原作 中島らも。
多くの作品の中でも中編です。かなり以前に読んだので、内容を忘れているのですが、かなり違うような。
最初と最後だけ原作で憶えてます。
なぜ、これをマキノ雅彦(津川雅彦)が映画化しようとしたのか、わかりませんが、良いセンスだと感じました。
しかも、これを実兄の長門裕之で。
レビューの中には下品という意見も多いようです。
確かに最初にR指定が出てきます。隠語のオンパレードなんですが、演じている俳優陣が良いので、ボクには下品とは感じませんでした。
中井貴一がきれいな声と持ち前の品で歌い上げる猥歌は下品さを感じさせません。
集められた俳優陣が好みでもあるのですが、みんなが監督の方を向いて、この映画を良い物にしようという姿勢が見えます。
長門裕之演じる老落語家は、明らかに六代目笑福亭松鶴。
劇中で長門裕之と笹野高史が少し落語を演じますが、さすがの名演。全部通して聴いてみたいと思わせます。
石田太郎演ずる小田先生というのは小佐田先生でしょうね。
石田太郎が違和感なく関西弁をしゃべるので調べてみたら京都の人でした。
なぜ、堺正章が出演してるのかわかりませんが、堺正章を見直す機会にはなりました。
しかし。
ザ・スパイダースの堺正章とザ・タイガーズの岸部一徳。
世代は同じはずなのに、片方は長門裕之の恋敵で片方はその息子の役回りというのは面白いですね。
中島らもの小説は、仕入れたネタをあまり加工せずに披瀝するというパターンが、割りと見受けられます。
中でもボクの好きなプロレスや落語について。チョット気になる。
この小説もそのような嫌いがあり、少し問題にもなったようですが、映画は小説を再構築し、原作を越えたと思います。
それはマキノ雅彦監督と演技陣の成果だと思います。
★★★★★