月別アーカイブ: 2012年3月

読書レビュー:はじめての宗教論 左巻―ナショナリズムと神学 (NHK出版新書 336)


「はじめての宗教論 右巻」に続いて、読了。

しかし、「右巻」と比べて格段に難解になってると思います。

油断してたら、フルスロットルで引き離された感じ。

と言っても、引用部分などがとっつきにくので、全然わからないということではありません。精読すれば、面白いです。

なんといっても「初めての—」だし。

宗教(キリスト教)をベースにナショナリズムが構築されているのだが、そのナショナリズムからしてそもそも「民族」という概念自体がフランス革命以降のものである、という部分は目新しい説明です。

キリスト教は偶像崇拝を禁止ししているのだが、やはり宣誓は聖書に手を置くし、十字架も特別なもの。

ナショナリズムが宗教に取って代わると、国家・国旗がそれを表象するものとなり、橋下氏を始めとする国旗・国歌への対し方はともすると信教の自由に関わるものであるという見方もできる。

と、これは私の見解。

それはともかく、簡単に「神学」と言っても、もぉ、笑ってしまうぐらい広範で多岐にわたり、とても一人で全てを学べるものではないらしい。

その枝葉ディレクトリの一分野に関して大学図書館に所蔵されている書物を読破するだけでも2・300年かかるとか。

しかも、ドイツ語始めラテン語まで勉強しなければならないし。

こういうものをベースにおいて発展し、思考や感性のもととしている欧米がグローバルスタンダードであるとするならば、やはりこれは学ぶべきだろう。

興味深いのは、啓蒙された近代以降の私達はファナティックな一団を別にするとして”天上に神は存在しない”ということを知ってしまった上で、キリスト教を信仰していると。
私には信仰心がないので、イマイチ理解できない点ですね。

それと、神が遍在しかつ絶対の善であるならば、なぜ悪が存在するのか。この件のなんだかこねくり回した聖書の解釈が無理やりっぽくて面白い。

佐藤優さんのいかにもクリスチャンである真面目さが随所にあふれていて、こちらも真面目に読んでしまいます。

キーワード:弁証学=異教徒に対する 論争学=内部派閥に対する

右巻はこちら

春の奉納絵馬ハンティング


かなり間が開きましたが、「奉納絵馬ハンティング」に行って来ました。

茨木市の西国街道沿い。

旧街道の面影。

こちらは何かわかりますか?

拡大すると値段表があります。完全ジモティ仕様。

そして春日神社です。


大きな地図で見る

といっても、茨木市内に春日神社はたくさんあるので、ここは豊川の春日神社。

面積としては、最も大きいと思います。

かなり寂しいところではありますが。

西国街道とパラで走っているR171からもすぐだし、周りも結構開発されているのですが、この深山幽谷感はなんでしょうか。

余裕でもののけがいそうというか。

コチラの神社は山門が舞台のようになっていて、絵馬がたくさん奉納されています。

絵馬は願い事を書いて奉納するのが普通なのですが、なにか記念のために大きなものを拵えることもあるそうです。

これは昭和4年の軍艦那智。戦勝祈願も兼ねているのかな。

勇ましい絵馬です

こちらは明治45年。はげちょろけてしまってるので、良くわかりませんが、神話を描いているのでしょうか。もしくはやはり夷狄を討つ英雄の象でしょうか。

経年劣化が激しい。
飾ってなんぼなんですが、保存はできないのでしょうか
[/caption]

集合写真も何点か飾ってあります。

比較的時代は浅いか。
こちらは古い。犬神家の一族とか思い出す。

神主さんのいない神社の方が圧倒的に多いでしょうが、氏子さんの活動の後が伺える村の神社というのは、生活の歴史がじんわりと染み出している感じがあっていいですね。

自分がそういうのに向いていないデラシネ野郎なんで、余計に(無責任に)惹かれるのかもしれません。

最近は自転車に乗ってふらふらするのがマイブームなので、ボチボチとハンティングしていこうと思います。

※オマケの西国街道※

いつも気になってた喫茶店。

なんでいきなり?

