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読書レビュー:京都ぎらい


著者 : 井上章一
朝日新聞出版
発売日 : 2015-09-11
著者のことは比較的古くから知っていました。ブレイクする前から。
これほどの有名人になるとは思いませんでしたが。

様々なフィールドに造詣の深い人でありますが、ボクが知ったのはプロレス者(もの)としてでした。
まだ、プロレスが日陰者の存在であったころからですね。大方30年くらい前でしょうか。

兵庫県西宮市に鹿砦社という出版社があり、その会社が出していいたのが、知る人ぞ知る「プロレス・ファン」という冊子でした。

多分、創刊の原動力となったのは、当時まさに日本プロレスのエポックであった旧UWFであったと思われ、毎号の表紙には藤原喜明や佐山サトルのイラストが載っていたことを記憶しています。

そこによく寄稿をされていたのが井上章一先生。その頃はプロレスネタについて硬派に理論武装した人は、週刊ファイトの井上(I)編集長くらいしか存在しなかったように思いますが、京大出身のプロレス論客として、その名を心に刻んだのであります。
尤も書かれていた内容は、ほぼ何も覚えていませんが・・・

本書にも少しだけプロレスに関することが出てきます。それも、株式上場を狙っている新日本プロレスなどではない、ドマイナー団体のある選手の事で、いかにも井上先生らしいです。詳細は本書でどうぞ。

井上先生自身はボク達「外部」の人間からすると、嵯峨に生まれ現在は宇治に住まわれるド京都人なのですが、本書を読むとそれが100%否定されます。

端的に言うと、洛外に生まれ育ったものは京都人とは自他共認められないということだそうです。この「他」というのは、つまり「洛中」に生まれ育った都人(みやこびと)のことです。

この洛中洛外の人達の間だけで認識される感性に基づくもので、ボクも含めた都以外の人たちからすれば理解しがたいヒエラルキーがあるらしいのです。

大阪人のボクも薄々は「洛外のお人は京の人間やおへん。」という、京都人の言外の態度は知っていましたが、ここまでとは思いませんでした。

前の戦争というのが一般的にはWW2を指すのに対し、その戦災を免れた京都人は応仁の乱の事を言う、というのはジョークだと思っていたのですが、あながちそうでもないようです。

そんなトンデモ常識がまかり通っている(いた)京都の特殊な状況を冷静に面白くまとめた佳作です。

といっても、井上先生の視点も結構イケズで京都人の資格は十分にあると思うんですけどねえ。対外的に京都人と言われることに真剣に怒っておられる井上先生です。

※本書ではここに記載したような内容ではなく、しっかりとした知識と資料に基づいた表現が用いられ、この駄文はボク一流の表現であることを付記します。

読書レビュー:知の仕事術


著者 : 池澤夏樹
集英社インターナショナル
発売日 : 2017-01-12
敬愛する(といってもまだまだ良く知らないニワカですが)池澤夏樹さんの仕事術公開本。

SNSの話から始まりますが、ご本人は自身の事を語るなど、こっ恥ずかしくてできないそう。少し前からFacebookをROMっている私も同様です。

ただ、自己の記録として、WordPressによるブログのみは続けて行こうと思っています。それと、そこそこのフォロワーのいるツイッターは。

こういう知的生産の技術書というのは、昔から有名な書籍が何冊も出ています。知の先達たちが後輩のために親切にノウハウを公開してくれているのですね。

でも、わかっちゃいるけどついてけねー。というのが本音のところ。
それができれば苦労はない。継続は(天才)力である・・・と自己弁護で解釈しています。

それでも良いから、格好だけで良いからついていきたい。というので、同様な本にまたもや手を出してしまいます。

そしてもう一つ。基本は実践者の脳髄に帰結するのでしょうが、その時に応じたツールが出てきます。
本書は発行日が読書日と1ヶ月ほどしか違いません。まさに湯気の出ている新刊書でしょうか。なので、現在進行系のツールの解説も適切に行われています。
特筆すべき事として、著者は最初にワープロ原稿で芥川賞を受賞した人。創作のIT化に最初期に取り組んだ人でもあります。現在使用しているデバイスもiPhone6sPlusだったりして、ボクとおんなじ。

