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読書レビュー:ウルトラマンになった男


今年はウルトラシリーズ誕生から45年です。
ボクらの世代では、やはり、オリジナルウルトラマンです。初代というか、第一次というか。

で、その中の人であったのが、この著者、古谷敏さんです。

読んでいて思うのは、俳優としては不遇だったのかもしれないけど、もぉ、いい人すぎるんじゃないの?ということ。

行間からいい人汁があふれてきてるのです。淡々と衒いなく活写されている、昭和40年代のあのころが、懐かしい。

誰かの悪口などはありません。が、一箇所だけ、古谷さんに対して態度の超悪かったスタッフのことがでてきますが、それは本人が怒る前に尊敬する監督が叱ってくれたということで、監督へのお礼になっています。

その他、イデ隊員の二瓶正也さんやアラシ隊員の石井伊吉さん、アキコ隊員の桜井浩子さんのことなどが、お礼の言葉とともに語られます。

タイトルからもわかるように、スーツアクターであっても、主役であり、これまでのウルトラマンを初め、その亜流までもの流れを決定づけたマンのことに紙数がさかれています。

アマギ隊員役で出演していたウルトラセブンのことは、あまり書かれてはいません。

といっても、自分がオリジナルであり、魁であるというようなエラそうなことは一言も書かれていません。やはり、繰り返されるのは失敗と葛藤と周囲への感謝の言葉。

苦労と言っても、ウルトラマンの水中撮影でスーツの中に水が入ってきて死にかけたとか・・・。
熱中症でいつも吐きながら演技をしていたとか・・・。
(ボクも学生時代にかなりやったので、身を持ってわかります)

ほんとは、俳優を廃業し、成功していた会社も倒産し・・・もっと辛かったことは山ほどあったのだとおもいます。

でも、そんなことは全くスルーされています。

本当に心優しいヒーローだったんだなあ。

YouTubeで古谷敏さんの出版記念パーティーが観られます。

これを観ただけで、彼のすばらしさがわかります。

まだまだ、格好いいんで、俳優として観てみたいです。

読書レビュー:人の心は歩く早さがちょうどいい


先日、酒井雄哉師の説教というか、講演を聴きにいってきました。この本を読んで、同じような印象です。

非常に平易な言葉です。特に目からウロコという内容のものではありません。
ただ、同じ事を言っても話す人によってこれだけ聴き手に与える影響が違うのかということです。

元々は高倉健さんのエッセイで存在を知ったのです。

あの健さんが心服するのだから、すごいひとに違いない。(実際には健さとそれほど年齢差はないんですよね)

比叡山で行われる千日回峰行という荒行を二回も満行したということです。比較するのもなんですが、寛平ちゃんがアースマラソンを二回やるかというと、やらないと思います。

これを何遂げたのは延暦寺の歴史の中でも3人だけだとか。しかも、酒井雄哉大阿闍梨はこれを最高齢で成し遂げています。

実際にお会いして、その小さな体から感じるエネルギーをいうのは尋常ではありません。

で、様々な商売を経て、いろんなことを経験した上での出家得度。荒行満行。

その口から出てくるお言葉ですので、説得力が違います。

すごくやさしい語り口ですが、やはりそのバックには実社会においても行の中でも生死をかけた厳しさが滲み出てきます。なんか、素直になれるんですね。

未だに信仰心などもてない自分ではありますが、素直に傾聴することはできるんだなあと・・・思います。

読書レビュー:Kindleショック インタークラウド時代の夜明け (ソフトバンク新書)


タイトルは大きく「Kindleショック」と書いてあり、「インタークラウド時代の夜明け」というサブタイトルは、今気が付きました。

道理で。いや、あんまりキンドルそのものについて掘り下げてないし。最初の方に、書籍の流通、再販制の説明なんかから始まって、少しだけ。

他のデバイスやインターフェイスの今後などが延々書かれています。

ヒトコトで言って難しい。ボクも決してこの分野について詳しいとは言えないけど、いわゆる一般向けの本ではないような。

もう、文章が脳みその上をツルーっと滑っていく感じ。なんども読み返します。はい、すみません。私がアホなんですm(_ _)m

☆キーワード
フリーミアム=無料コンテンツを使うことで活性化できる収益機会

うん、憶えておこう。

読書レビュー:葬式は、要らない (幻冬舎新書)


島田先生の本は当たり外れがあるかもしれませんが・・・、すっとぼけた顔して、やはり日本を代表する宗教学者ですね。過去の個人的経験にも基づいて、常にフェアな立場で書いておられるのが好感もてます。

で、この本はなかなかよくまとめてあります。いや、別に上から目線ではないんですが、ふつうサイズの新書として、いい感じかなと。
通常の単行本でもよかったかもしれません。

キーワードは「贅沢」

葬式は贅沢だそうです。日本の葬儀費用はダントツ世界一らしい。
葬儀屋と坊主が丸儲けっちゅう話ですね。
たまたま、昨年父がなくなったので、そのあたりの事情はわかります。

