐藤優さんの関係。ホリエモンと小飼弾さんの関係。小沢一郎氏と橋下徹氏の関係・・・はどうでもいいとして。

自分が買ってる人が「ん?」という人を全面擁護しているのは、なんというか悩ましい状況ですね。

で、その小飼弾さんの初めての新書。

その新書が「新書がベスト」でベスト新書から出したという、新書礼賛の一冊。

いや、ボクも前から新書ファンなんですよ。

弾さんは、本は全て新書にしろと言ってますが。できることならそうしてほしいですね。
装丁を統一して単価を下げるところに新書のメリットがあります。

そして、文庫版よりも少し大きく図版なども入れやすい。

これは書いていませんでしたが、文庫よりも経年劣化が少ないですね。紙質によるのでしょうが、ヤケにも強いし、背割れなんかもほとんどないです。

二冊くらい持ち歩いてもかさ張らないし。

まさに新書がベスト。

弾さんの指南する読書法は勝間さんよりは現実的だけど、やはり本は買えと。

でも、現実的んは難しいんですよね。

新書は安いけど、それでもランチ代はします。

もちろん、一食削ってもいいけど。

ハードカバーと比べて収納スペースもいらないとはいうけれど、やっぱりねえ。

まあ、もうしばらくは図書館と併用していこう。

でも、この本は買う価値あり。

しかし、弾さんは相当に難解な本を読みまくっているはずなんですが、自分で書く本はひたすら平易に徹しています。
難しいことや、ポイントを簡単に。それこそが一番難しいんだと、ご自分でも言ってますが、まさにそうだと思います。

あと、日本で出版されている各新書を全部詳しく紹介しています。ライバルなのに。ベスト新書(KKベストセラーズ)も太っ腹!!

読書レビュー:1Q84  読了、疲れた


自虐的な評価よりもずっと魅力的な、でも恐い、青豆さんと長い旅をすることになります。

ご存知の通り、ハードカバーで3巻。文庫版で6巻の長い小説です。

いろいろと意見はあるでしょうが、一言で言って冗長に過ぎる感が・・・。

最近のものでは「海辺のカフカ」が上下巻ですね。でも、一冊のボリュウムはこちらよりも小さかったように思います。

内容的にこれ(カフカ)くらいが丁度良いように思います。

特にBOOK2では中だるみ感が。

カフカ的な手法で時空が入り乱れながら進んでいくので、ストーリーがわからなくなります。

読後、そういえば、あれは・あの件はどうなったんだ?みたいなのがいろいろと。

すべての謎解きをしなければならないということもないわけですが。

おもしろいのは面白いと思うけど、あまり期待もしないほうがいいかも。

作品の重厚さに比して、読後感があまり書けない。

読書レビュー:絶望名人カフカの人生論≠鬱 負のパワーも風車の理論で


「鬱」が社会問題としてクローズアップされてから久しくなります。

この問題に関しては自分自身の人生に大きく関わっているのですが、ここに書くほど消化されていないし、長くなるので割愛します。

カフカが生きた100年前には、まだ「うつ病」の概念もなかったかもしれません。

実際、この本を読んでもカフカ自身はうつ病ではありません。
自殺をはかったことも一度もなかったようです。

察する所、自虐的な性格の偏屈です。おそらく。

これは新聞広告にも使われていたので、引用しても良いでしょう。

恋人にあてたラブレターの一節。

「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」

まあ、誰に対してもこの調子なんですね。なかなかに味のある言葉で、ボクは嫌いではありません。

しかし、カフカほどではないけれど、似たタイプはいますよね。

ダメな自分を故意に強調して逆に自慢にしてしまってる、そんな自分が大好きなウザいヤツww。

地獄のミサワ的?

