映画レビュー 「岬の兄妹」 目をそらすな。これも紛れもなく現在の日本。


岬の兄妹
オフィシャルサイトより加工転載

本来ならば、第七藝術劇場とかシネ・ヌーヴォとか、そっち系単館上映の作品だと思います。
本作は配給とかにイオングループが噛んでるので、メジャーなシネコン・イオンシネマでの上映。

でも、劇場入り口に表示の「岬の兄弟」という誤記にやる気の無さが。
「兄弟」じゃあ、ますます問題が複雑化するぞ。


今回は多少ネタバレさせるかもしれません。

舞台は日本のどこかの貧しい岬の漁村。

片足の悪い身体障害者の兄と精神障害(自閉症)の妹が二人きりで住んでいます。
ある日、兄は働いていた工場を突然リストラされ、たちまちに生活に困窮していきます。

そんな時、ひょんなことから妹が売春(というよりは強姦に近い)をして金儲けをしてしまいます。

最初はその行為を責めていた兄も、行き詰まった結果、あろうことか妹の売春の斡旋をし始めるのです。

とりあえず、この妹役の和田光沙さんがすばらしい。
ほとんどまともなセリフもないのに見事に演じきりました。
ありきたりの「体当たりの演技」なんぞという表現ではとても追いつきません。

演技が素晴らしく、彼女の哀れさに心が引き裂かれると同時に、クズで最低な男どもに吐き気をもよおす。


随所に痛々しくて観ていられないシーンがあります。

この映画のリアリティは韓国映画を彷彿とさせます。
なんなんでしょうね。韓国映画独特のあのリアリズム表現は。
やはり、なんだかんだ言っても、彼の国とはかなり似通った精神性があるので、そう感じるのでしょう。

大好きなヤン・イクチュン監督主演の「息もできない」を観たときに感じたようなしんどいほど救いようのないリアリズムを感じますが、本作はそれを凌駕するほどです。


ほぼ、有名な俳優は出てこないのに、高度なリアリズムで惹きつけてだれさせません。

最初のシーンで出てくる、改良住宅のようなボロやの並び。
汲み取り式便所のカラカラ排気煙突が見て取れます。
良くこんなところを探してきたなあと感心しました。
我ながら変な着眼点ですが。

その家の中も、なんでこんなにリアルなんだ?という荒れっぷり。

ディジタルCGIにより、映像で表現できないものはなくなったと言っても過言ではない現在。
キレイな画面はできますが、このキタナイ場面はできないでしょう。
作っても意味はないですが。
例えるのもおかしいですが、「君の名は。」の対極に位置するというか。
しかし、この饐えたような臭いのシーンこそ逆に貴重に思えてきました。

この手の弱者の問題は、都会に多そうな気もしますが、実際には田舎にこそ、もっと根の深いものがあるような気がします。

地方の田舎の深い闇、的な。

だからかな。安易な田舎暮らしおすすめ企画とかに乗れないのは。

ま、自分も結構田舎もんですが。

おすすめですが、かなり観る人を選ぶ作品でしょう。

★★★★☆


 

読書レビュー:「徹底研究!! GAFA」 見事に囲い込まれている状況をどうするか


なかなかに読み応えのある本でした。
当代随一の書き手が様々な角度からGAFAについて解説し、今後の展望を語ります。

世界を支配する4大プラットフォーマーである4社。
Google=検索
Apple=デバイス
Facebook=SNS
Amazon=EC
そして現在4社を総括するとAIとなるかと思われます。
もちろん、そんな単純なものではなく、お互い牽制しあいつつ、補完しあっている関係です。
(デバイス→検索→広告 のように)

ここにMicrosoftやその他の巨大企業が入ってこないというのは、ある意味、現在がバブルなのかもしれません。

現時点でEUのGDRPが対抗策を打ち出しているように、GAFAが脅威であるとの認識も強くあります。

自分自身でもこれらのプラットフォーマーに対して、十分に囲い込まれている、「茹でガエル」であるという認識は常々持っています。
GAFAのなかで個人的にはFacebookのみ、かなり前に使用を辞めました。
自分にとってメリットがないと感じたので。
しかし、4社の中では最もリアルに個人情報を持っているのがFacebookなのかもしれません。