さりとて、誰もが白洲次郎みたいに「葬式無用、戒名不用」というわけにはいかないと。もちろん、残されたものとしては。

確かに、葬儀そのものは告知と告別のシステムとしては、便利ですね。合理的。

戒名が数十万円とか数百万円とかいうのはいかがなものかとは思いますが。
寺の運営費用も分かりやすく解説されています。仕方がない部分もあるかもしれません。
しかし、日本の仏教は特殊です。
タイあたり(小乗仏教)の坊さんは、出家したら死ぬまで金銭には触れないらしいが(これはこの本に載ってたことではありません)。

とりあえず、自分の葬儀はどうすれば良いか。なんか、結構楽しく遺言書の内容を考えられそうです。

この本に対抗(アンサー?)のしてるのかどうか知りませんが、「葬式は必要!」という本も出てますので、そちらも読んでみます。

読書レビュー:TAJIRI ザ ジャパニーズバズソー


TAJIRI
マガジンハウス
発売日:2003-12-18

嘘ではないんだろうけど、ひと頃アメリカではイチローや松井より有名な日本人だっだそうだ。

イチローや松井がアメリカでどれだけ有名かは知らないので、比較されてももうひとつ分からない。

しかし、WWEがプロレス団体の枠大きく越えて巨大なスポーツ・エンターティンメントを取り扱う会社であるというのは大体わかる。
確実日本の総理大臣よりは知名度はあるとおもう。

物心ついた時からのプロレスファンだが、TAJIRIがアメリカで活躍していた時は、ちょうどプロレスから離れていた時期だった。

総合格闘技やK-1が台頭し、馬場さんが亡くなり猪木が引退した。プロレスの軸が揺らいでテレビの放映もなくなった。

前のように状況を追いかける気も失せていたのだ。

しかし、その少し前、TAJIRI(田尻)が大日本プロレスでグリーンボーイだったころに、一度試合を観て、非常に印象に残った記憶がある。

「ん、コイツは!?」と思ったのだ。動きに切れがあってダイナミック。すごくいいレスラーだという印象を受けた。

その勘を信じて追いかけて(と言っても、すぐに日本から単身メキシコへ行ってしまったので、追いかけられなくなったのだが)いれば良かった。

アメリカで成功したと聞いたときも、あの地味な顔を思い浮かべてピンとこなかったのだが。

いまはYouTubeもあるので、遅ればせながら、WWEスーパースターとしてTAJIRIを観ることができる。

やはり素晴らしいムーブがより一層研ぎ澄まされている。

武藤とは違うタイプのプロレスの天才なのだろう。

文章も多分、基本的には自分で書いているようだ。・・・レスラーに憧れて、WWEで大ブレイクするまでのこと。

日本でのキャラクターもまずまずのようで。あとはブレイクせずとも、楽しいプロレスを見せてくれればいいね。

見たところ、自分のチームなり弟子なりを作るタイプでもなさそう。
TAJIRI≒田尻をどのように魅せてくれるか。

読みやすく面白い。TAJIRIももう40歳なんだが、もうしばらくは楽しませてくれそうだ。

全く書評になっていないが。

読書レビュー:ブッチャー 幸福な流血―アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝


結構前に出版されていた本です。

以前途中まで読んで、その時は途中でやめたような記憶がありますが、今回は一気に読みました。

内容よりも、このタイトルとカバー写真で「本」としてはOK(完成)です。

長い、プロレスファン人生でも、ブッチャーは格別。最もインパクトのあったレスラーです。

頭に蛇口がついているのかと思うくらいの流血っぷりで追いかけれたときは、生きた心地がしませんでした。
人間というよりは、クマとかサイとかに追いかけられている感じ。

この自伝は多分、結構自分で書いているんじゃないかな。というか、あまり第三者の演出はないように思います。

かなりええかっこしてますがね。多分。

インド系とアフリカ系の両親に生まれ、幼少時から極貧の中に育ったらしい。少年時の写真が一枚しかなく、貴重なその写真が使われています。
全く肥満していない、普通の黒人の少年です。

これは自伝の中にもありますが、貧乏の中で生きて行くために、自然とずるがしこく、守銭奴的になっていったようです。

当然、並大抵の自己主張では自己顕示欲の塊のようなレスラーの中で、なんのバックもないブッチャーが頭角を表せるわけはありません。
それほど、あえて描かれなかったのかもしれませんが、、相当な努力があったものと思います。

憧れでもあった、有色人種の大先輩スーパースター、ザ・シークとの確執も、尊敬と憎しみがないまぜになって描かれています。

その他の斎藤文彦を始めとするインタヴューなどを総合すると、かなり、計算高く、狡猾な・・・だけれども、自分には厳しく、プロレスラーとしては最高であるブッチャー像が見えてきます。

