読書レビュー:首代引受人


平田弘史自体は昔から知っていました。

ただ、単行本がほとんど流通していないので、あまり目に触れる機会もなく。

そして、以前に古本屋で立ち読みした時に、あまりのエグさにビビってしまいました。

いろいろと古今東西の映像作品を見渡せばグロいのは沢山あるんだけど、やはり日本人としての「血」に訴えるものがあり、それは横溝正史の小説にも通底するものがあると感じます。(ハリウッドの「300」はCGながらエグかったね)

そう言えば、松竹映画版の「八つ墓村」の落ち武者惨殺シーンも結構グロかった。

本作も少々エグいので、読者は選ぶでしょう。

最初の一編が読み切りで、その設定を膨らませてシリーズ化されたもののようです。

その最初の一編ではただの登場人物でしかなかった「首代引受人」が、椿三十郎や拝一刀的な凄腕の剣豪になり、よりエンタメ化したシリーズとなります。

笠を取ったシーンが一切なく、顔が見えないので、次元大介にも見えてきます。

圧倒的な画力は、絵の巧さデッサン力という次元ではなく、先述したような作者の情念がほとばしるような生命感に溢れています。

読者と真っ向対峙するというか、挑戦してきます。

読み手も受け止めるだけのパワーを要求される。

そういう意味で、やはりメジャーにはなれないでしょう。

そうかと思うと、平田先生は古くからのマカーで、Macintoshで絵を書いていたこともあるらしい。

あと、筆文字が素晴らしく、「アキラ」や「シグルイ」なんかのタイトルも担当しているとのこと。

機会があれば、是非その他の作品も読んでみたいと思います。

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