しかし、入り口に自販機のある喫茶店て。

映画レビュー:らもトリップ 泣けるぜ(;_;)


オフィシャルサイトより抜粋

サイトのリニューアルだなんだと更新できてないので、時間がたってしまいました。

我が畏敬する先輩(あ、灘高じゃないすよ。大阪芸大)中島らもをフォローする人たちの映画。

オムニバスで原作小説を3話映画化しているが、それよりも生前ゆかりの人たちの証言というか、思い出というか、そのあたりが(・∀・)イイ!!

みんな、らもさんを失って悲しいはずなのに、満面の笑みでエピソードを語っていきます。

なかでも古田新太さんのトークはぜひ「すべらない話」に出てほしいなと。

このあたりはもっと充実させられると思うんですけどねえ。らもさん交遊録はもっと広いはずだし。有名どころも大勢いるし。

なんか、芸大生が作ったらしいので、そのあたりが限界なのかな。

映画自体はまあ、どうなんでしょうねえ。

オムニバス3本目の「子羊ドリー」が、らもワールド爆発で特によかったと思います。

あと、中島美代子さんの老けっぷりが衝撃でした。彼女の本の表紙のイメージしかなかったので。
らも 中島らもとの三十五年

エンディングのライブ「いいんだぜ」泣かせます。まじ。放送はできないけどww

youtubeでも聴けるので、ぜひ。

なんか、なごんだ


昨日は大阪環状線に乗りました。

西九条の駅で、駅員さんが二人赤ちゃんが載ったままのA型ベビーカー(結構高級そうなの)を両方から持って、階段を降りていました。

急な階段なので、ちょっと怖いなあと思いつつ。

少し遅れて、そのベビーカーの持ち主であろう、ヤンママが2歳くらいの女の子の手を引いて階段を降りていました。

かなり小柄な母親で、まだかなり若そうです。ケバくて子ども連れてなかったら、ご出勤のキャバ嬢にしか見えない。

15センチくらいのソールのブーツを履いてるんだけど、それでも小さい。

のに・・・胸がエラく大きいの。ま、授乳期だというのもあるんだろうが。

その家族連れと同じ電車に乗りました。

そのママ、口調はちょっとぞんざいだけど、すごく優しいですよね。

女の子になんやかんや話しかけ、一緒にベビーカーの中の弟だか妹だかを覗き込んでる。

小さなお姉ちゃんに手すりを持つように言って、自分はずっとしゃがみ込んで、その子を抱くような形になってました。

そもそも、子連れでベビーカーを押してそのブーツは問題なんだが、見かけとのギャップでなんとも言えず癒されましたね。

このヤンママなら、虐待とは無縁でしょう。

小さなお姉ちゃんも、すごーく穏やかな顔をしてたし。

まあ、なんてことない日常の一切れですが。

オススメ ヘッドフォン


ランニングをする時は、iPhoneアプリのNike+を使用します。

音楽を聴きながら、GPSでコースのいろいろなデータを記録してくれます。

無料のアプリだし、iPhoneのGPSなんで正確さは求められませんが、モチベーション維持には十分な機能です。

もちろん、ヘッドフォンをして走るのですが、動きの邪魔にならない軽量で小さくてフィットするものがいいです。

しかし、やはり有線ではなんだかんだと邪魔になる。

これまで使っていたものも気に入っていたのですが、ある日突然右しか聞こえなくなりました。やはり負荷がかかって、コード内部で断線しているようです。

かたっぽだけ聴こえるというのは非常に気持が悪い。

で、この際、Bluetoothのヘッドフォンを買おうと思っていろいろと探しました。

レビューを見てみると、どうも一長一短ありそう。なにより予算がない。

最終的に選んだのがこれです。

レビューの中には「音質がイマイチ」というように書いている人もいましたが、ボクとしては十分に満足、というか、結構レヴェル高いと感じています。

ランニングに使っても全く問題なし。

iPhoneとの接続も簡単です。設定で勝手に選んでくれます。

充電時間が結構長いのですが、寝る前に差しておけばいいでしょう。マニュアルによるとフル充電で7時間使えるそうです。

なによりコンパクトなのが(・∀・)イイ!!

