2/3読んで放置しておいたものを読了。
前に書評として「大麻ジャキーの戯言」と一蹴しているものを見た記憶があるが、それは違うと思う。
さりとて芥川賞か、と言われると、言葉につまるが。
実体験に基づいた介護現場から、若い煮詰まった「男」の詩的なレポートではあると思う。
生活感を厭う紐育帰りが直面した介護体験。リアルであると思う。
綾戸智恵さんとは若干違う切り口で。
最大の相違は性差かもしれない。
最近は妻の介護のために要職を退いた市長さんや、「母に襁褓をあてる時」を著した舛添さんなどもクローズアップされているので、徐々に抵抗もなくなってきているのだろうが、まだまだであることは事実。
男の仕事ではないと。
そこをあえて生活感のないラップに乗せて、切り込んでいく。
マリファナを擁護するわけでもないけれど、主人公は自分を持っている。
祖母の介護をとりまく人々へのる怒りをふつふつとたぎらせ、木偶人形のようになっていく「おばあちゃん」に対する自分の態度も嘲笑する。
なぜ、このようになっても生きなければならないのか、又、生かさなければならないのか。
作者は腹を括っている。
「生きろ」「生かそう」と。
さりながら、ボクはやはり嫌だ。
そこまでして生きたくないと思う自分がいる。
自分がわからなくなり、いろいろな穴から垂れ流しになるくらいなら、死んでしまいたいと。
芥川賞だからといって、高校生の課題図書である必要はない。