月別アーカイブ: 2019年3月

映画レビュー:「おっさんのケーフェイ」 心の底からブーイング!!


おっさんのケーフェイ
リーフレット

映画が好きでプロレスが好きだ。

食い物で言えばタコが好きでラーメンも好きだ。

本作はラーメンの中に生ダコぶっこんで、すべてを台無しにした。

我ながら、なんとわかりにくい比喩かとも思うが、ほんとに・・・。
どうしてくれよう。


主演の川瀬陽太は最近あちこちで見かけて評価されてるようです。

自分はシン・ゴジラで初見でなぜか印象に残りました。

あと、赤城というレスラー。

昔、南条隼人と名乗っていた時に少し裏方仕事をしていて本人と会ったことがあるのです。
その後はくいしんぼう仮面とかでブレークしたみたいですけど。

そんなこんなで、期待もせずに他の観たい候補作を置いておいて、時間調整もして観に行ったのです。

が。

ひっさびさです。

レビュー書かなきゃ良いとも思うのですが、逆に書かずにいられない。

上映中、この尺の短さで、このいたたまれなさ。

それでも、終わるまでにはどこか良い要素に出会えるかもしれない、と思いつつ、エンドロールまで我慢しました。

しかし・・・エンドロールの途中で席を立ったのはいつ以来か。

観るべきところが全くない!

ストーリーも陳腐だし、中途半端な関西弁は集中力を削ぐし。

設定その他も全く感情移入できませんでした。

プロレスというジャンルは清濁併せてすべてを飲み込むブラックホールだと思っていますが、この作品はダメだ。
この映画からはプロレスに対する愛情の欠片も感じられません。

そして映画そのものの魅力もない。

DVDで観て15分くらいで止めるのがちょうどよい感じ。

ここまで貶すのは自分でも不思議なくらい。

失敗したー、という言う感情を超えて憤りすら感じました。

なにが「ケーフェイ」か!

すみません。好き嫌いだけかもしれません。


同様にプロレスラーを描いた映画として。

中邑真輔の「パパは悪者チャンピオン」は未見です。

宇梶剛士の「お父さんのバックドロップ」はそれなりに良かった記憶があります。

でも、これは・・・。

☆☆☆☆☆⇒★が0ということ。

映画レビュー:「ねことじいちゃん」 癒やされれば良いだけの


ねことじいちゃん
オフィシャルサイトより加工転載

あんまり感想とかありません。

あーだこーだ言う類の映画ではないと思います。

直前に何度目かの「七人の侍」を観たところだったので、なおさら。

当たり前ですが、猫好きのための映画。

数年前から猫ブームなので、ある一定数は動員できるだろうということは想像に難くない。

同時期に公開の「僕の彼女は魔法使い」(幸福の科学)と同じ商法とも言えます。

「僕のー」は誰が観るの?とは思うものの、やはり新聞のランキングには第一週のランキング一位だったりするのですね。

同列に比べるのも岩合さんに失礼かもしれませんが。


舞台はとある島、多分太平洋側。暖かそうな島。

いわゆる漁港のある猫島で、猫以外はほとんど高齢者。過疎。

高齢者の問題や過疎の問題などがあるのですが、まあ、そんなことはあっちへ置いておいて、本作ではひたすら猫を愛でましょう。

物語の前半は岩合光昭監督お得意の猫ウォッチング。

昔、テレビで良く放映されていたディズニーの動物映画を思い出します。
ディズニーの場合は長らくやらせ一切なしと謳っていたのが、実はヤラセだったとバレたのがかなり前のこと。

本作は特に動物に演技をさせたり擬人化したりすることはありません。

もっとも野良猫地域猫ではなく、動物プロダクション所属のタレント猫たちではありますが。

それでものびのびとだらだらと猫の日常を描いています。それが見事ですねえ。


一方、人間の方はというと。

これはちょっと、どうでしょう。

岩合監督は動物を撮らせたら世界一ですが、人間となると・・・。

出ているのが小林薫を始め達者な人たちなので、なんとか観ていられます。

主役の立川志の輔は頑張っていました。

理想のじいちゃんですね。


一つ主張があったとすると、飼い主を病死によって失った一匹の猫を小林薫が引き継いで飼うことを拒否します。

その猫の亡くなった飼い主は小林薫が想いを寄せていた女性でした。

小林薫が飼うことを拒否したのは自分の年齢を考えてのこと。
もっと若い人に飼ってもらうことを希望します。

自分が好きな女性を失った喪失感を同様に感じているこの猫に二度も同じ思いをさせたくないという思いです。

これは安易に動物を飼って最期まで面倒をみない風潮に物申したかったのだと思われます。

猫が好きで癒やされたければ是非。

※エンドロールでびっくりしたのが、制作に竹内力とリキプロジェクトの名前があったこと。
リキプロジェクトって、格好手広くやってますね。

ま、本編に竹内力が出てきたらちょっとぶち壊しかもしれませんが。

★★★☆☆

映画レビュー 「たちあがる女」 なんかいい感じに描いてるけど、テロリストですから!


