映画レビュー:新 仁義なき戦い 組長最後の日


著者 :
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
発売日 : 2013-05-31

かなり前に観たけど、再度観てみました。

いろいろと思いだします。

新・仁義なき戦いの前作と今作は本編の広島から舞台あ九州に変わります。

東映の意向で無理やり作った感もなきにしもあらずですが、この最終話は監督の深作欣二と菅原文太が本当に作りたかった映画らしい。

全体的にユルい感じもしますが、よくできていると思います。

九州・筑豊側がメインで、主人公の菅原文太がこちらです。そして、バトルの構図とししては神戸対福岡です。

そうなんですが、神戸の組長を(モデルの親分は今年生誕100年らしい)殺(と)るのがキモなので、舞台は関西が多くなります。

筑豊の親分組合「七人会」の一人、多々良純から全幅の信頼を得ているのが若頭:菅原文太。

そしてその妹の亭主(つまり義弟)である和田浩治が大阪に流れてくるので、そのカラミもあります。

和田浩治は「仁義なき」準主役の渡瀬恒彦に見た目ちょっと似てる感じなんですが、いかんせん迫力不足の感は否めません。比べる相手が悪いw。

ここは渡瀬でいってほしかった。

☆ ☆

何と言っても本作での白眉は和田浩治の親分、藤岡琢也とチンピラ桜木健一のリアルネイティブ関西弁。

桜木健一は前シリーズでもイイカンジではじけていましたが、今回はより一層アイドルからの脱皮を図っているようです。

どチンピラなんですが、このセリフ回しはネイティブでないとムリです。

ここに書き写すことも無意味でしょう。ていうか、できません。

それを上回るのが藤岡琢也のハジケっぷり。

やたら怒号するだけのアウトレイジがギャグに見えてきます。

「堂に入った」という表現がぴったりでしょう。

この人、じゃりン子チエの「堅気屋」の社長を見る度に藤岡琢也を思い出します。

どちらかというと、おっとりしたイメージの役柄が多いだけに、そのギャップが面白い。

ちくのうを患ってて、しょっちゅう点鼻薬をシュコシュコやってる役作りとか誠に秀逸。

打算計算の近代ヤクザばかりの中で、見事にアブナイキレっキレ武闘派ヤクザを演じています。

これもネイティブしか演じ得ないセリフ回し。

☆ ☆

郷鍈治の元韓国軍人の殺し屋が無意味にカッコイイ。

けど、結構間抜けで、結果大変なことになっちゃうんですが。

あと、梅津栄の聾唖ヤクザ。

こういう役を演らせたら天下一品。

何気ない役なんですが、映画に深みをもたせるというか。

任侠映画にもよくあるような設定です。

☆ ☆

この映画自体、パーツパーツにモデルはありますが、ストーリーとしては実録とは言えません。

ラストの伊丹空港での立ち回りも、無許可のゲリラ撮影なんだろうなあ。めっちゃ迷惑。

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