でも、あまり具体的に手取り足取りという紹介はありません。執筆にどんなソフトを使っているかとか。まあ、Wordのネタとかは出てきますが。

仮にアプリケーション名を挙げたところで、すぐに淘汰されてしまう(ドッグイヤー)運命ですから。私達自身がそこはさがしていくところでしょう。

最新の技術状況を踏まえつつ、外堀の埋め方をレクチャーしてくれます。
古典の読み方。紙の本と電子書籍の使い分け。等々。

フィールドワークのノウハウはまるでハンティングに行くよう。
で、シンプルイズベストですね。

日々身を削るように仕上げる執筆作業が目に浮かぶようです。膨大な資料を選択し、読破し、必要な部分を抽出し、作品に仕上げていく。産みの苦しみ。

そして脱稿した暁の爽快感・カタルシスは癖になると語っています。

私も掌編で良い(とはなんだ!)ので、創作チャレンジしてみようと思わせてくれる一冊です。

 

胃がん その9 腸閉塞発症


胃がんの術後、可能性として腸閉塞がおこることがありますと聞いていました。

胃切除術後に超同士が癒着しようとする現象らしい。

先日、お腹の具合も良いので、調子に乗って焼き鳥を食べに行きました。例の全国チェーンの280円の店。

よせば良いのに、やたらうまくてモリモリと。

そしたら、案の定、食後30分後くらいで猛烈な激痛が腹部を襲います。
ほんと、カミサマごめんなさい、申しませんと言ってみても後の祭りです。

お守りのようにもっているロキソニンも全然効かず、その夜を明かしました。

朝目覚めて、まだ痛みはあったのですが少し我慢をしていると楽になってきました。

いつものダンピング症候群と判断し、食後の薬をの怠ければならないので、軽くお粥を食べて服薬、

で、しばらくすると、また猛烈な痛みが襲ってきました。

この辺でようやく、いつもの痛みではないと思い、主治医のいる市立豊中病院に電話連絡して救急外来で診てもらうことにしました。

救急外来は専門外の若い医師が担当しているので、見た目に頼りない気は拭えませんが、それは仕方ない。
結果、この若い医師がGood Jobだったと思います。

前回、同様に救急で診てもらったときには問診触診だけだったのですが、状況を見て取り急ぎレントゲンとCTスキャンにまわしてくれました。

結果、腸が腫れているので緊急入院ということになり、その日の手術が終わった担当医も来てくれました。

腸閉塞もしくは腸閉塞のなりかけというのが見立てだったと思います。

まず、1週間ほど点滴を行って改善を見る。
それでもだめであれば手術を行う。

ということだったのですが、翌日もレントゲンとCTスキャンを撮って、予断を許さない状況と判断されたらしく、入院の翌日には手術と相成りました。

で、手術は一応成功したので、このような記録も書けてるわけです。

この腸閉塞は今後も発生する可能性があり、予防法もないとのことなのでげんなりですが、下手したら死ぬヤツなので、今回は良かったと思っておきます。

おかげで予定していたお風呂も旅行もキャンセルですけどね。仕方なし。

術後記録特別版でした。

映画レビュー:沈黙 サイレンス


沈黙 サイレンス
オフィシャルサイトより加工転載

沈黙 サイレンス ※ネタバレあるかも・・・

かなりヒットしているようです。

2週間ほど前に観ました。

その前に公開されると聞き、原作小説を読んでみました。

私の中学時代には、「どくとるマンボウ」派と「狐狸庵先生」派がいたように思います。

といっても、北杜夫については、中学生時分なので「白きたおやかな峰」や「楡家の人びと」などの純文学は手が届きませんでした。
読んでいたのは、もっぱらどくとるマンボウシリーズその他の滑稽小説。

