月別アーカイブ: 2018年3月

映画レビュー:「グレイテスト・ショーマン」


the greatest showman
オフィシャルサイトより加工転載

なんだろう。

どこがだめなんだろうか。
いや決して作品としてダメとか全然ないです。

自分の問題です。

周りから(というか娘なんですが)めっちゃ良いから観に行けと言われて行ったのです。ちなみに彼女は3回観に行ってるわけですが。

ヒュー・ジャックマンと相性悪いのかな。
「レ・ミゼラブル」も映画冒頭でで挫折したし。

ヒュー+ミュージカルというのがだめなんだろうか。

映画はキャッチーな曲とダンスから始まります。思いっきりミュージカルしています。
普通ならここで心を鷲掴みにされるんだと思います。

舞台はサーカス。
しかし時代は19世紀。なので現在のシルク・ド・ソレイユな部分もあるけれど、多くは見世物の障害者などのマイノリティで彼らを座員の中心として描いています。
(ヒゲ女・犬少年・小人・・・)

物語の柱として、反差別やダイバーシティの重要性などが据えられいるようです。

そして彼らはおしなべて善意の弱者として存在します。
上流階級からも下流階級からもあからさまに迫害されています。

被差別者を率いて新しいエンタテインメントを作ろうと奮励努力する明るい主人公ヒュー・ジャックマン。わかりやすいし、歌も踊りも楽しい。

自分がもう一回観に行くかというと行きませんが、聞かれたらお勧めする一本です。

★★★☆☆

読書レビュー:「路地の子」 「路地」とは・・・


著者 : 上原善広
新潮社
発売日 : 2017-06-16
本書の「路地」とは被差別部落を指す。
著者は被差別部落の出身者であることを公言し、多くの路地を題材とした作品を著している。

主人公は著者の父であり、物語の中盤から主人公の三男である著者も名前が出てくる。

導入部の屠畜の詳細な描写は読者を選ぶかもしれない。

舞台は羽曳野市など、大阪のどちらかというと南部に近いところである。

ボク自身は大阪北部で生まれ育っているが、やはり、西日本は大規模な被差別部落が多く、大なり小なり身近に感じることは度々あった。

中でも、かつてボクの自宅の近くに市場があり、隣接して大きな精肉店とういよりは精肉工場があった。その入り口には巨大な肉牛を縦に二つに断ち割った枝肉がいくつも吊るしてあった。
その近くでは牛の大きな骨を野良犬が取り合っていたりした。

それを奇異にも思わず日常的に見ながら登下校していた思い出がある。

近くには地名からそれと分かる地区もあったが、関係はわからない。

登場人物は戦中戦後を生きた世代から主人公のように高度経済成長期から今日までの食肉業界の内幕を裏社会とのしがらみを交えて展開していく。

ノンフィクションではあるが、まるで花登筐の描く物語のように見事にドラマチックに展開して行く。
又、時代背景が未整備な行政と同和問題(利権)が絡み合った戦後からの闇社会なので、まさに仁義なき戦いの同和版と言える。

特に後半は同和・暴力団・右翼が利権を巡って複雑に絡み合い、銭儲けの才覚だけはあるが狂犬のよう(作中では何度も気違いと言われている)な主人公や、一人任侠路線を貫くヒロイックな脇役なども登場して盛り上がりを見せる。

とてもフィクションとは思えない展開ではある。
あとがきの中でも、著者は自分の父親に取材している時に誇張しているのではと思ったらしいが、むしろ控えめに物語っているらしいことを語っている。

主人公にはほぼ感情移入することはできないが、自分にはまったくない人格であり、ある意味魅力的でもある。

また、あとがきでも書かれているが、著者もずっと自分の父親を忌避しつつ、実は愛しており、同様な道をたどってきたとのこと。
佳品ではあるが、今のところ著者にもシンパシーを感じることはできない。

✳︎実はこの主人公に似た食肉会社のたたき上げ社長を知っているのだが、リアルすぎてこの文章に書くことが憚られる。

映画レビュー:シェイプオブウォーター


シェイプオブウォーター
オフィシャルサイトより加工転載

本年2018年のアカデミー 作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞を受賞した作品です。

で、半魚人です。

普通に、「大アマゾンの半魚人」が造形の基本になっています。

勿論、ギレルモ・デル・トロなんで、彼一流のビジュアルにはなっていまが。
このクリーチャーを演じるのは、ダグ・ジョーンズ。パンズ・ラビリンスでペイルマンを演じていた人。
アメリカ一の着ぐるみ俳優です。