たちあがる女
オフィシャルサイトより加工転載

アイスランドの映画。

アイスランド映画というのは初めて見たと思います。

一言で言って「おばちゃんのランボー」ですね。


舞台はアイスランド。

間もなくウクライナから念願の養子を迎える、中年の女性。

いつもは合唱団の指揮者として穏やかに過ごしています。

アイスランドの大自然もすばらしい!

しかし、彼女にはエキセントリックなもう一つの顔があります。

それは。

環境保護のために大企業の工場を潰すというとんでもない野望を抱いているのです。


映画の冒頭、いきなり、工場の送電線を弓矢で破壊するという、まさにランボーな行動に出ます。

まあ、地域住民にとってはこの工場は苦々しいものではあるのですが。

だからといって、工場の労働者にも生活はあるし、政府に認められて操業しているわけですから。

それを反対だからといって実力行使で妨害するというのもいかがなものか。

しかも、これから幼い養子を迎えようとするのに、この行動は暴挙というしかないし、心から応援するには躊躇します。

ボクには環境テロのシーシェパードとかぶって見えます。


なんと、この映画は公開前からハリウッドでジョディ・フォスター主演・監督でリメイクされることが決まっているそうです。

なんで公開後すぐにリメイクするのか意味がわかりませんが、ハリウッドリメイクとなると、マーケットのレヴェルが全く違うでしょう。


この映画で気に入ったところ。

BGMがジンタ(?)的なんですが、そのスリーピースの楽団が{常に}シレッと画面に出てくるのです。登場人物でもなんでもなく。

その効果でランボー的緊張感が腰砕けになって、喜劇的になります。

プラス民族衣装を着た合唱団もそれに加わり、画面がほんわかしてきます。

非常に好ましい演出。

さて、この演出までリメイク版では踏襲するでしょうか。

したら、リメイク版の負けのような気もしますが。

あと、喜劇というと、全く関係なく自転車でアイスランドを旅する外国人の青年が出てきます。

この彼がなんの罪もないのに、テロリスト主人公の代わりに度々職質されて連行されるのです。
これがちょっとおもしろい。

まあ、作品の終わり方が???なところもありますが、非常に好ましい作品ではあると思います。

★★★☆☆

映画レビュー 「運び屋」 トランプ大統領の援護射撃


運び屋
オフィシャルサイトより加工転載

かつては政治家としての顔も持っていたクリント・イーストウッドの監督主演最新作。

と言っても現時点で米寿なんですよね。

映画監督って、これくらいの高齢になっても創作を続けてる人がいますが、その感性の瑞々しさにはホントに驚かされます。

コカインを大量にシカゴまで運ぶ高齢の男性の話ですが、クリント・イーストウッドが広大なアメリカの乾いた大地を走るトラックというのはそれだけでワクワクさせてくれます。

まさに憧れのUSAというか。

ロードムービーのようでロードムービーじゃない。


映画の中でネット社会を批判するような言葉が沢山出てきますが、反面ITについて行けない自分たちの世代へのある種自虐的な感じも受けます。

本作も特にCGIを使ったようなシーンは見受けられませんでした。

イーストウッドは、晩年にディジタルを拒否して引退した菅原文太と、ルックス的にも相似的なものを感じます。


「許されざる者」でイマイチ???と感じたのですが、

「グラン・トリノ」「ミリオンダラー・ベイビー」ですげぇ!と感じて、「アメリカンスナイパー」でも唸らせてくれました。
一つ前の「人生の特等席」まで、演じるキャラクターが本作も含め似た頑固親父なんですよね。そして続く本作。

今回も期待して行ったのですが。

悪くはないんだけど、なんか物足りない印象。

ストーリーに今ひとつ盛り上がりがない、というか。
一応、実際にあった事件が下敷きにはなっているらしいのですが。

もう少しケレン味のようなものがあっても良いんじゃないか。

観ていて退屈させるようなことはない。これはやはり上手いのでしょう。

画面はクリント・イーストウッドで持たせている感じです。

エンドロールまでメキシカンギャングがアンディ・ガルシアだって気づきませんでした。
太っちゃって。


※ちょっとネタバレ

他の人のレビューでも書かれるでしょうが、コカインで莫大な富を得て、殺人など屁とも思わない極悪ギャング。
末端の子分はちょっとイイやつだったりもするのですが。

結局、運び屋として大きな報酬を得た主人公は法の裁きを受けます。

そしてアンディ・ガルシアは因果応報で殺されますが、ギャング団自体は代替わりをしただけで解体されるようなことはありません。
そりゃ、メキシコのギャングですからいかにアメリカの警察(麻薬取締官)でもなかなか手が出せない。

つまり、アメリカにとっては脅威のままなわけです。

そこでトランプ大統領のグレートウォール作戦に繋がります。

共和党支持のイーストウッドの思惑が見えてしまう部分です。


*蛇足ながら、本日ピエール瀧が同様にコカイン使用で逮捕の報道がありました。

★★★☆☆

読書レビュー 「さよならインターネット – まもなく消えるその「輪郭」について」 家入さんかっこいい!


