「カトウワタルの本棚」カテゴリーアーカイブ

読書レビュー:「私が日本に住み続ける15の理由」


ケント・ギルバートさんの著書は3年ほど前に読んだ
儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」があります。
本書の内容は(当然ですが)この↑の本の内容と同じ姿勢・切り口です。
アメリカ人として、愛する日本が間違った方向に進んでいくのが耐えられないので声を上げている、ということです。
こちらの書評を読んでいただければ、感想は大体同じかなと思います。

今回はさらに丁寧に具体的に日本愛を語っておられ、それはそれでありがたい。
首肯する箇所も多々ありました。

広く世界を見聞し、その上で50年住んでいる日本を観察する。
そこは認めますが、現在の安倍晋三総理大臣に対して完全なリスペクトを表明しています。
さすがにそこは引いてしまいます。

折しもここ数日で森友問題が再燃し、かなりやばい事態にもなっているし、新型コロナに対する施策がかなり叩かれている状況でもあります。

もう、ケントさんの本にお金を払うことはないと思います。
 
★★★☆☆

 

読書レビュー:「藻屑蟹」暫く追いかけられそうな作家が現れた。


軽い気持ちで読み始めた。

赤松利市という名前をなんで知ったのだろう。
誰に勧められたわけでもないのは憶えている。
新聞広告だろうか。
多分、「62歳の新人で元ホームレス」というような惹句が琴線に触れたように思う。

色々な作品の紹介を見ていると、西村賢太や車谷長吉のような無頼なイメージを感じた。
かなり好物だ。

最も、赤松先生はTwitterをしておられ、フォローをしたらすぐにリプライ付きでフォロー返しをしてくださった。
単純なので、それだけでファンになってしまう。

最初に「純子」を読み始めた。
敢えて理由は書かないが、最初の方で挫折して少し寝かせておこうということになり、デビュー作でもあり、第一回大藪春彦新人賞を受賞した本作を手に取ることになった。
手頃な長さでもあり、又、文章のリズムが良く(少なくとも自分には)どんどんと読み進められる。

が。

読後にはずっしりと腹に鉛を感じることになる。

もちろん内容は書かない。

読み終えてすぐにKindleで次の作品を選び、ダウンロードすることになった。
現在、かなり精力的に創作をされているようなので、楽しみである。

読書レビュー:「僕は、死なない」


半分くらい読んで挫折しました。

ステージ4の肺がんになり、その後全身に転移。

ひたすら、治療法を模索する記録。
読んでてしんどいです。

まさに今、ガンになり、必死で治療法を探している人には良いと思います。

私は胃がんでステージ2(最初は3と言われてましたが)で胃の3/4を摘出し、
その後抗癌剤治療を行い、現時点で術後3年半。
5年の経過観察中。
抗がん剤服用中はそれなりにつらかったし、その後お約束みたいに
腸閉塞で再手術。また、死にかけた。

でも、なんか。
こんなに必死に治療法を探す気にはならなかった。
自分が変なのかもしれないが。

著者は抗がん剤治療を頑なに拒否したり、なんか結構呪術的なものに頼ったり。
無様さをそのまま詳細に記述しているのはすばらしい。
必死に生きようとする姿勢は全く正しい。

で、結局、死の淵から生還されたのだから、結果オーライです。

著者は非常に優秀なビジネスマンであり、ボクシングのコーチもしておられる。
わたしも一応ボクシング経験あり、ダメダメな社会人ではあるけれど、今ひとつ
シンパシーは持てないのでした。

ごめんなさい。

読書レビュー:超図解 ブロックチェーン入門


とっつきにくかったブロックチェーンが良くわかり(入門として)、同時にビットコイン(仮想通貨)についても理解できた。
本来ビットコインを実現する上で不可欠なものがブロックチェーン技術。
法定通貨に対する仮想通貨。
つまり中央集権型管理から分散型管理ということ。
もちろん、入門なので概念を理解できたに過ぎないが。

分散型型管理にすることにより、新たに信用が担保される必要がある。
そこでマイニング(PoW:プルーフ・オブ・ワーク)というシステムが必要になってくる。
そこで疑問が湧いた。
マイニング作業には膨大なコンピュータリソースや電力、資力が必要だ。
現在、それを潤沢に持っているのが中華人民共和国。
だが、中国共産党と中央集権を廃した分散型管理というのは最も相容れないものだろう。
現在、中国はそのあたりをどう折り合いをつけているのだろうか。

少し古い本だが、現在でも十分に通用する入門書だ。

読書レビュー:情報だけ武器にしろ。: お金や人脈、学歴はいらない!