時代は1962年の冷戦時代ということなんですが、描かれるスチームパンクっぷりがすごいです。60年代というよりは40年代っぽい。
この再現度は世界最高のオタクであるギレルモ監督の面目躍如といったところで、それだけで一見の価値あり。
実際に古い映画を観るよりもレトロ。

エログロも爆発で、幼い観客を拒否しているところもある意味シンパシーは持てる。
エロシーンは何の意味があるのか正直わかりませんが。

ホントにギレルモ・デル・トロという人はあのトトロのようなルックスの中に、邪悪な何かが住んでて、どうしてもそれを抑えられないんでしょうね。

ほんの少しネタバレさせると、猫好きは観ないほうが良いかも知れません。

ヒロイン・イライザを演じるサリー・ホーキンスが美人でないところも良いですね。

これ以上なくわかりやすい悪漢ストリックランドを演じるマイケル・シャノンも良い存在感です。

ディズニーとは一線を画する上質ファンタジーです。

★★★★☆

※ネタバレメイキングです。

胃がん その12 低血糖?


低血糖
予測不能

このブログエントリーシリーズは備忘録として書き留めておくことを主眼としており、尚且つ同様の人たちの目に触れ、何らかのお役に立てればと思ってます。

今回は単純に胃切除について起こる症状について書き留めます。

いろいろな後遺症がありますが、ダンピング症候群については、ググってもらえれば詳しく出てきます。

ボクのこれはダンピング症候群かな?と思うような症状です。

やはり、胃がないことにより、栄養の摂取がうまくいっていないことに起因するように思います。

突然冷や汗が出て、体が熱くなり(真冬でも)、非常にだるくて動けなくなります。思考力がなくなり、毎度どうしてよいのかわからなくなるのです。
あ、又この症状だ、と思わずに対処できなくなるのです。

そしてしばらく時間がたってから、いつものアレだと気付く感じ。

多分、極端に血糖値が下がっている状態なのだと思われます。

その証拠に体が甘いものを欲し、羊羹なりお菓子なり(カロリーメイトを常備しています)を摂取すると落ち着きます。

特に食事を抜いた時とかではなく、割りとしっかりと食べた状態の時でも突然にやってきます。

手術直後からは起こる頻度自体は少なくなっていますが、急に襲われるのでやっかいです。

映画レビュー:blank13 


 

blank13
オフィシャルサイトより加工転載

前にも書きましたが、私は長い映画が苦手です。
長さを感じさせない面白い映画は良いのですが、2時間半を超えるとかなると、少し観るのをためらいます。

本作は一般劇場公開の商業映画としては異例の短さ。
70分しかありません。

同じ料金で同じ時間を過ごすのであれば、長いほうが得という気もしますが、大根を買うようなわけにもいきません。大根にしたって、大きいだけでスカスカのヤツより、小ぶりでもしっかりと辛味があるみずみずしいものの方が良いです。

本作は福井の辛味大根のような映画でしょうか。

実話に基いているらしいです。

短いし、ドラマチックな展開もあまりない。

インド映画の対局に有るような作品。

最初から短いのは承知で観ていますが、エンドロールが流れると、え、もう終わりか?という感じでした。

あっさりと潔くて良い感じです。

斎藤工監督の技倆も確かではありますが、ストーリー的に考えても、本作はキャスティングありきの映画であると感じました。

主演の高橋一生はシン・ゴジラ以降売れまくっていますね。

確かに魅力的で非常に演技が上手いと思います。
結構良い年なんですが、そのわりには透明感があるというか。

その兄を演じるのが、監督でもある斎藤工。実は高橋一生より年は下。

兄弟の父を演じるのはリリー・フランキーです(はまり役!!)。

高橋一生も斎藤工も若く見えるので、違和感は感じません。


最近の映画で良くある傾向なのですが、世の流れと逆行して喫煙シーンが極端に多い。

本作でもやたらと吸ってます。しかもハイライトとロングピース。

クズだけれども憎めないヤツ感を出す小道具な感じです。

「カサブランカ」でボギーがやたらとタバコを吸いますが、これが二枚目の象徴でもあった時代もありました。

殆どカメオ出演に近いような感じで魅力のある俳優(芸人・素人)が大挙出演しています。これも斎藤工の魅力のなせる業なのでしょうか。

もっとも、後半は佐藤二朗がしきってます。文字通りしきってます。

悲しいけど笑える映画です。

★★★★☆