狐狸庵先生・遠藤周作はネスカフェのCMの印象しかなく、映画化された「海と毒薬」などは気になっていたのですが、全く未読の状態でした。

で、今回始めて狐狸庵先生ではない、遠藤周作の代表作とも言うべき「沈黙」を読んで、打ちのめされたわけです。
はい、こんなに凄い小説家だったんだ。

隠れキリシタンへの迫害については、「青い空」などその他の作品に多数出てきます。

胸のムカつく所業の数々。

為政者にとって、「宗教」は諸刃の剣。コントロール不可能に陥れば、己と己の築きあるいは護るべき既得権が脅かされる存在です。

それは分かるのですが、ローマ皇帝ネロの時代から、なぜここまでキリスト教のみが迫害されるのでしょうか。迫害体質?
キリスト教同志の内紛もありましたが。

大体日本人の宗教観はファジーです。
神と仏をごちゃ混ぜにして、怪しまない。適当。
だからそれほど問題も起きない。
坊主がキャバクラに行っていようと、あまり咎める人もいない。

そこに一神教たる(シャレの通じない)キリスト教が入ってきたもんだから、当然のごとく排斥されるわけです。

この物語の舞台は長崎県。そして五島列島。

行ったことないけど、キリスト教徒の多い土地柄みたいですね。

寅さんが五島に行ったときも、教会が出てきたし。

この映画は原作を読んでから観たほうがいいやつだと思いました。

結構小説を忠実に再現しており、緻密な臭うような描写の原作を体験した方が映画がわかりやすいと思います。

迫害されて食うや食わずの日本人キリシタンは、メイクなどでリアルに汚している部分は多いのですが、なかでも凄いのが塚本晋也の大減量。
アメリカで栄養士についてもらって痩せたそうです。
監督の副業かとも思っていた塚本晋也ですが、俳優としても命削って挑んでます。
映画に掛ける情熱を考えればそれもむべなるかな。
最近、「シンゴジラ」といい、俳優として大活躍ですね。

主役はスパイダーマンのピーター・パーカーを演じたアンドリュー・ガーフィールド。マッチョじゃない派のハリウッドスター。

キーパーソンだけど、あまり出番のないのがリーアム・ニーソン。長い間日本にいて日本名もあるのに、日本語のセリフは一切なしというのもどうなのか。

ほぼ主役に近いポジションにキチジローという貧しい漁師(?)がいます。転びまくっている信者で、演じるのは窪塚洋介。

存在としては、鬼太郎のねずみ男にそっくりです。

原作を読んだイメージとしては、キチジローはもっと貧相で小柄なブ男かと思っていたので、窪塚洋介ってどうよと思ったのですが案外はまっていました。

一瞬しか映らない中村嘉葎雄。エンドロールでやっぱりそうだったかと確認。

それいるか?という帝王・高山善廣。

中村嘉葎雄にセリフがなく、一言だけとは言えセリフのあった高山。

しっかりとした俳優にはセリフがなくても演技をまかせられるということでしょうか。

当然ちゃあ当然なのですが、ヘンな日本描写はない。日本人スタッフの頑張りもすごい。

一箇所だけ気になったシーン。

ハリウッド映画で剣(特に日本刀)を鞘から抜く時。
刀同志を合わせる時はともかく、抜刀・納刀の際にも”シュリーン”という効果音が入ります。
明らかに金属同士がこすれる音。鞘は木製なので、そんな音がなるのはおかしい。
というか、多分無音でしょう。
どうしても効果音を入れたいのでしょうね。一箇所そんなシーンがありました。
・・・よ、マーティン。

アメリカも日本も出演俳優が凄く良いです。

二時間半、まったくダレずに観ることができました。

★★★★★

胃がん その8 副作用について


副作用
つらいっす・・・

抗がん剤の副作用

私は癌細胞と転移の怪しまれる胃周辺のリンパ節は残らず摘出しました。
なので、今後は再発の危険を観察していかなければなりません。

そのために抗がん剤としてts-1という薬を服用しています。
予定は12ヶ月です。最もその後の経過観察は5年間ありますが。
服用の仕方はいろいろあるようですが、4週間服用してその後2週間は休薬するパターンです。

