便所掃除


昨日、大和高田のお客さまにお伺いしました。

天王寺まで出て、近鉄阿倍野から奈良に向かいます。

勝手の分からない近鉄電車で、ちょっと小旅行気分でした。

阿倍野駅でトイレに行ったのですが、そこはおじさんとおばさんが掃除の真っ最中でした。

小便器のゴミ受けの部分を外して、小さな穴をごしごし洗っています。便器のなかもゴム手袋を突っ込んで磨いておられます。

なんか、素直に頭が下がりました。

仕事とはいえ、本当に一生懸命に磨いているのです。

デオドラント文化の中で育ち、むかーし祖母に「カンショヤミ(潔癖症)」と呼ばれたこともあるボクは、必要以上に便所や下水から目をそむけてしまうと同時に、それに真正面に取り組んでいる人たちを無条件に尊敬してしまいます。

昔、読んだこの詩のせいかもしれません。

大好きな「男はつらいよ」シリーズの一本「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」の中で夜間中学の先生を演じる松村達夫が朗読する詩でもあります。

便 所 掃 除
        濱 口 國 雄  
 扉をあけます
 頭のしんまでくさくなります
 まともに見ることが出来ません
 神経までしびれる悲しいよごしかたです
 澄んだ夜明けの空気もくさくします
 掃除がいっぺんにいやになります
 むかつくようなババ糞がかけてあります
 どうして落着いてしてくれないのでしょう
 けつの穴でも曲がっているのでしょう
 それともよっぽどあわてたのでしょう
 おこったところで美しくなりません
 美しくするのが僕らの務めです
 美しい世の中も こんな処から出発するのでしょう
 くちびるを噛みしめ 戸のさんに足をかけます
 静かに水を流します
 ババ糞におそるおそる箒をあてます
 ポトン ポトン 便壺に落ちます
 ガス弾が 鼻の頭で破裂したほど 苦しい空気が発散します 
 落とすたびに糞がはね上がって弱ります
 かわいた糞はなかなかとれません
 たわしに砂をつけます
 手を突き入れて磨きます
 汚水が顔にかかります
 くちびるにもつきます
 そんな事にかまっていられません
 ゴリゴリ美しくするのが目的です
 その手でエロ文 ぬりつけた糞も落とします
 大きな性器も落とします
 朝風が壺から顔をなぜ上げます
 心も糞になれて来ます
 水を流します
 心に しみた臭みを流すほど 流します
 雑巾でふきます
 キンカクシのうらまで丁寧にふきます
 社会悪をふきとる思いで力いっぱいふきます
 もう一度水をかけます
 雑巾で仕上げをいたします
 クレゾール液をまきます
 白い乳液から新鮮な一瞬が流れます
 静かな うれしい気持ちですわってみます
 朝の光が便器に反射します
 クレゾール液が 糞壺の中から七色の光で照らします
 便所を美しくする娘は
 美しい子供をうむ といった母を思い出します
 僕は男です
 美しい妻に会えるかも知れません

 とある、学校の先生のサイトに掲載されていたものです。

ボクも検索してもらえるように、ブログに掲載しておきます。

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