読み終わった後、無性に「ザ・ファンクスvsブッチャー・シーク」組のオープンタッグ選手権がみたくなって、YouTubeで探しました。
モー、サイコーです。

しかし、ブッチャーvs高田戦の高田のしょっぱかったこと(;´д`)トホホ…

読書レビュー:アップル vs アマゾン vs グーグル 〜電子書籍、そしてその「次」をめぐる戦い〜 (マイコミ新書)


これまで読んだ数冊のナビゲーター的な本とかなりカブる部分がありますが、一回読んだだけでは腑に落ちない点もいっぱいあるので、こういう場合は復習的に読めていいんじゃないかと思います。上手に斜め読みすれば。
といっても、この本も大変上手にまとめてくれています。
この3社がどのように覇を競うかというのは間違いないでしょう。(スティーブ・ジョブズの体調が心配ですが)
電子書籍を軸にして、クラウド及びプラットフォーム、デジタルデバイスの覇権を予想していきます。
3社と言いましたが、そこに加えてマイクロソフトとセールス・フォース・ドットコムを加えて三つ巴ならぬ五つ巴となるだろうとのことです。マイクロソフトのクラウドサービスというのも今ひとつぴんとこないし、最後の企業はアメリカ国内のみらしいので、全然わかりません。調べてみましょう。
一番きになるのはキンドルなのですが、結局日本の著作物はデジタル化を拒んでいるようなので、英語文化圏に比して立ち遅れていくことでしょう。ますますガラパゴス化していくのですが、どうせ開国するのであれば(多分そうなるでしょ)早い方がいいとおもうんですが。
とりあえず、京極先生に期待か。

読書レビュー:USTREAM 世界を変えるネット生中継 (ソフトバンク新書)


川井 拓也
ソフトバンククリエイティブ
発売日:2010-05-19

良くあることだが・・・
以前から気になってはいたけど、ちょっと横においておいた。置いておいてはいけなかったものなんだな。
youtubeとの差異もわからなかったが、大きな差は時間的な制約と無編集であるということ。そしてTwitterとの連動。
SoftBankの孫さんの協力体制。
たまたま読了後、孫さんの記者会見を観た。「自由報道協会主催 孫 正義 記者会見」。無編集なので、1時間40分以上。こりゃ疲れるが、孫さんの筋書きのない応答は一見の価値あり。これもUstreamの威力か。
権力のフィルターを通さない情報が得られるのであるから、既得権を持った一部の個人団体などには脅威でしょうね。
本日、統一地方選挙の投票に行ってきました。事前に調べても、サイトを用意していない候補者も結構いる。果たしてUstreamまで利用した候補者はいたのだろうか。あるいは規制などがあるのだろうか。
被災地も報道以外にさらに悲惨な状態であるとも聞く。違法・アダルトなどのリリースに関しては、かなりマンパワーに頼って、対応しているらしい。今後、チェック機能をどのようにしていくかが、急務なのだろう。
詳しくは本書を。

読書レビュー:なぜ、脳は神を創ったのか?


結構気になっている人で、これまたきになるタイトルなのですが、やっと読みました。
大阿闍梨らしいけど、比叡山の酒井雄哉大阿闍梨と同じっていうことか。
書いてあることは一部難しくてわからない。ちょっと衒学的?とも思えるのだが、それはこちらが理解できていないだけなのか。多分そう。

非常に面白く読めました。
オウムの洗脳を解いた人というくらいの認識しかなかったけど、宗教学の造詣も深いのですね。

科学的に神の不在は証明された、で始まります。

その部分の説明もなされてはいるのですが、今ひとつ納得できないんですよね。
でも、そこを納得しないと先に進めないので。

切り口としては目からウロコ。実際にアメリカにおけるキリスト教の実態というは、説明されているとおりだろう。
先日池上彰さんが、宗教国家としてのアメリカをレポートしていたけど、着眼点は非常に似通っている。

ひとつ思ったのは、苫米地さんを信じてしまうのもひとつの宗教ではないの、ということ。
他の著作も読んで、ゆっくりと判断していけば、さらに面白いだろう。

読書レビュー:アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ


読書時点で少し前の著作になるのだが、このジャンルでは週刊誌レベルの情報でないと追いつかない。多分、書いている人たちも時間に追われてヒーヒーだろう。日々情報が差し替わっていくのだから。

アップル・グーグル・マイクロソフトを「クラウド御三家」的に書いている。マイクロソフトのクラウド戦略は初めて読んだが、当然、なんの手も打っていない訳がないですわね。
SaaS PaaS IaaS (SaaSしか変換されない)の基本概念も勉強する必要あり。クラウドへの懐疑も押さえるべきか。

多少アップル寄りではあるが、アップルの弱点も抑えているので、良い。

言葉の使い方も適正であり、好感が持てる。ただ、全体的に一般向けではなく、多少難解である。