かなり昔から気になっている人でした。

現時点では刊行より3年近く経ってしまいましたが、問題なく今この時を語っています。ドッグイヤーと言われるこのジャンルでは核心的な素晴らしい内容であると言うことでしょう。

本書にも書かれていますが、そういえば都知事選にも出ていましたよね。

ホリエモンや孫さん、その他ITの申し子という感じの人たちの中では、結構こっち側の人というシンパシーは持っていました。

野望やマネーゲームとは無縁のいちオタクが成り上がったような人というイメージでした。

しかし、なかなか。
やはり行き当たりばったりで、会社を上場させるなどできることではないし、人間の幅と優秀さを伺わせます。

ボクは現在もペパボの利用者(ムームードメイン)であり、サーバかなり初期からの契約者でした。
安かったし、その分速度や安定度はダメダメでしたが。

本書の副題=間もなく消えるその「輪郭」について

本文中にも度々出てくる「輪郭」という文言が何を指しているのか、いまいちわかりませんでした。

端的に言って、「インターネットとは」という命題で良いのでしょうか。

家入氏の大好きなインターネットを、その発生から現在・今後を改めて俯瞰した内容です。

大好きだからこそ、一旦リセットして、さらに希望を持てるものとして見直そうというまとめです。

衒いなく書かれており、家入氏の人徳も感じさせる良書だと思います。

単順に  好きです。

胃がん その13 ダンピング症候群


腹痛
死を意識する腹痛。いや、まじで。

もう少ししたら、胃がん手術後3周年です。

酒も結構呑めるようになって、調子悪いながらも、それなりの日常を送るようにはなっています。

昨年は病気を言い訳にしないというのをコンセプトに、自分にイベントを課して過ごしました。

フルマラソン完走。(その他にハーフマラソンのレース2本とトレイルランのイベント1本)
資格試験3種。(うち、合格2種=ITパスポート・漢字検定2級)

まあまあ、の1年だったと思います。

最期の資格試験(宅地建物取引士)は残念ながら不合格でしたが、どうもそれで燃え尽きてしまった感があります。

今年は全然走る気にならないし、結構ぐうたらしています。

今年の秋には再度宅地建物取引士と管理業務主任者の試験を受けようと準備はしているのですが、なかなかそのモードになりません。


で、体調ですが、あまり良くありませんん。

といっても、胃摘出の人ならば誰でも経験する「ダンピング症候群」。
食事を摂る度に苦しめられます。

食事量を抑え気味にしていても、食べ終えた後はしばらく苦しくて動けません。
それが毎食後なので、困ります。

あと、食べたらすぐ出る感じ。

消化する力が不足しているのか、常に下痢気味ではあります。

食事量抑え気味とは書きましたが、どうしても食べすぎてしまい、自分の学習能力のなさを日々後悔しています。
と言ってっも、食べないと体が持たないんですけどね。


昨日は腹痛に苦しめられました。

胃がん摘出後すぐになった腸閉塞を思い出し、救急車を呼ぶ寸前でした。

一夜明けて落ち着き、只今病院に来ています。

無事3周年を迎えられたと思います。

指折れた!?


骨折
ポキっていったんだが

いつもの銭湯(豊中市蛍池 幸福温泉)からいつものように帰りかけたところ。

なんだか左足に違和感。
なんか。
なんか痛い?
痛い?
痛い!
痛ったー!!

だれかボクの靴の中にガラスの破片入れたか?
プリマドンナには選ばれていないぞ。

そんな痛さ。
もしくはスズメバチに刺されたような痛み。
盛りました。スズメバチに刺されたことはありません。
アシナガバチかな。

歩けない。

暗い中で靴下を脱いでみたけど、ガラス片はない。

街頭に照らしてみたけど、腫れもない。
ちょっとひねってみると「ポキっ」と音がした。

うそ、折れた?!

