オリジナルの後に新シリーズがあり、そこまでは深作欣二が監督です。
その後「その後」が作られ、ここまでは70年代。
本作は阪本順治監督によって2000年に作られました。
時代は現代。
「その後の仁義なき戦い」からはコンテンポラリーな設定となります。
戦後すぐのカオスからなにより実話に基いているので、モデルになった人物や団体からのクレームなどもリアルにやばかったオリジナルシリーズとは、全く別物。
なんで「仁義なき戦い」の名を冠するのか。
ストーリーとしてのつながりなどもないのに。
2003年には現時点でのシリーズ(?)最終作「新仁義なき戦い 謀殺」が作られますが、本作とともに舞台は大阪。
ちょっと大阪から離れてほしい。東京じゃ陳腐になりがち?神戸も近いし、展開が楽なんでしょうか。
主演は奈良出身の豊川悦司なので、関西弁は無問題。
もう一人の主役、布袋寅泰もそれなり頑張ってます。
しかし、トヨエツ・布袋・親分に岸部一徳・トヨエツの相棒に松重豊って、全員アラウンド190センチ。巨人すぎ。
岩尾正隆・野口貴司・曽根晴美・志賀勝・福本清三といったオリジナルメンバーの起用は嬉し楽しいです。
オリジナルでは若くチンピラだった人たちが、本作では親分級になっているという。ファンサービスですかね。
本作のバックボーンとして、オリジナルではあまり描かれなかった在日コリアンの問題があります。
戦後の闇社会ではやはり避けて通れないものです。
「仁義なき」の人気を受けて作られたその他の映画。
「京阪神殺しの軍団」などでは、その辺りをメインフレームに据えて作られてます。
「アウトレイジ ビヨンド」でもイイカンジで生かされてましたね。たけし流韓流。
☆ ☆
豊川悦司。
ヤクザにはどうなんだろうと思ってましたが、やっぱ無理があるかな。
布袋寅泰の方が違和感ないですね。一応、ヤクザではない設定ですが。
これは役を入れ替わっても良かったように思います。
オリジナルの千葉真一と北大路欣也のように。
北大路欣也も育ちの良さが見え隠れしなくもないですが、個人的には結構好きです。
一方、豊川悦司は何をするにしてもスタイリッシュ過ぎて、違和感を感じます。
激高してもいまいち怖くない。
俳優としては好きなんですけどね。
もっと荒唐無稽なヒーロー(時代劇とか)ならば良かったのでしょうが、リアリティを要求されるこの手の映画と演出ではちょっと浮く。
一方布袋寅泰は持って生まれたナチュラルな目つきの悪さを遺憾なく発揮!
演技力はそこそこ及第点か。
特に印象に残る演技はありません。
☆ ☆
哀川翔・小沢仁志という当代きってのヤクザ俳優がバイプレイヤーとして出演しますが、分をわかっているというか、主役を食わないように控えめな演技という感じを受けます。
イケてるのが元ボクサーの大和武士。これまで演じたVシネとかの学芸会みたいな感じから何枚か剥けてます。
最近出ませんが、この手の映画には是非シーザー武志に出ていただきたいですね。「王将」とかではコメディリリーフ的でしたが、もう一度「ケンカの花道」の時の鬼気迫る演技が観てみたい。
☆ ☆
しかし、布袋寅泰のテーマ曲。すっかりキル・ビルのテーマ扱いされてます。タランティーノはこの映画自体はどう観たのでしょうか。
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阪本順治監督としては何がしたかったのか。「仁義なき」の名前を引き継いた以上、その疑問は残ります。