バブルである以上、近い将来終わりがきます。

ポストGAFAはあるのでしょうか。

中国のBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)が有力視されていますが、私はそうは思いません。
現在、スマフォの売上では中国勢が大勢を占めていますが、結局、開発しビジネスモデルを作ったのはアメリカです。
紙や印刷技術を発明したChinaは現在なく、巨大な結果は出しているものの、それは全部後追いです。それで首位に立った時、次のイノベーションが起こせるのでしょうか。

ITに限って言えば、プログラミングはベースがアルファベットであり英語です。
中国語によるプログラム言語を開発し、中国国内だけで完結するケースも想定されているようですが、どうなのか。

今後、GAFAはどこに行くのでしょうか。
個人としては、Google先生におんぶにだっこ状態で、アマゾンプライム会員としてその便利さを享受しまくり、さらにそれらにアクセスするのはApple製品なので、とても気になります。

ただ、AIスピーカーの類は今の所まだピンときていない状態です。

※ほぼ書評にはなっていません。

映画レビュー:「金子文子と朴烈」 自国に自信があるならば観るべき。


金子文子と朴烈
オフィシャルサイトより加工転載

大正期の日本を描いた韓国映画。

植民地化された朝鮮半島の恨みと主張。
先日の「ヴィクトリア女王 最後の秘密」と好対照。

実在のアナキストである朝鮮人、朴烈と日本人金子文子が主人公。

安重根は知っていましたが、この朴烈及び金子文子については全く知りませんでした。
安重根同様、韓国では英雄のようです。

そして、朴烈と金子文子も皇太子時代の昭和天皇を殺害を企てたテロリストとして、大逆罪に問われます。


かなり厳しい映画です。スパイスが効きまくりというか。
特にいま現在(2019年2月)。
天皇代替わりが間もなく行われる時でもあります。
そして徴用工問題がまだくすぶり、韓国国会議長が慰安婦問題について天皇への謝罪を要求するなど、超きな臭い昨今です。
そこにもってきてこの映画はかなりキツイ。

主に関東大震災後の朝鮮人虐殺を再確認していきます。
見ていて非常に辛い内容です。

件の虐殺が時の法務大臣水野 錬太郎個人の悪魔的策略であったという。
水野の描かれ方があまりにプロトタイプの悪役過ぎて、にわかには信じられません。

しかし、観る価値は大。

韓国ヒーローの反日映画と見てしまうのは早計です。

ここまで丁寧に日本を描いているのは、日本での公開を想定してのことでしょうね。
でないと説得力ないですから。
比較するのもなんですが、「ドラゴン怒りの鉄拳」のようなトンチンカンな描写では、日本の観客に問題提起できずに適当にスルーされますし。

アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画「太陽」でイッセー尾形が演じた昭和天皇は、その洋装を米兵にチャップリン呼ばわりされます。
普段、天皇及び天皇制に必ずしも賛同していない自分ですが、この描写にはムカついた記憶があります。

本作も朴烈・金子文子が執拗に天皇・皇太子をディスりまくるので、見ていてキツかった。

例えば韓国映画「力道山」であれば、メジャーな日本人俳優が多く出ていましたが、本作にはほぼ知った顔がありません。
少なくとも商業演劇に出ている俳優の出演は難しいでしょうね。

また、本作は丁寧に作られた佳作だと思いますが、日本での公開館が非常に少なく、関西でも京阪神でそれぞれ一館ずつです。
この内容では、少し腰が引けたのかもしれません。


しかし、思います。

日韓の問題は、お互いにヒステリックになりがち。
どちらもお互いが大嫌いで大好き。多分。

お互いを尊重して、お互いが自分を誇らしく思えればなと。
私は日本とそのあり方にはプライドを持ってい・・・ま・・・す。

★★★★☆

映画レビュー:「小さな独裁者」 史実に基づく稀代の詐欺師


小さな独裁者
オフィシャルサイトより加工転載

最近、ヒトラーを扱った映画が何本か公開されていました。
本作はナチスドイツを描いてはいますが、ヒトラーやその側近などは出てきません。

敗戦の色濃いナチスドイツの前線での残酷な身内同士の殺し合いなどが描かれています。
しかも本作は事実に基づいています。

「プライベート・ライアン」や「ランボー 最後の戦場」もそうでしたが、最近の戦争映画はとことんリアルに描写することで、反戦を主張してるんでしょうかね。エグいです。

トレーラーにある程度の内容をご紹介すると。

上記の通り、敗戦前夜のドイツです。
すでに民間人からも全く忌避されるナチスドイツの兵隊たち。
脱走兵が相次ぎ、敵国イギリスなどへの投降を恐れたナチスの上部は、彼らの捜索捕縛を強化しています。捕まればまず死あるのみ。

