このタイトルが出るのに、曲はホンワカ。
「野獣」の上に「狂って」るんですから、もぉどうしようもないですね。
しかも、凶気の渡瀬恒彦が主演でピラニア軍団総出演となれば・・・。
どう見ても早稲田大学出身とは・・・
ずっと観たかったんですが、やっと観られました。
東映ファンの間ではかなり評価の高い一本です。「新幹線大爆破」と並んで「スピード」の元ネタと言われているようですが、それはどうでしょうね。
タランティーノは確実に好きでしょうが。
70年台東映プログラムピクチャーとしてはかなり贅沢だと思います。
一体何台の車をクラッシュさせたでしょう。
結構みんな命がけですね。
しかし、この時代の東映映画にありがちなんですが、オープニングの音楽がどう考えてもホームドラマみたいなホンワカした曲調。選曲の意図が不明です。全体的な内容はそこそこエグかったりするんですけどね。
さて。
銀行強盗の片桐竜次と川谷拓三が成り行きで路線バスをバスジャックします。その車内に、これまた宝石強盗の渡瀬恒彦が乗っていて、お互いの都合で丁々発止。その他の乗客もみんなアク強すぎなピカレスク・コメディー・アクション。
片桐竜次 川谷拓三
京都市内が舞台になっており、その点では東映京都としてはお手軽かもしれませんが、京都市街で良くあれだけのカーチェイスを繰り広げることができたと感心します。
さすが、東洋のハリウッド。
逆に今なら絶対ムリでしょうね。
ピラニアから参加はその他岩尾正隆・室田日出男・志賀勝・野口貴史・・・
どうみても一番兇悪な岩尾さんが京都府警。実生活では京都府警に何度もお世話になってるらしいw
室田日出男がヘタレっぽい白バイ隊員。行動が意味不明。
なんだかんだ言って、ピラニア軍団は常に全力投球でサービス精神の塊。面白くないわけがない。
加えて監督の中島貞夫も面白い映画を撮らせたらピカ一ですし。
渡瀬恒彦の恋人(?)役の星野じゅんという女優も舌っ足らずで結構カワイイ。
いかにも70年台半ばですね。
笑福亭鶴瓶がラジオDJ役。懐かしのアフロで押さえ気味の演技。
♪そんな時代もあぁったねと〜
そして、三上寛。その他の東映映画等に俳優としてもかなり出演していますが、ここでは酒場で弾き語る本人役(か?)
なぜかエンディングは三上寛の歌声で締めくくられるんです。
ヤクザ役者の良心、野口貴史が不倫教師役で逆に嫌なやつを演じてて面白い。
おっと、忘れてはならないのがチンドン屋の志賀勝。
この人の硬軟のギャップはいいですねぇ。「仁義なき戦い」の中でも両方を見せてくれてますが。今回は気の弱い、なんとも言えずおかしい人。
この顔だけでかなりオカシイwwwww( ゚∀゚ )
アクションシーンですが、ここまで執拗にカーアクション・大爆発しなくても・・というくらい大盤振る舞い。
すごいのが渡瀬恒彦のカースタント。車がジャンプしたりとかはないのですが、途中からジャックしたバスの運転を担当します。
カメラはフロントガラス(とっくに割れてないけど)の内側から前方を撮影します。
バスの前を走っていた白バイが転倒し、白バイ隊員はすんでのところで非難。バスは避けずに白バイを巻き込んで直進。カメラはそのままドライバーズシートへ向けられると、運転してるのが、ホントに渡瀬恒彦。
ここまでほんの10秒もないと思いますが、印象に残りました。
そしてラスト近く、逃亡用のヘリコプターに乗りそこねた片桐竜次がヘリの足にしがみつき、そのまま飛び上がられます。下は草っぱら。
片桐竜次根性見せます。アンタはチバちゃんか?
最近はドラマとかで普通のオッサンになってるようですね。
片桐竜次はマスクもいいのに、イマイチブレイクしませんでしたね。何が足りないのか、ちょっとザンネンな感じのままです。まだ終わってませんが。
拓ボンはいつも通り。今回は出身地の高知出身の設定なので、より自然に憎めないアウトローを演じています。こういう役では独壇場ですね。
最後は誰も勝者がいないという意外な結末。さて、「狂った」「野獣」は一体だれなのか・・・。
この時代、既に映画産業は斜陽でしたが、パワーのある映画はいっぱいありました。
見終わった充実感一杯の佳品。
ちなみに「ピラニア軍団」の名付け親はステゴロNo.1の呼び声高い渡瀬恒彦だそうです。