ボクらの世代では、やはり、オリジナルウルトラマンです。初代というか、第一次というか。
で、その中の人であったのが、この著者、古谷敏さんです。
読んでいて思うのは、俳優としては不遇だったのかもしれないけど、もぉ、いい人すぎるんじゃないの?ということ。
行間からいい人汁があふれてきてるのです。淡々と衒いなく活写されている、昭和40年代のあのころが、懐かしい。
誰かの悪口などはありません。が、一箇所だけ、古谷さんに対して態度の超悪かったスタッフのことがでてきますが、それは本人が怒る前に尊敬する監督が叱ってくれたということで、監督へのお礼になっています。
その他、イデ隊員の二瓶正也さんやアラシ隊員の石井伊吉さん、アキコ隊員の桜井浩子さんのことなどが、お礼の言葉とともに語られます。
タイトルからもわかるように、スーツアクターであっても、主役であり、これまでのウルトラマンを初め、その亜流までもの流れを決定づけたマンのことに紙数がさかれています。
アマギ隊員役で出演していたウルトラセブンのことは、あまり書かれてはいません。
といっても、自分がオリジナルであり、魁であるというようなエラそうなことは一言も書かれていません。やはり、繰り返されるのは失敗と葛藤と周囲への感謝の言葉。
苦労と言っても、ウルトラマンの水中撮影でスーツの中に水が入ってきて死にかけたとか・・・。
熱中症でいつも吐きながら演技をしていたとか・・・。
(ボクも学生時代にかなりやったので、身を持ってわかります)
ほんとは、俳優を廃業し、成功していた会社も倒産し・・・もっと辛かったことは山ほどあったのだとおもいます。
でも、そんなことは全くスルーされています。
本当に心優しいヒーローだったんだなあ。
YouTubeで古谷敏さんの出版記念パーティーが観られます。
これを観ただけで、彼のすばらしさがわかります。
まだまだ、格好いいんで、俳優として観てみたいです。