本作の主人公も脱走した上等兵の若者です。

命からがら追手から逃れ、偶然に途上で止まっていた軍用車から食料や将校(大尉)の軍服一式を盗み手に入れます。
この時点でどこまでの思惑があったのかはわかりませんが、彼はその立派な軍服を着込みます。立派なナチス将校の出来上がりです。
その後、大尉の軍服を着ているということで、途上で出会う兵隊たちから勘違いされ、彼らを部下にしていきます。

生まれながらに詐欺師の才能があるとしか思えない主人公は、別の部隊などと遭遇しながら、その都度うまく言い逃れ、本物のヒトラー総統直属の将校であると信じ込ませていきます。
最近は良くパワハラが問題視されますが、こういった軍隊というのは究極のパワハラで成り立っているのですね。

で、この主人公にはまったくもって人間的な魅力が感じられず、感情移入などできません。
なのに、なんどもバレそうな危機が訪れるたびにハラハラしてしまいます。

ナチスドイツがどうなっていくのか、私達は知っています。
今後、主人公がどのように危機を回避していっても、行き着く先は見えています。
さて、何きっかけでどうなるのか
驚き?の結末へ。

ついでにいうと、エンドロールでも結構楽しませてくれます。

★★★☆☆

映画レビュー :「ヴィクトリア女王 最期の秘密」 女王、名演だと思います。


ヴィクトリア女王 最期の秘密
オフィシャルサイトより加工転載

格式に囚われ周りに心を閉ざした頑固で高齢な女王が、純粋で明るい異邦人(低身分で被差別側)に心を開く。
基本プロットからしてそそられる映画です。

これが全くのフィクションならば、ちょっと観てられない展開なのですが、一応、史実をベースにしているということで。

英国女王と植民地化されたインドの青年という関係です。

植民地化されたインドの下層階級の青年が80歳を過ぎた英国女王に記念品を持ってくる大役を任されます。
その席でで女王はこの背の高いハンサムなインド人(アブドゥル)を痛く気に入ります。
極端に気に入り、周りの困惑も構わずどんどんと出世をさせ、自信の師としてヒンディー語を熱心に教わったりします。

それらの寵愛の数々ががあまりに極端で露骨なので、リアリティに欠ける嫌いがあったりもするのですが、そこがノンフィクションの強み。
ヴィクトリア女王はわがままな権力者であったのだと納得せざるを得なくなります。

それに答える如く、件のインド青年は益々女王に対する純朴な忠誠心をつのらせていきます。

インド人的にはOKなのでしょうか。

これがもし日中韓の関係であれば、ブーイングの嵐になりそうな気がするのですが。

いくら権力者の覚えめでたいポジションを手に入れたと言っても、双方は戦争により、多大な犠牲者を出しています。
まして、青年は女王の側近たちからは未開の野蛮人のように思われ、周りからは嫉妬と差別と憎しみをもって接せられているのです。


さて、最終的に女王はインド青年に「ナイト」の称号を与えようとします。
さすがに驚いた側近たちは、なんとか女王に思いとどまらせようとクーデターに近い行動を起こします。

ここからがクライマックス。

気になったのが「最期の秘密」というタイトル。
「最後」ではなく「最期」です。最晩年ということでしょう。
「秘密」とは何を表しているのか。
80歳を過ぎたヴィクトリア女王は、異邦人の青年アヴドゥルに恋をしていたのでしょうか。それはなくとも、異性に対しての好意は強くもっていたでしょう。
しかし、「最期の秘密」とはそれだけでもないように思います。

是非、映画を観て考えてみてください。

★★★☆☆

映画レビュー:「バジュランギおじさんと、小さな迷子」 ひたすらかわいい!


