タイトルは軽めですが、本書の考察と切り口、不可分のない深さは非常に好ましいものです。
日本における、ブームとは言えない「ラーメン」というものの存在意義。
様々な面から分析解説していきます。
まず、(1)戦後におけるアメリカ主導で作られた小麦文化について。
(2)世界を席巻する安藤百福によるインスタントラーメンの発明。
(3)現在のブームともいえる、「作務衣系」と「ラーメンポエム」(著者銘名)
(1)については、学校給食に取り入れられたパンそして急速に需要の伸びたラーメン等の麺類は、米国の余剰米ならぬ余剰小麦の消費国として、日本を利用するという狙いがあったと。
(2)については、改めて安藤百福翁の偉大さをなぞっていきます。
(3)現在のやっぱブームと言っていいい、ラーメン(このラーメンという名称自体がほぼ消えているという)戦争のトレンド。
これが「愛国」に結びつくんですよね。
ラーメン=中華そば
そう、中華料理のイメージなんですよ。昔は。
ラーメン鉢と言えば、あの四角いクルクル柄が鉢をぐるっと巻いた、赤い器。
完全に中国のイメージですよ。
でも、現在のブームの流れはそうではないと。
つまり。
何故か「作務衣」もしくは筆文字染め抜きの黒いTシャツ。コック帽ではなく、タオル鉢巻。なんで腕組み?
壁にはなんか相田みつおを暑苦しくしたようなラーメンポエム。
前述しように「ラーメン」という言葉を使わずに「麺や」とか「麺匠」とか・・・
店名も昔のボーやんみたいな難読漢字のオンパレード。
中国由来のイメージを何故か、過剰に「和」テイストにしてる店が多い。
というとこら辺がタイトルの「愛国」というところを具象化した部分でしょうね。
ほんとに多角的な切り口でラーメン万華鏡という感じの一冊です。
もっとふくらませるんだけど、ラーメン同様、くどいと飽きられる。長いとのびちゃうと。