もっと辛い人が山ほどいるなかで、告白するのは気が引けますが、このts-1の副作用も結構辛い。
服用を開始する前に、辛くて途中でts-1を辞める人も少なからずいるというようなことも主治医から聞いていました。
服薬予定は1年間。辛ければ6ヶ月で止めても良いという話でした。
胃がんではないものの、他癌の臨床で6ヶ月でも12ヶ月でも薬効に変わりはないという結果も出ているそうなので。

で、6ヶ月が終わるという頃、主治医に服薬をやめたい旨をポロッと訴えた処、最初とは打って変わって続行した方が良いという意見。

そりゃそうなんでしょうけど・・・辛いのよ。

セカンドオピニオンでもないのですが、同時に長年受診している心療内科の先生にも相談したところ、専門外ながら続けたほうが良いでしょうとのこと。

二人に言われたのならしょうがない。
続けることにしました。

この薬が4週分で約25,000円。一日あたりにすると約900円ほど。高い。
ホントに辛ければ抜薬して良いとのことですが、この値段を考えると気軽に抜くこともできない。
抜いた薬は何故か廃棄しなければならず、次月に回すとこできないので。なんでだ
(# ゚Д゚)

この薬は癌細胞を攻撃するわけですが、同時に正常な細胞も攻撃する。
なわけで、副作用としていろいろ不具合がでるわけです。

・吐き気、悪心
・下痢(待ったなし)
・腹鳴(たまらなく気持ちが悪い)
・爪、皮膚が弱くなる。
・ガス過剰
・味覚障害(思いの外辛い、何食っても旨くない)
・神経障害/手のしびれ(ものを落としたり)
・視覚障害(霞んで見えない)涙目(止まらん)
・慢性鼻炎の悪化(つまり、涙と鼻水がとまらん)

その他・・・

特に最近視力障害が酷いです。ものが3重に見えます。
信号や満月が全部ミッキーマウスに見えるのです。
TDLのマーク参

照。

ま、お陰様で髪の毛はふさふさのままです。ハゲるのは絶対イヤだ。

ts-1の副作用一覧に出ておらず、主治医も首を傾げる副作用(?)が出ているので、書き留めておきます。

仕事が休みの時に限って、ひどく出ます。やはり気が緩むせいでしょうか。

胃がん その7 サケについて


BAR
ストレート(ニート)が好きなのも、どうも…

ボクは酒が好きだ。
呑むのも好きだし、ウンチクも大好き。酒場の雰囲気はたまらない。

しかし、アルコールには弱く、30歳までほぼ呑まなかった。
結局、それほど弱いわけではなく、呑み方の問題だったのかもしれない。

そして、昨年の胃がんによる胃摘出手術を経て、再び酒のない日々へ。
手術をするまでは、休肝日のない毎日だった。酒のない日々は考えられなかったし、禁酒など考えもしなかった。

今は胃が元の四分の一しかない。
胃の入り口が噴門部で出口が幽門部と呼ばれる。
それぞれが機能することにより、胃は「胃袋」としての役割を果たす。
ボクの場合、幽門部側を切除したため、理屈としては底の抜けたレジ袋状態のはずである。

呑み喰いしたものは、本来は一旦胃でストックされて消化されて少しずつ腸に送られるものが、底が抜けているためダイレクトに腸に届く。
聞いたところによると、アルコールは大体胃で吸収されるらしい。
ダイレクトに小腸に送られたアルコールは、一気に吸収される。
その結果悪酔いを招く。
正常に酔えないと酒も旨くないというもんだ。