バジュランギおじさんと、小さな迷子
オフィシャルサイトより加工転載

ここのところ、インド映画を観る確率が高い。
別に故意に選んでいるわけではないのですが、公開されるラインナップに惹かれる作品が多いのだと思う。

しかし、「バーフバリ」「ガンジスに還る」と必ずしも満足度の高いものではありませんでした。

今回は当たりです。

不勉強で内容をよく知らないのですが印パ戦争を下敷きにしています。
非常に根の深い深刻な内容をお馬鹿なコメディに仕立て上げた快作です。

さらにロードムービーの要素もあります。

しかし、なんと言ってもこの映画の主役はムンニー(シャヒーダー)を演じた子役の可愛さ。もう、奇跡の可愛さです。
特に唖者を演じており、肯定を伝える際の手を上げて何度も頷くところが最高に可愛い!
よく、子供と動物には勝てないと俳優が言いますが、そのとおりですね。


インド(ヒンドゥー)・パキスタン(イスラム)の宗教対立。
そしてインドの根深いカースト制度。貧困問題。

これらを包括して、物語は進みます。

しかし、そこはインド映画なんで、随所に歌と踊りが盛大に繰り広げられます。
この内容でそれは必要なのかな?ま、必要なんでしょう。インド映画だし。

関係ない話。
前から思ってるんですが、マサラムービーって、昔の市川右太衛門の「旗本退屈男」のシリーズに似てますね。とことんエンタメで歌と踊りがあって、細かいことは気にしないご都合主義ってところが。


お話は、

喋れない障害を治してもらえるよう祈るため、パキスタンから母親とインドに来た6歳の少女がインドの国境で母親とはぐれしまいます。

そしてインドの正直だけが取り柄の青年と出会い、青年は少女をなんとかしてパキスタンの親元に返してやろうと二人で旅に出ます。
途中、これも正義感の強いTVレポーターの青年との三人旅になり、珍道中を繰り広げつつ・・。

最後はやっぱりそうくるかという感動のフィナーレです。

2時間半を超える映画ですが、飽きさせず惹きつける展開演出と絵力は素晴らしく、観客も選びません。

★★★★★

映画レビュー:「セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!」 ロン・パールマンがGOOD!


セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!
オフィシャルサイトより転載

チラシを見て行きたくなった訴求力のある映画。

原題は「sergio&sergei」

インターネットも(ほぼ)ない1991年。
アマチュア無線で宇宙と交信してしまったキューバの男セルジオの物語。

知識がないのでわからないのですが、無線通信てそういうものなんですかね。
しかも持ち出したのは父親の使っていた第二次大戦中のシロモノ。

1991年にはソ連が崩壊し、ロシアになってしまいます。
宇宙ステーションの中でその事実を知ったのは、旧ソ連から飛び立った宇宙飛行士セルゲイ。
てんやわんやの中で国に帰還することができなくなります。

そんな国情の中で宇宙開発してるっていうのも計画性がなさすぎですが、それがソ連という国だったのでしょうか。

それはともかく、パニック障害で閉所恐怖の自分には考えられませんが、たった一人で狭い宇宙ステーションに閉じ込められ、帰る道が閉ざされるってどういう心境なのでしょうか。
それでも国の家族に心配をかけたくないと、健気に語るセルゲイは真のブレイブハートの持ち主ですね。

そんな共産国の二人が偶然めぐりあい、友情により不可能を可能にしていきます。
その二人にさらに絡むのが全くカラーの違うアメリカはニューヨークの学者(!?)ピーター@ロン・パールマン。実に良い味を出してくれます。
果たしてセルゲイは無事に地球(祖国)に帰還できるのか。

これは実話に基づくストーリーらしいですが、どこまでが実話なのでしょうか。

それほど予算をかけた作品ではないと思いますが、地味にSFXというかCGIというか特撮が緻密で違和感なく、宇宙空間などを描いています。
さらっと、「美しき青きドナウ」などを使って、「2001年宇宙の旅」へのオマージュを演出していますし。

