
前にも書きましたが、私は長い映画が苦手です。
長さを感じさせない面白い映画は良いのですが、2時間半を超えるとかなると、少し観るのをためらいます。
本作は一般劇場公開の商業映画としては異例の短さ。
70分しかありません。
同じ料金で同じ時間を過ごすのであれば、長いほうが得という気もしますが、大根を買うようなわけにもいきません。大根にしたって、大きいだけでスカスカのヤツより、小ぶりでもしっかりと辛味があるみずみずしいものの方が良いです。
本作は福井の辛味大根のような映画でしょうか。
実話に基いているらしいです。
短いし、ドラマチックな展開もあまりない。
インド映画の対局に有るような作品。
最初から短いのは承知で観ていますが、エンドロールが流れると、え、もう終わりか?という感じでした。
あっさりと潔くて良い感じです。
斎藤工監督の技倆も確かではありますが、ストーリー的に考えても、本作はキャスティングありきの映画であると感じました。
主演の高橋一生はシン・ゴジラ以降売れまくっていますね。
確かに魅力的で非常に演技が上手いと思います。
結構良い年なんですが、そのわりには透明感があるというか。
その兄を演じるのが、監督でもある斎藤工。実は高橋一生より年は下。
兄弟の父を演じるのはリリー・フランキーです(はまり役!!)。
高橋一生も斎藤工も若く見えるので、違和感は感じません。
最近の映画で良くある傾向なのですが、世の流れと逆行して喫煙シーンが極端に多い。
本作でもやたらと吸ってます。しかもハイライトとロングピース。
クズだけれども憎めないヤツ感を出す小道具な感じです。
「カサブランカ」でボギーがやたらとタバコを吸いますが、これが二枚目の象徴でもあった時代もありました。
殆どカメオ出演に近いような感じで魅力のある俳優(芸人・素人)が大挙出演しています。これも斎藤工の魅力のなせる業なのでしょうか。
もっとも、後半は佐藤二朗がしきってます。文字通りしきってます。
悲しいけど笑える映画です。
★★★★☆