というわけで、呑まなくなって半年を越えてしまった。
幸い、良い酒は自宅には置いていなかったので、それを見て指をくわえるということもない。

行きつけのBARのマスターには事情を話して握手をして店を出た。
アイル・ビー・バック!!というやつだ。

ただ、アルコールに関する書籍を集めており、それがむなしく書棚に並んでいる。

癌を発症してから購入したものが、村上春樹著「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」。
夢に描くスコットランド・アイラ島の風景が描かれている。

潮風とピート香を味わうだけのためにも、訪れたい場所だ。

時間も金もないし、パニック障害もほぼ収まったとは言え、長時間のフライトに耐えられるかはもう少し自信がない。

このまま、禁酒の人生を送るつもりもない。

そもそも。
酔っぱらいは大嫌いだ。自分の価値観として、酒は酔っ払うために呑むものではないと思っている。
「酔っ払う」というマイナスイメージではなく、「酔う」というプラスイメージ。

基本、「酒は一人で酌(く)むもの」。確か、昔テレビドラマで藤竜也が言ってたような気がする。
彼は小奇麗な居酒屋のカウンターで静かに呑んでいた。

しかし、気のあった複数名でヤる酒も良い。
なんだろう、酔うほどに同じ空気を共有できる。脳みそに共有クラウド部分ができるような錯覚が楽しい。

さて、胃切除後に呑み喰いが元通りになった体験談も良く目にする。
本当にそんな日がくるのだろうか。

まだ抗がん剤治療が半年ほど続く。

マラソンランナーとしての復活と酒呑みをして復活後を抗がん剤治療の終了からに設定しており、現在は雌伏の時と考えている。

読書レビュー:スマホ断食


藤原智美という人は名前のみ知っていましたが、著作を読むのは初めてでした。

芥川賞作家ですが、エッセイの方が人気があるようです。

こちらの本も小説ではなく、ITにおける趣味・実用の分野です。

タイトルは「スマホ断食」ですが、さらに拡大して「ネット断食」としたほうが、内容には即すると思います。
現在最もスポットライトが当たっているデバイスとして、象徴的に「スマホ」が使われているようです。

大方の主張はほぼ、私も同調できます。

IT分野の書籍はすぐに賞味期限が過ぎてしまいます。まさにアッチューマです。

よほど本質を捉えたものでないと、上っ面の現象を論じていると、1年で読む価値がなくなってしまいます。

ベクトルを示し、タブレットやスマホ(iPhone)を作ったスティーブジョブスの凄さを改めて感じます。

そのジョブスの作ったAppleやビル・ゲイツのMicrosoft、そしてラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって作られたGoogleはまさに新たな地平を切り開いたと言えるでしょう。

しかし、そのGoogleなどを信奉することに否定的な人たちも最近増えてきたと、この書籍は説明します。

著者は特に様々な事例を挙げ、個人情報の守秘性について懸念を示しています。
それまで著作その他を保存していたクラウドストレージであるEvernoteの使用を止め、非ネット接続の端末に保存しているそうです。
しかし、そもそもその孤島端末のハードとしての脆弱性を補うために、様々なクラウトサービスが誕生したので、それもどうかと思います。
私は相変わらず、EvernoteやDropboxといったクラウド・サービスの恩恵を半ば開き直って受けている状態です。
ネットにおける個人情報の漏洩を心配していると、それこそ何もできなくなってしまいますし。

著者は現在の動向をかなり正確に掴んでいる上での意見を非常にわかりやすく書いています。

キーワードとしては「非知性主義的」といった単語が良く使用されます。
これも時代をしっかりと捉えてる証左でしょう。
本書が出版された数カ月後にはドナルド・トランプがアメリカ大統領に選ばれ、そのバックアップをしたのが「非知性主義的」な米国の人々であると散々言われていることに驚きます。

「スマホ断食」を気軽に2・3日始めてみましょうと書かれていますが、スマホは取りも直さず電話(通話)機能が大きなウェイトを占めます。
ガラケーとの二台持ちの人は良いでしょうが、スマホを机の引き出しに2・3日放り込むのは実際には困難です。
特に固定電話を持たずに携帯だけの生活をしている人たちには。

ただ、言わんとしていることはわかります。
PC断食ならばなんとかなるかもしれません。
少し、PCを立ち上げることを我慢するだけで、余計なネットサーフィン(死語)をしなくてすむので、自分としては生産性が上がったような気分にはなります。

要は「使う」ことではなく「使わない」ことで、どこまでITリテラシーを高められるか。
一度立ち止まって考えても良いのではないかということでしょうか。

戸川純LIVE!!