くるんと丸まってるので、伸ばして耳に当てます。長時間の使用でもボクは痛くなりませんでした。

iPhoneの色と合わせました
ちょいと外して腕に巻く
かばんなどにも巻き付きます
それと、買った時はヘッドフォンの機能のことしか考えてなかったのですが、これってヘッドセットにもなるんですよ。知らない方がおかしかったと思うけど。

これがまた、マイクもちゃんと音を拾ってくれるようで、相手からはなんのクレームもありません。

片耳のヘッドセットで喋りながら歩いている人が良くいますが、ヘッドセットが見えないので、ちょっとアブナイ人に見えなくもない。これは結構目立つので、そのあたりが少しまし・・・かもしれない。

コスパは最高の品だと思います。

色も結構揃っているようです。

100均当たり情報:マグカップの蓋シリコン製


同様な商品はいろいろと出ているようです。

デザインは気に入ってませんが、500円くらいしている同等品もデザイン的には似たりよったりなんで、そういう意味ではいいかなと思ってます。

マグカップの蓋シリコン製
真ん中の持ち手がイマイチ

ボクはコーヒーを飲むのが非常におそいので、前から蓋があった方がいいなあと思ってたんですが、いいのを見つけました。

飲みかけのカップの上にペッと置くだけで、ぴったりくっつきます。

ついでに真ん中を抑えると吸盤のようにくっついて、そのまま持ち上げても大丈夫。

なので、そのまま持ち運んでもこぼすようなことはありません。

スグレモノです。

ゴミもきにせずゆっくりと飲むことができます。

Seriaで購入。

読書レビュー:ユダヤ人大富豪の教え ―ふたたびアメリカへ篇


シリーズ3作目です。

著者の実体験に基づく小説ですが、第一作からあまりにも劇的(ご都合主義?)すぎて引いてしまう嫌いもあるかもしれません。

しかし、それでも引きこまれてしまいます。多分、映像化されたら無理でしょうが。

今回も舞台がアメリカだから、まあいいかと思えるような展開です。

2ページに一回の割合で感激のあまり誰かが泣いている感じ。

今回のポイントは「4つのマトリックス」。

・ポジティブ自立
・ポジティブ依存
・ネガティブ自立
・ネガティブ依存

これらがどう関係して何を表すかは本書を読んでください。

ちなみに、これ自体は著者のオリジナルではありません。

自分自身がどれかに当てはまるのですが、血液型のエセ科学(占い?)よりは100億万倍いいです。

最新書なので、東日本大震災にも少し触れられています。

なんと言っても、震災・津波・原発禍が日本の一つのエポックです。

それ以前とそれ以後で心の持ち方が変わったことははっきりとしているのではないでしょうか。

著者のお得意のお金としあわせの関係。

しばらくは素直に勉強してみるつもりです。

草間彌生 永遠の永遠の永遠


現在、大阪中之島の国立国際美術館で「草間彌生 永遠の永遠の永遠」が開催されています。

やっと行くことができました。

国立国際美術館がこれだけデコレイトされるのは初めてみました。

いきなりの草間ワールド。

いきなりの草間ワールド

今回は2004年から直近の作品なので、かなり新しいものです。

草間彌生さんは1929年生まれなので、83歳。もうすぐお誕生日です。

にもかかわらず、このパワー・エネルギー。素晴らしい。

入ると、最初に撮影禁止の説明。

当たり前やんと思って良く読むと、撮影可の三箇所以外は撮影禁止とのこと。

これは太っ腹ですね。せっかくなんで撮影させてもらいました。
iPhoneだけど。

草間彌生画伯というと、どうしてもイメージがドット・水玉なのですが、最初のコーナーではあまりドット模様は用いられていませんでした。

多分、抽象画を見た人のうち120億人くらいが漏らしたであろう「これだったら自分にも・・・」というお約束のつぶやきが頭をもたげてくるのですが・・・1枚くらいならともかく、この量を普通の神経?で書き続けるのは無理。

