月別アーカイブ: 2017年11月

映画レビュー:永遠のジャンゴ


django
パンフレットより

☆すこしだけネタバレあり。

本編前の時期公開予定予告編で来年2018年公開のヴィム・ベンダース監督作品「アランフエスの麗しき日々」という映画の予告編が流れた。
その映画で主演しているのが、本作でもジャンゴ役で主演している、レダ・カテブという俳優。
全然知らない人だったのだが、出演作品など見ていると、今、旬の俳優みたい。

今から見る映画と予告編がかぶってても、単なる偶然ではないみたいだ。
ヴィム・ベンダース監督も好きなので、できたら観に行こう。

しかし、それほど魅力的な俳優には見えなかった。お世辞にもハンサムとは言えないし、印象に残るタイプでもない。
本作での堂々たる天才ギタリストの役は堂に入っている

伝説のギタリスト・ジャンゴ・ラインハルトを描いた作品。

ナチス政権下、ユダヤ人よりも差別されたのであろうロマ(ジプシー)のギタリスト。

現在は「ジプシー」という呼称が差別的であるとの理由で「ロマ」と言われているらしい流浪の民。なにが差別的なのか分からないが。

「エスキモー」が「イヌイット」と呼ばれ、「インディアン」が「ネイティブアメリカン」と言われるようになったのと同じか。もっとも、最近は再び「インディアン」と呼ばれ始めたらしいが。

ジプシーだって、それを冠した語句や文化もあるんだし、ややこしいですね。
ボクなんかはプロレスラーのジプシー・ジョーが真っ先に思い浮かぶんだが。

このジャンゴもジプシー・ジャズの創始者らしい。

しかも若い時の火傷事故が元で左手の薬指と小指がほぼ使えない状態だったらしい。ボクは楽器が全く弾けないので、わからないのだけど、そんな状態で演奏ができるんですね。
いや、そんな状態だからこそ、天才と言われる奏者になったのかもしれないけど。

そして、そんなジャンゴの演奏シーンを見事に演じているのがレダ・カテブ。
実際にギターの腕前がどれくらいあるのか知りませんが、違和感は感じない。

ジャンゴのバンドは、無理矢理にナチスのパーティで演奏をさせられます。
最初は滑稽なくらい演奏の方法に注文(禁忌)をつけてくるゲシュタポたち(だったらジャンゴ達に演奏を命じなければいいのに)でしたが、徐々に演奏に熱が入ってきて、音楽本来の魅力に負けて踊りだすところが本作の触りか。

映画全体としては、もっとあとになってジワジワくる作品なのかもしれない。ストーリー展開などには、イマイチ乗り切れなかった。

★★★☆☆

映画レビュー:キセキの葉書


オフィシャルサイトより加工転載

鈴木紗理奈の主演映画。

大阪府摂津市出身の鈴木紗理奈だけど、摂津市に映画館がないので、隣の直近映画館でもある茨木市のイオンシネマで舞台挨拶を行ったらしい。

名のある俳優は鈴木とその母の赤座美代子、そして特別出演の雪村いずみくらいしか出ていない。

観に行ったのは、鈴木紗理奈の脳性麻痺の娘を演じている子役に興味があったから。

難しいし、自分の中でどう消化して演じたのだろうと、興味を持ちました。
見事な演技でした。
つまり、途中からそれが演技であることを意識させない存在であったということ。

スタティックな演技をせざるを得ない妹役に対して、健気な兄を演じる男の子も元気でかわいくて良い。

映画全体の内容としては想定通り。
期待以上でも以下でもない感じ。

あと、鈴木紗理奈がええ感じでオバハンになってるなと・・

★★★☆☆

映画レビュー:あゝ荒野 後編


あゝ荒野
オフィシャルサイトより加工転載
んー、なんでこうなっちゃったのかなあ。

前編◎後編×という評価もちらと見たので、イヤな予感はしていたのですが・・・。

前編でいろいろ広げて後編でどうなるのかと思ったら、全部投げっぱなし・・・という感じです。

原作小説が未読なので、どこまで忠実に映画化しているかはわかりません。

しかし、ドローンや高齢者向け特殊詐欺などが出てきて舞台が2020年とかなので、設定や細部はかなり変わっているでしょう。
にも関わらず、主役たちを始め昭和臭(あしたのジョー的既視感)がすごい。

今回、ヤン・イクチュン演じるバリカンケンジの出番が多く、吃音ながらセリフも多いので、韓国語訛りが耳につきます。
前編で幼少期を韓国で過ごしていたとういうのは描かれていますが。

ボクシングシーンが多く、頑張っているのは分かるけど、少ししつこい。
同様にやたらと濡れ場が多いのもしつこい。
拳闘とSEXの相似性を描きたかったのか。

あと、前編にも勿論出てた高橋和也。元ジャニーズなんですね。
何処かで見たとおもってたんですが。
めっちゃ嫌な中年オヤジを見事に演じていて凄かった。
元ジャニーズ的にはOKなんだろうかというかんじです。

前編が良かっただけに、後編はかなり退屈。

★★☆☆☆

映画レビュー:「50年後のボクたちは」


tschick
オフィシャルサイトより加工転載

ロードムービーって、ハズレがないように思います。
少なくともボクの場合。

古くはマイオールタイムベストワンに輝く、フェリーニの「ラ・ストラーダ 道」。

あと、「スケアクロウ」とか「スタンド・バイ・ミー」。

健さんの遺作「あなたへ」も良かった。

今回の主役はドイツの14歳の少年たち。

ドイツ人というと大柄なイメージがあるんですが、主役の少年はチビ(マイク)。
その相棒の東洋人の少年(チック)が大柄という対比は面白い。

東洋人(ドイツ国籍?でドイツ在住)といっても、名前からしてモンゴル人なので、大きいのもなるほどなんですが。

ちょっとチョウ・ユンファに似ていてカッコイイ。
(向井理似という評もあるらしいけど)

なんにしても完全に一人で主役を持っていってる感があります。

大体原題が「TSCHICK:チック」です。
なんで、こんな邦題をつけたのか???

マイクから見た忘れらない大事な友達ということでしょう。

不良のチックとひ弱なマイク。ジャイアンとのび太的な感じ。

でも、チックはとんでもない不良だけど暴力的なところはなくて、結構穏やかなヤツで、虚無的なところもある。
しかも、頭脳明晰で魅力的なキャラクターです。

ほんと、このチック役の少年はいい味出しています。
英語をマスターして活躍の場を広げてくれたら面白いと思います。

この凸凹コンビに途中で合流する少女がいます。

実は年齢的には少女でもなさそうですが、役の上では同年代の少女。

しばし旅の道連れになるワケアリの女の子です。

微妙な思春期の性を描くスパイスになってくれます。

描き方はヨーロッパ的なドライ感があって、好ましい。

佳品です。

★★★★★