
元日から映画館に行ったのは初めてでした。
どちらにしても「寅さん」の新作となれば行くしかない。
期待はしませんでしたが。
結果から言うと、自分の全く期待しなかったハードルをギリギリ超えたかなと言う感じです。
観終わった直後に横尾忠則さんと山田洋次さんの場外乱闘が発覚。
これは予想外だし鼻白みました。
どちらも好きな人だから、止めてほしかった。
真実はわかりませんが。
横尾さんが、基本コンセプトをパクられたって言ってますね。
その数日後の誰かのツイートで、今回の「寅さん」は「宇宙怪獣ガメラ」だ。
というのがあり、思わす膝を打ちましたねw
そう、今更横尾さんが主張して、山田監督が目からうろこだったみたいな斬新な基本案でもないと思うのですがね。
上記の説明は冗長だし、ネタバレにもなるので省きますが。
「男はつらいよ」シリーズの末期は、甥の満男が主人公のラブストーリーになっていました。
その流れもあり、本作も満男がメインです。
しかし、現在の満男はそこそこ売れている小説家。
その時点でボクとしては「う~む」です。
まあ、フリーランスという点では寅さんと同じですが。
寅さんとその周りは完全無名な庶民代表。
満男はサイン会で元カノ泉ちゃんと再開します。
サイン会をする主人公というのは、このシリーズの基本コンセプトとしてはいかがなものか。
ボクはこのシリーズにおいて、3大名人と思いっている俳優配役があります。
宮口精二:小説家、高見修吉
宇野重金:日本画家、池ノ内青観
片岡仁左衛門:陶芸家、加納作次郎
もうこの三人は、劇中で執筆・作画・作陶をしているところが、本職の達人にしか見えない。こんな説得のあるお芝居はそうそう観られるものではありません。
全員、渥美清の啖呵売レベルです。
その他にも川谷拓三のロシア語翻訳者とか、津嘉山正種の証券マンとか、枚挙に暇はない!
それはともかく、シリーズにおいて小説家といえば、宮口精二なわけです。
(宇野重吉と片岡仁左衛門は共に人間国宝級の芸術家なんですが、宮口精二は小説家としてのポジションはわかりません。でも執筆の仕方の堂に入り方が3人の中でも一番好きです)
無学で粗野な主人公寅次郎の対局にいるキャラクターとしてのインテリたち。
シリーズ通してこれが基本だったので、どうもひっかかる。
つまり、これは寅さん映画ではないのだな。という感じ。
嫌いではありません。
お屠蘇気分で観に行ったので、ラストでは少し涙ぐんでしまいました。
寅さんと「男はつらいよ」を愛するものとしては、お正月に寅さん映画が観られただけで幸せです。
オープニングの主題歌を歌うのは桑田佳祐。
満男編になってからは德永英明と共に劇中歌に採用されていました。
いつもの桑田節を抑えて、少し渥美清に寄せているあたり、並々ならぬリスペクトを感じます。
ラストシーンが、いつもどおり、次回へ続く感じではないのが寂しい限り。
★★★★☆