★★★★☆

映画レビュー:「宵闇真珠」  きれいな映画


宵闇真珠
オフィシャルサイトより加工転載

よくわからず、オダギリジョーが好きなので観に行きました。

ファンタジーですね。

いろいろとリアリティがないので。
きれいきれいな映画です。

どこかで観た映像だと思っていたら、ジェット・リー主演の佳作「海洋天堂」で撮影監督をしたクリストファー・ドイルが監督と撮影監督を兼ねていたのでした。

舞台は香港ですが、よく出てくる超高層ビルやジャンクなどは出てきません。
香港のどこかにある寂しい漁村で起こるお話。

なんの説明もなく旅人であるオダギリジョーが現れて、生活感のない色の白い美少女と交流します。この美少女は今どき日光に当たると死んじゃうとかいうのを信じてて、日が暮れてからしか屋外に出ない。

だから「宵闇真珠」。
原題は「白色女孩」。
英題が「THE WHITE GIRL」。そのままですね。
それを考えると邦題は良く出来てる。

物語としてはさしたる盛り上がりもないまま淡々と進んでいきます。

最後にはありがちな、取ってつけたような事件も起こるのですが・・・。

オダギリジョーと白い美少女アンジェラ・ユンと情景をひたすら愛でるのなら、それはそれで良い映画かもしれません。

*それとオダギリジョーのダウンコートの着こなしが格好良かった。もちろんオダギリジョーだからだけど。
あんなペラペラのロングスリーブTシャツにでかいダウンコートなんて着ることないでしょうが。

★★★☆☆

映画レビュー:アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング


アイ・フィール・プリティ
公式サイトより加工転載

トレイラーを観てそそられました。

これを日本でリメイクするなら、主役は渡辺直美だよなあ、と漠然と思ってたら日本語吹き替え版はやっぱり渡辺直美でした。

非常にありがちなプロットです。
なので、どう演出してくれるのかなあと、ちょっと期待。

容姿に全く自身がもてない主人公が突然絶世の美女に。
特殊メイクやCGIを使って見せることもできたでしょうが、本作ではそういう演出はありません。
言わば観客の想像力にまかせています。ここが一番のポイントでしょうか。
トレーラーにも出てきますので書きますが、実は美女に変身したというのは本人だけの思い込みで本当は何も変わっていない。

まあ、非常にアメリカ映画的にまとまっていました。

一見なんの欠点もなさそうな美女・セレブたちも実はコンプレックスの塊だというのがポイントなのですが、いまいち陳腐でこころに響かない。
そのまとめがラストシーンの演説に収斂されるのですが、これがまた陳腐。
アメリカ的にはこれがいいんでしょうね、みたいな。
ちょっと納得できないかな。

それ以外はリラックスして楽しめる映画でした。

★★★☆☆
なにか・・・そう、昔の東宝喜劇「無責任男」の成功譚みたいに感じました!

読書レビュー:「ITビッグ4の描く未来」


非常にまとまっていると思いました。
所謂ITビッグ4とはGAFAのことなのですが、その呼称は出てきません。
ここのところ、新聞各紙等で見ない日はないバズワードですが。
初版が2017年中盤なのですが、まだその呼び方はなかったのでしょうか。
プラットフォーマーという呼称も登場しません。

しかし、2018年の終わりに読んでも、見晴らしの良いまとめです。

日々関わるプラットフォーマーGAFAのうち、ボクはFacebookだけは数年前に決別しました。何か違和感を持ったからだと記憶しています。
結果、昨今Facebookの個人情報漏洩が喧しく言われるようになったので、結果オーライだったかもしれません。

使っていないFacebookですが、正直他のプラットフォーマーと比べて、その収益方法がピンときませんでした。
傘下のインスタグラムも含めて、PPC広告枠を提供しているだけでしょ、という認識しかなかったので。
しかし、問題はその規模でした。
Facebookが14億人、インスタグラムが10億人のユーザ数。単純にその数だけでもすごいですね。
そして個々のFacebookページの濃密さが強みなのでしょう。

今日の新聞で、GAFAを始めとするプラットフォーマーにIT税を課する案が現実味を帯びて報じられました。
なんだか、企業努力によって開発された発泡酒に安易に税加算する手法みたいに感じます。

外と交わらず、国内で完結する中国のプラットフォーマーは涼しい顔です。
今後、米中のIT競争はどうなるのでしょうか。