ホリエモンといえば、一昔前というか、今でもある程度以上の年代の人からは嫌われている印象があります。

多分、一言で言って既存の常識にとらわれないというより破壊しているからでしょうか。

本書でも相変わらず気持ち良いほどそのような持論を展開しています。

ボク自身は保守的だけどパンクという人間で、彼が登場してきた時から結構好ましく見ていました。

まあ、実際牢屋に入っていたのだから問題はあるのでしょうが。

まず、冒頭から情報のシャワーを浴びろ、と。
しかし、現代人の脳は過度に働きすぎなので、休めなければならないと締めくくり、どっちやねんという感じ。

でも、確かにその両方とも正しい指摘であると思います。
要はバランスですね。

具体例をたくさんあげていますが、その中で特に目に止まったのが、銭湯について。

ボクは銭湯ファンで、あちこちの銭湯に入りに行きます。

最近はメディアに銭湯が取り上げられ話題になることも多いのですが、やはりどんどんとその数を減らし、存亡の危機に瀕しているいる現状に変わりはありません。

ホリエモンは銭湯にも興味があるらしく、復活させるためにかなりドラスティックなアイディアを出しています。
自分でやる気はなさそうですが。

確かにそれらのアイディアもアリだとは思いますが、やはりなんか違う。

それで銭湯経営という見地からは新しい地平を切り開くことはできるでしょうが、銭湯ファンからはソレじゃないとしか思えません。

1ユーザとしては「ケ(日常)」としての銭湯に魅力があるのであって、「ハレ(非日常」」の場を求めいるのではありません。多分。

店主と手伝い一人のカウンターだけの居酒屋に行きたいのに、チェーン展開の店ばかりになってはつまらない。というような感じでしょうか。

そこのあたりがホリエモンとの同調に限界を感じました。

全体的には非常に時代を捉えた良書であるとは思います。

読書レビュー 「さよならインターネット – まもなく消えるその「輪郭」について」 家入さんかっこいい!


かなり昔から気になっている人でした。

現時点では刊行より3年近く経ってしまいましたが、問題なく今この時を語っています。ドッグイヤーと言われるこのジャンルでは核心的な素晴らしい内容であると言うことでしょう。

本書にも書かれていますが、そういえば都知事選にも出ていましたよね。

ホリエモンや孫さん、その他ITの申し子という感じの人たちの中では、結構こっち側の人というシンパシーは持っていました。

野望やマネーゲームとは無縁のいちオタクが成り上がったような人というイメージでした。

しかし、なかなか。
やはり行き当たりばったりで、会社を上場させるなどできることではないし、人間の幅と優秀さを伺わせます。

ボクは現在もペパボの利用者(ムームードメイン)であり、サーバかなり初期からの契約者でした。
安かったし、その分速度や安定度はダメダメでしたが。

本書の副題=間もなく消えるその「輪郭」について

本文中にも度々出てくる「輪郭」という文言が何を指しているのか、いまいちわかりませんでした。

端的に言って、「インターネットとは」という命題で良いのでしょうか。

家入氏の大好きなインターネットを、その発生から現在・今後を改めて俯瞰した内容です。

大好きだからこそ、一旦リセットして、さらに希望を持てるものとして見直そうというまとめです。

衒いなく書かれており、家入氏の人徳も感じさせる良書だと思います。

単順に  好きです。

読書レビュー:「徹底研究!! GAFA」 見事に囲い込まれている状況をどうするか


なかなかに読み応えのある本でした。
当代随一の書き手が様々な角度からGAFAについて解説し、今後の展望を語ります。

世界を支配する4大プラットフォーマーである4社。
Google=検索
Apple=デバイス
Facebook=SNS
Amazon=EC
そして現在4社を総括するとAIとなるかと思われます。
もちろん、そんな単純なものではなく、お互い牽制しあいつつ、補完しあっている関係です。
(デバイス→検索→広告 のように)

ここにMicrosoftやその他の巨大企業が入ってこないというのは、ある意味、現在がバブルなのかもしれません。

現時点でEUのGDRPが対抗策を打ち出しているように、GAFAが脅威であるとの認識も強くあります。

自分自身でもこれらのプラットフォーマーに対して、十分に囲い込まれている、「茹でガエル」であるという認識は常々持っています。
GAFAのなかで個人的にはFacebookのみ、かなり前に使用を辞めました。
自分にとってメリットがないと感じたので。
しかし、4社の中では最もリアルに個人情報を持っているのがFacebookなのかもしれません。