11月16日。少し前ですが、戸川純ちゃんライブにいってきました。ゲルニカ時代から好きだけど、ライブに行くのは初めてでした。
場所はOSAKA AKASO。昔のバナナホールですね。

私はパニック障害で人、の多い狭い空間は全くダメだったのですが、最近は大分とましになってます。

戸川純ったって、今日日はそんなに集客ないだろうと思ってたのですが、豈図らんや、どんどんと入ってきております。
結果、かなり前の方で鑑賞することができました。もちろん、オールスタンディング。

客層は当然結構年齢高めですが、20台前半ぽい女の子なんかも結構いるようです。

余談ですが、LIVEの最終近く、前にいた若い女の子が急に貧血かなにかで倒れて、間一髪後ろから支えました。
その後、大丈夫ということで笑顔もみせてくれてたので一安心です。

登場した純ちゃんは、ネットの噂通り、かなり増量しておりました。
でも、やはり戸川純は戸川純。滑舌の悪さに磨きがかかっているにも関わらず、MCもたっぷり。長州力レベルではあります。

腰も悪くしているらしく(なんとかその情報は聞き取れた)、ほとんど座ったままのパフォーマンスでした。
にも関わらず、オーディエンスを引っ張っていく力はさすがです。

最近の活動はそんなにチェックしていない(あまりない?)ので、知らない曲ばかりかなと思っていたのですが、ゲルニカ時代の曲や昔の楽曲を多く演やってくれたので大満足。
まさかの「眼球綺譚」に始まって「バーバラセクサロイド」「蛹化の女」「諦念プシガンガ」などノリノリでした。

アンコールは「パンク蛹化の女」。
このときだけは純ちゃんもさすがに立ち上がってくるくる回っておりました。
これをやられた日には、満足して帰るしかないですわね。

全体的にお腹一杯になった好ライブなのでありました。

まもなく35周年ライブもあるみたいです。

胃がん その6


腹痛
痛み、こんなもんじゃないですが・・・

自分のためにもご同様の方にとっても、もっと細かに記録していった方が良いのはわかっているけど、結構日々を乗り越えることに精一杯な今日このごろです。

5月に胃の摘出手術を行って約半年。最近はそこそこ慣れてきたかなと思っていました。

しかし、その油断をついてというか、でかい副作用に襲われました。
少々食えるようになったのと、食わないといけないというプレッシャーで、飯を食っていました。

あと、かなり疲労も蓄積していたと思います。

朝マックを機嫌よく食っていたのですが、食い終わった10分後、徐々に腹部に痛みを感じ、それが耐え難いものに変わってきました。

腹の中を電動ドリルでかき回されるような激烈な痛み。初めて経験する痛みです。

とても席に座っていることができずにトイレに行きました。

リバースすることができれば少しましになるかもしれない。
しかし、戻すというのは食べたものをしばし溜めておく胃袋があってのこと。
胃袋がない今となっては、思い通りに吐き戻すことも出来ません。

おそらく約1時間ほど、塗炭の苦しみの内にすごしました。

朝マックも軽いもので、それほど量のあるものではありません。
元々食べるの遅い方で咀嚼も充分にしています。
なにが悪かったのか。

なんとか痛みも治まり、帰宅しました。

そこからが私の愚かしいところなのですが、さっきまで死ぬほど辛かったのに、また数時間後に昼食にインスタントラーメンを作ってたべてしまったのです。
共通する点として、食べている最中は全く問題がないのです。