でも、折れたんならこんなもんじゃ済まないよね。

びっこを引きながら停めてある車まで戻りました。

なんとか運転はできる。

左足でよかった。

昔、ボクシングの練習で右足のふくらはぎが肉離れを起こした時は、車で帰るのが死にそうだった記憶がある。

家に戻って確認したけど、やはりなんともない。

痛みも少しまし。

で、一晩明けたら全くなんともない。

今の所大丈夫。
なんの前触れもなく、突然これは何だったのだろう?

映画レビュー 「THE GUILTY ギルティ」 色んな意味ですごい映画


the guilty
リーフレットより

ロッテン・トマト100% の支持らしいです。
でも、ロッテン・トマトは信用しないことにしているのです。
しょっちゅう裏切られてるし。

しかし!今回は違った。素晴らしい出来です。

でもレビューとしてはほとんど内容については書けません。
ネタバレは一切しないようにしなければ。


場所はデンマーク・コペンハーゲンの警察。
舞台は一箇所。警察のワンフロアだけです。
しかも、緊急連絡を受ける部署での電話のやりとりだけで進行します。
限定空間で限定人物。

事件は現場で起こっているのですが、本作はあくまでもデスクの前に座ってPCそ使用した最新の電話のみが武器です。

それで持たせられるとことが脚本・演出・演者のすごいところ。

緊急コール担当の警察官とまさに誘拐されている女性との限られた通話だけのやりとり。

そこに残された被害者の子供やその他との電話を介した会話だけで進んでいきます。

当然、試されるのは会話と背後の音で想像する力。

本作の監督は音から想像するイメージはそれぞれみんな違うという前提に基づいて発想したらしいです。

そういう展開なので、どういう方向とオチに持っていくかが気になります。

安心してください。決して裏切られません。

それにしても警察のお仕事は大変です。
七曲署やハリー・キャラハンだけが警察映画ではないのです。

★★★★☆

 

 

映画レビュー 「岬の兄妹」 目をそらすな。これも紛れもなく現在の日本。


岬の兄妹
オフィシャルサイトより加工転載

本来ならば、第七藝術劇場とかシネ・ヌーヴォとか、そっち系単館上映の作品だと思います。
本作は配給とかにイオングループが噛んでるので、メジャーなシネコン・イオンシネマでの上映。

でも、劇場入り口に表示の「岬の兄弟」という誤記にやる気の無さが。
「兄弟」じゃあ、ますます問題が複雑化するぞ。


今回は多少ネタバレさせるかもしれません。

舞台は日本のどこかの貧しい岬の漁村。

片足の悪い身体障害者の兄と精神障害(自閉症)の妹が二人きりで住んでいます。
ある日、兄は働いていた工場を突然リストラされ、たちまちに生活に困窮していきます。

そんな時、ひょんなことから妹が売春(というよりは強姦に近い)をして金儲けをしてしまいます。

最初はその行為を責めていた兄も、行き詰まった結果、あろうことか妹の売春の斡旋をし始めるのです。

とりあえず、この妹役の和田光沙さんがすばらしい。
ほとんどまともなセリフもないのに見事に演じきりました。
ありきたりの「体当たりの演技」なんぞという表現ではとても追いつきません。

演技が素晴らしく、彼女の哀れさに心が引き裂かれると同時に、クズで最低な男どもに吐き気をもよおす。


随所に痛々しくて観ていられないシーンがあります。

この映画のリアリティは韓国映画を彷彿とさせます。
なんなんでしょうね。韓国映画独特のあのリアリズム表現は。
やはり、なんだかんだ言っても、彼の国とはかなり似通った精神性があるので、そう感じるのでしょう。

大好きなヤン・イクチュン監督主演の「息もできない」を観たときに感じたようなしんどいほど救いようのないリアリズムを感じますが、本作はそれを凌駕するほどです。


ほぼ、有名な俳優は出てこないのに、高度なリアリズムで惹きつけてだれさせません。

最初のシーンで出てくる、改良住宅のようなボロやの並び。
汲み取り式便所のカラカラ排気煙突が見て取れます。
良くこんなところを探してきたなあと感心しました。
我ながら変な着眼点ですが。

その家の中も、なんでこんなにリアルなんだ?という荒れっぷり。

ディジタルCGIにより、映像で表現できないものはなくなったと言っても過言ではない現在。
キレイな画面はできますが、このキタナイ場面はできないでしょう。
作っても意味はないですが。
例えるのもおかしいですが、「君の名は。」の対極に位置するというか。
しかし、この饐えたような臭いのシーンこそ逆に貴重に思えてきました。

この手の弱者の問題は、都会に多そうな気もしますが、実際には田舎にこそ、もっと根の深いものがあるような気がします。

地方の田舎の深い闇、的な。

だからかな。安易な田舎暮らしおすすめ企画とかに乗れないのは。

ま、自分も結構田舎もんですが。

おすすめですが、かなり観る人を選ぶ作品でしょう。

★★★★☆