カフカがそうだとは断定はしませんが。

本当のところは、体力知力にも恵まれ仕事をこなす能力もあって、順調に出世していったそうです。

最も、カフカ自身は専業作家として大成したいのであって、サラリーマンで出世したって、なんの達成感もなかったのでしょうが。

この本はページをめくるたびに、カフカの「愚痴」で、ひたすらそれを現代へのメッセージとして解説しています。

20世紀最高の小説家と言われるカフカでも、こんな後ろ向きのダメダメな人生だったのですよ、と。

最後は病気に憧れて、やっと?病気になり、若くして亡くなります。

ある意味、非常に”甘ったれた”ヤツのようです。

恵まれた環境に生まれ育ったにも関わらず、常に後ろ向き。

ところで、世間では尾崎豊は生前も死後も賞賛されています。

ボクは昔から彼(尾崎)にも、彼に向けられた賞賛にも同調できませんでした。

先日、新聞の投書欄に、尾崎豊と同年代の男性からの文章が掲載されていました。

その人は非常に貧乏であったので苦労をして学校に通っていたそうです。

その時に流行っていたのが、尾崎の「15の夜」。あれですね。オートバイ窃盗犯の歌ですねww。

自分は日々の食事にも困りながら苦労して学校に通っていたのに、実際には非常に恵まれていた尾崎が単車を盗んだり校舎のガラスを割ったり(「卒業」)(などという行為を単なる若いエネルギーの発露と正当化するような歌詞を歌って)と、甘ったれるんじゃないという怒りを感じていたそうです。

そうなのか。

ボクの違和感もそのあたりにあったのか(と、言うより当時は暑苦しいだけで、全くオリジナリティを感じなかった)、と、思った次第です。

カフカにも少し似たような感じもあるのでしょうか。

ま、尾崎と比べるのもアレですが。

カフカを後世に残るように紹介出版し続けたのは、学生時代からの親友で小説家として成功しているブロートです。

そして没してからカフカは世界的な名声を得、逆に流行作家であったブロートはその紹介者としてのみその名前をとどめます。

実に皮肉な話。

ボクは・・・どちらかというと、ブロートの人生を選びたいですね。

かなりむかーしに「変身」を読んだきりだと思うので、他の作品も読んでみましょう。

編者の頭木さんは、カフカ全集の「日記」がめちゃめちゃ面白いと書いておられます。

ヴィダル・サスーン氏死去


今月9日にヴィダル・サスーンがなくなったんですよね。

と言っても、ほとんど人となり等知りませんでしたが。「ん?シャンプー?」てなもんで。

その情報のみ、ちらっと聞いていつもの美容室に行きました。メンズ(基本)の美容室。

切ってもらいながら当然のように店長に「ヴィダル・サスーン」がなくなったんだよねえ。」と振ってみたら、大きくうなずく。

知ったかで「美容師のカリスマだったんでしょ?」重ねて言うと、彼の動きが止まりました。

そして、それまで明るく賑やかにしゃべっていのが、突然静かな口調に変わり「カリスマなんてもんじゃないです。」と。

かなり前からカリスマ美容師というのが、あっちこっちに言われるようになったことと差別したかったのかもしれません。

「カリスマとかとちゃいます。”カットを創った人”です」

静かだけれど、熱い口調でした。

で、ひとしきりヴィダル・サスーンについての説明を。

こちらは神妙に拝聴いたしました。

まず、サスーンのお母さんが偉かった。

手に職を付けさせるためにカバン屋に奉公に出した。しかし、カバン屋がつぶれたので、今度は床屋に見習いに行かせます。

そこでサスーンは床屋の職人仕事の複雑に辟易し、かつて覚えたカバンの制作工程と同じく、カット部位をパターン化することを考えつきました。

で、パターン化することによって、誰でも同じようにカットすることができるようになったと。

なんだか、イマイチ納得できるようなできないようなお話でしたが、店長の言を尊重し、敢えて調べずに書きます。

で、床屋からアーティストとしての美容を確立したんですね。

つまり、一人で美容業界を創造し変革した人である。そのへんのカリスマなどとはレヴェルがそもそも違う。「神」である。
カット一つで女性の社会進出を大幅に後押しした。スゴイ影響力なんですね。

なるほどねえ。すごい人だったんだ。

と思っていたら、まもなく映画「ヴィダル・サスーン」が公開されるようです。なんちゅうタイミングでしょうか。

大阪はテアトル梅田か。