原作は天才・業田良家「ゴーダ哲学堂 空気人形」です。
オムニバス形式のこの作品も大好きです。
主役のダッチワイフ(せっかく空気人形と言ってるのに敢えて)を演じるのが、「グエムル 漢江の怪物」で家族の中で一番頼りになりそうなロビンフッド役のペ・ドゥナ。
なぜ?
と思っていたのですが、人間ではない役を演じるのに、(部分的に)交わらない文化的パラレルを内包した隣国のペ・ドゥナがまさに適役はまり役でした。
そして、全く問題はないけれど完全ではない日本語がまた良いです。
しかし、原作は前述のようにオムニバスの中の一編なので、かなりふくらませてあります。二時間の作品にするには、かなり是枝監督のリメイクの力量が必要でしょう。
作品は静謐に淡々と進んでいきます。
都会に住む寂しい人達を淡々と。
カメラマンは台湾の李冰冰という人。
「ノルウェイの森」でも見せた、流れるような透明感のある映像です。
ペ・ドゥナが人形の可憐さ・はかなさを演じきって、これも憎いほどはまり役の板尾創路に軽く殺意を感じさせる。
その他のキャスティングも良いですね。うん、良い。
あえて言うと、オダギリ・ジョーがちょっと余計かも知れません。
好きな人なんだけど、なんだかなあ。
「深夜食堂」でも、好きなんだけど、この作品にいるか?みたいな違和感は感じてました。
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しかし、またこれを書いている今、タイムリーに橋下氏の従軍慰安婦・風俗発言。
この映画の製作時、韓国人女優・ペ・ドゥナをこの役にキャスティングするとなった時、かなりナーバスになったであろうことは想像に難くありません。
底流に流れるメッセージには監督の意図もあるのでしょう。
もし、そうだったとしたら、この作品が描き出す「空気人形」の静かな悲しさ寂しさを、その問題とリンクさせるには、韓国の国民感情とは全く合致しない温度差を感じます。