で、食べ終わって10分ほどすると、地獄の苦しみが。
ほんと、泣きそうな痛み苦しみなのです。

ラーメン完食後、やはりあの激痛に襲われました。

袋麺だし、もやししかトッピングしてないし、そんなに量はありません。

又1時間ほど泣きながら苦しんだ後思いました。

これでは日常生活を送れない。

食べないと仕事もできないし。食べる度にこの苦しみがあったのではなおのこと何もできない。

主治医のいる病院に電話をしましたが、担当医はオペ中で対応できないし、連絡が着くのもいつになるかわからない。

仕方ないので、救急外来で受診することにしました。

結果、痛み止めをもらうしかどうしようもなかったのですが、その時は専門外の若い救急担当医であったので、次回担当医に受診してもらうことで帰ってきました。

幸い、診察の最後の方に手術を終えた担当医が、血の付いた履物のまま来てくれたので、少し安心できました。
次回、胃カメラを飲まなければいけないかもしれない。憂鬱。

と、いうように術後、少しなれてきたかと思っても油断は禁物です。1年間くらいは用心した方がよいでしょう。

読書レビュー:~遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白~ 飛田で生きる


飛田新地。最後の遊郭と言われる場所。
橋下さんが顧問弁護士を勤めていたとも言われる。

この地のルポとして、かつてこの本「さいごの色街 飛田」の書評を書いた。

しかし、飛田は取材など基本的に受け入れない。
本当の姿は描かれない。
これだけ海外からの旅行客を受け入れるようになっても、ネット発信なども拒絶している。
中国人客はここでも相変わらず嫌われているようだが。

この秘境とも言うべき飛田新地をなぜここまで具体的に赤裸々に描くことができたかというと、それは著者が元飛田の店舗経営者で、現在も女の子のスカウトマンであるということ。
つまり、昨今攻撃されている飛田の防衛に立ち上がったということ。

飛田遊郭(料亭組合)は、著書によると、厳然としたルールがあり、それに基づいて働く女の子を守っているのだとか。

人類最古の職業であり、どこまでいってもなくならないであろう風俗産業。

大阪府に関しては1990年の花博を機にソープランドが廃止された。

しかし、何故か飛田・松島などの風俗街はそのまま。

本書のあとがきによると、隣区・阿倍野再開発で建築されたタワーマンションの高層階から飛田遊郭が見渡せ、ネットの書き込みなどで悪所として攻撃されているのだとか。
併せて2016年11月現在、2025年に誘致予定の大阪万博開催に伴って、またもや危機に直面しているのかもしれない。

遊郭存続の危機に向けて牽制する意味での本書出版なのかも知れない。というか、当然その意図はあるでしょう。

それらを考え合わせても、よくできた本であると思う。

飛田で遊郭を経営するための段取り(資金など)であったり、女の子確保のノウハウなどが余さず書かれており、遊郭経営入門のような内容でもあります。
良くあるカフェやカレーハウス開業のノウハウ書みたいです。

しかも文章がうまい。私が関西人であるためかも知れないが、リアルな大阪弁でのやり取りもリズムよく進行していき、ダレさせない。

先述の飛田防衛意図があったにしても、悪所ならではの必要性。現在はかつての人身売買的な女郎屋とは一線を画し、働く女の子の将来や人権も考慮した「働く場所」であることを主張している。

勿論、身内や近親者がこのような場所で働くことを黙認できるかというと、確実に無理なので悩ましいところではあるわけであるが、一個の人格を有した成人女性が自らの判断で選択する場所としては存在しても良いのかなとも思う。

少なくとも個人的にはホストクラブにハマるよりは前向きかなと思うし。
と言っても、ホストクラブに入れ込んで、てっとり早く稼ぐために飛田にくる子も多いようだが。

著者は飛田での経験しかないので、他の五新地(松島・今里・滝井・信太山)や、その他かんなみ新地等については触れられていない。
他の新地が飛びたほど整備されているとは聞かない。飛田は段違いに生き残りに貪欲なようだ。