バブルである以上、近い将来終わりがきます。

ポストGAFAはあるのでしょうか。

中国のBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)が有力視されていますが、私はそうは思いません。
現在、スマフォの売上では中国勢が大勢を占めていますが、結局、開発しビジネスモデルを作ったのはアメリカです。
紙や印刷技術を発明したChinaは現在なく、巨大な結果は出しているものの、それは全部後追いです。それで首位に立った時、次のイノベーションが起こせるのでしょうか。

ITに限って言えば、プログラミングはベースがアルファベットであり英語です。
中国語によるプログラム言語を開発し、中国国内だけで完結するケースも想定されているようですが、どうなのか。

今後、GAFAはどこに行くのでしょうか。
個人としては、Google先生におんぶにだっこ状態で、アマゾンプライム会員としてその便利さを享受しまくり、さらにそれらにアクセスするのはApple製品なので、とても気になります。

ただ、AIスピーカーの類は今の所まだピンときていない状態です。

※ほぼ書評にはなっていません。

読書レビュー:「ITビッグ4の描く未来」


非常にまとまっていると思いました。
所謂ITビッグ4とはGAFAのことなのですが、その呼称は出てきません。
ここのところ、新聞各紙等で見ない日はないバズワードですが。
初版が2017年中盤なのですが、まだその呼び方はなかったのでしょうか。
プラットフォーマーという呼称も登場しません。

しかし、2018年の終わりに読んでも、見晴らしの良いまとめです。

日々関わるプラットフォーマーGAFAのうち、ボクはFacebookだけは数年前に決別しました。何か違和感を持ったからだと記憶しています。
結果、昨今Facebookの個人情報漏洩が喧しく言われるようになったので、結果オーライだったかもしれません。

使っていないFacebookですが、正直他のプラットフォーマーと比べて、その収益方法がピンときませんでした。
傘下のインスタグラムも含めて、PPC広告枠を提供しているだけでしょ、という認識しかなかったので。
しかし、問題はその規模でした。
Facebookが14億人、インスタグラムが10億人のユーザ数。単純にその数だけでもすごいですね。
そして個々のFacebookページの濃密さが強みなのでしょう。

今日の新聞で、GAFAを始めとするプラットフォーマーにIT税を課する案が現実味を帯びて報じられました。
なんだか、企業努力によって開発された発泡酒に安易に税加算する手法みたいに感じます。

外と交わらず、国内で完結する中国のプラットフォーマーは涼しい顔です。
今後、米中のIT競争はどうなるのでしょうか。

読書レビュー:「AI原論」 むずかしー、give up!


ギブアップしました。
先日同一の著者の「ビッグデータと人工知能」を読んで、大変に面白かったので選んでみたのですが、こちらはハードルが高すぎました。
「ビッグデータ・・」と同内容でかなりかぶるのですが、すべてが専門的でテクニカルタームが多く、いちいち理解できません。
もう少し勉強したらわかるようになるのだろうか。
理解できないものを無理して読んでいても時間の無駄なので、ひとまずおきます。

読書レビュー:「ビッグデータと人工知能」


著者の作品は記憶にあるだけで、過去に2冊読んでいた。
「マルチメディア」「IT革命―ネット社会のゆくえ 」
多分そのときにはそれほど印象に残らなかったのだが、今回は非常に感銘を受けた。

80年代からAIをタイトルにした著作があり、コンピュータの専門家である。
本作は比較的平易に書かれわかりやすい。

最も興味深かったのが、シンギュラリティを含め、AI・ロボットの可能性をほぼ否定しているところだ。

一般的には近い将来AIに人間が取って代わられる、所謂「シンギュラリティ」が問題としてメディアを賑わせている。
どちらかというと、それは決定事項として語られる。
しかし、著者はそんな心配はしなくても良いと説く。
AIと人間には決定的な違いがあり、それは理論的に超える事ができないのだと。
マインドアップローディングやシンギュラリティなどSFの世界のおとぎ話であると。

思えば「2001年宇宙の旅」でHAL9000に宇宙飛行士は殺される。
鉄腕アトムは人間の指示を無視して太陽に突っ込んでいった。
両者はAIについて逆の可能性を見ているが、早くからシンギュラリティを夢見ていたということか。