このシリーズ「愛はとこしえ」はアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのジャケットを彷彿とさせますが、それよりはずっと温かみがあり、ちびまる子ちゃん的ワールドも振りかけられている感じ。いいかな、こんな感想で。

最初の撮影エリアは、本展示場に至るまでのフロア。

かの有名なカボチャ

二箇所目は展示場に入ったところの説明エリアなので、スルー。

そして三箇所目がこちら。水玉チューリップ。

たーのしー♪

さすがにこのゾーンではほぼ全員がカメラでカシャカシャ。

場内では草間彌生の最近の創作活動現場の記録映画を上映。

あのね。あの草間さんの写真ね。超眼力(めじから)の。

あれは写真を撮るから目を剥いてるわけではないんですよ。

常にあの顔で絵を書いたり喋ったりしてます。壊れた消火栓というか・・・。

にも拘らず、格好はおしゃれエプロンを着た、ただのバアさんなところがまた。

岡本太郎のギョロ目は演出的な感じも受けたのですが、この方はこれがデフォルトらしい。

昔のニューヨークでの活動のパネルもいくつかありましたが(50’60’)これもインパクト大。

60年代初期くらいのファッションなんか、めちゃめちゃかっこいいです。

ま、体型が完全に昔の日本人なのがアレですけど。

映画の中で死ぬまで描き続けるというようなことを仰ってますが、多分、もうしばらくは元気そうな感じですね。

パワーいただきました。

読書レビュー:いとしこいし想い出がたり  ”間”を持たせられる漫才さんは、今・・・


喜味 こいし
岩波書店
発売日:2008-06-20

あとがきに「夢路いとし喜味こいしは上方しゃべくり漫才の最高峰」とさらっとかいてあるが、まさにそのとおり。
ボクにとってはやはりダイラケ・いとこいは漫才の双璧、龍虎です。

特に、客を絶対にいじらない、清々しいというか孤高の漫才というか、見事で素晴らしかった。

お客と一体で創り上げる、ライブ感のある舞台も良いですが、芸の力で客の意識を嫌でも惹きつける名人芸に魅力を感じます。

お兄さんの夢路いとしさんはかなり前に亡くなられました。

この本は弟の喜味こいしさんのモノローグ。

口調がそのままで、ご本人を彷彿とさせます。

ほぼ、説明的な文章がなく、古いことなど細部が分からないところもありますが、それも全然気になりません。非常に良い編集の仕方だと思います。
編集者(であろう)戸田学さんの上方演芸に対する愛がヒシヒシと伝わってきます。

いとこいさんは、ボクらの記憶ではやはり「がっちり買いまショウ」の名司会。

ボケのいとしさんが目立ってました。「10万円7万円5万円運命の分かれ道」。

同様に日曜日のお昼のテレビ番組(ダイビングクイズ)の司会をしていた若井はんじけんじとともに思い出されます。

軽い調子でボケ倒すいとしさんと比べると、こいしさんは眉毛が太くてがっちりしてて、少し怖そうなおっちゃんという印象でした。

私が実物を拝見したのは、もう、最晩年の舞台。

ご存知、スカルキャップと白い髭を蓄えたダンディな姿で。

あの白い髭はおしゃれかなと思ってたのですが、おそらくかなり痩せてしまっているのをカモフラージュしていたのではないかと思います。

幸運にも梅田芸術劇場の最前列で、娘の喜味家たまごさんとの掛け合いを見たのですが、袖からのぞく腕が異常なほどやせ細っていました。

もしかしたら、かなり辛かったのでしょうかね。

この本もその最晩年の聞き書きなので、ご本人にとっては体力の限界だったのかもしれませんが、記憶力の確かさはすごいです。

本当はこの何倍もの古い貴重な体験、芸談を読みたいところですが、今となってはそれもかなわず。

よくまとまった良書・資料だと思います。

戸田学氏のъ(゚Д゚)グッジョブ!!というべきでしょう。