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読書レビュー:Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)


2009年。まだ日本においてTwitterの黎明期に書かれた本です。

確か「ウェブはバカと暇人のもの」の中で、Twitterの解説書としては非常に良いと論評されていたので、遅まきながら読んでみました。

重要なフォーラムなどをTwitterで実況する、「tsuda」るという造語を生み出した、張本人です。

確かに、Twitterの本質を洗い出し、わかりやすく解説してあります。

SNSとして、Google+が真打か?という感じですが、個人的にやはり、最も使用頻度の高いインフラとしてはTwitterです。

意図されたものかは今ひとつ不明ですが、140文字という制限が逆にモバイルとの親和性をより一層際立たせて、使い勝手の良いものにしているのでしょうか。

各種プラグインでmixiやフェイスブック等と同期させているので、発信のベースになっています。

あとは、属人性等によって、各SNSを使い分けると。

ジャスミン革命やオバマ大統領の選挙ツールとしての使用などのバックボーンなども丁寧に解説しているので(今となってはソースは古いですが、最近は特に大きな事例はないようで)その可能性がわかると思います。

印象に残ったのは、通常サービスは(mixiなどをみても)どんどんとスペックが大きくなっていくものなのに、Twitterは進化するに連れてどんどんと機能などをそぎ落としてシンプルになっていったということ。

サードパーティなどの連携する機能やプラグインなどは多くなっていますが、Twitter本体は極限までシンプルに。

これが使いやすさの根本なのかなと思います。

読書レビュー:鬼の冠――武田惣角伝 (双葉文庫)


剣豪小説の名手、津本陽の中編小説。

小説・・・?なんだが、あまり筋がない。

武田惣角伝、の副題に間違いはない。しかし、普通幼年期から描いて、その過程で人・異性との関わりなんかが織り交ぜられていくもんなのではないだろうか。
吉川英治の宮本武蔵とか司馬遼太郎の一連の小説とかでもそうですよね。

ほとんどそのような描写はなく、激しい修行やその修業の過程における命がけの武勇伝がどんどんと積み重ねられていく。

宮本武蔵であれば、4〜500年前の剣豪であるから、半ばおとぎの国の話しで済ませられもしようが、武田惣角の場合はそうはいかず、あまり、創作の入る余地はないのかもしれない。

維新後に活躍し、昭和に入ってから没した人である。面識のある高弟の佐川幸義や孫弟子の塩田剛三がつい最近まで存命であり、彼らの証言・著述や流派間の微妙な関係もあるだろうし。

実際、直弟子の植芝盛平のことなどももう少し絡んでくるかと思ったが、非常にさらりと流されている。

つまり、それだけただ今現在にリアルにつながっているということだ。

描写されている武田惣角の神がかったような達人ぶりは、このリアルな時代感の中ではやはりお伽話になりにくいのかもしれない。

塩田剛三の自伝などを読んでも、師の植芝盛平はすでに神域に入っているし、佐川幸義の弟子の評伝なども、未だ存命中にも関わらず神格化されてアンタッチャブル状態。

いや、お伽話を否定はしないし、大好きなのだが、さすがに壁抜けの術とか言われると素直に読み進めることはできない。

又、別の本になるが、塩田剛三の自伝「合気道人生」。

こちらを読むと、塩田剛三の政治的な手腕が垣間見える。

有力な政治家の知己を得、団体を大きくさせている。

これはマス大山にも言えることだろう。

彼らはスポーツマンではない。武道家である。

バーリ・トゥードを超えた究極のノールールの中に生きているのだ。

ある意味、極道と表裏の関係にあるのかも知れない。

そこまでのタクティクスまで考慮した上で、やはり神業は存在するものと思いたい。

とりあえず、この本、上質な「グラップラー刃牙」のスピンオフを読んでいる感じ。面白いので、すぐに読めます。

読書レビュー:iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?


すでに出版されて1年以上たっている。
どちらも行き渡った感があり、かなり熟成されたデバイスであり、ツールである。

しかし、もちろん、現在進行中で進化もしている。

こうやって、ブログなどを書いていても、すぐに過去のものになってしまうので、少し遣る瀬無いのだが、これは仕方がない。あまりにも劣化が早すぎる。

が、それは自分の理解と認識があまいのであって、本質を捉えていれば、時間による劣化はないはずなのだ。現行の記録は重要な資料として残っていく。

この著作も、見事に芯をとらえていると思う。

アップルの素晴らしさをとくとくと語ってはいるが、偏向したエヴァンジェリストではない。

著者は「スティーブ・ジョブズはMac・iPod・iPhoneで世界を三度変えた」とまで表現しているが、その結果を導き出すために、アップルがどれだけの先見性をもって、他の追随を許さない努力をしているかも説く。

非常に高いハードルを設定して、それを見事にクリアした結果なのだ。

やはり、噂に効く通り、最先端のIT分野に携わっている人たちは格好だけではない。華麗にスイスイと人生送っているわけではないのだ。

Google本社の天国のような福利厚生の裏には、一時の油断も許されない苛烈な競争が繰り広げられているのだろう。
それもスーパーサイヤ人のような世界屈指の頭脳たちが。

彼らの思考(コンセプト・思考のパラダイム)にはとてもついていけない。よちよち跡をついていく努力はしているが。

その手助けのために、こういう書物が重要なのだろう。

もちろん、ウェブ上には情報は十分にある。

しかし、それが又十分すぎて、それこそアマゾン川だ。

その膨大な情報を非常に上手にまとめた良書であるとは思う。

紙でも電子でも良いが、やはり本は必要だ。

ついでに言うと、編集・レイアウトも非常に良い。

一見ムダな余白のようにも思えるのだが、ボクには大変に読みやすいレイアウトだと思えた。

読書レビュー:メールの超プロが教えるGmail仕事術


樺沢 紫苑
サンマーク出版
発売日:2010-04-05

一応、読み終わったフラグにしていますが、かなりとばし読みです。

あまり通読するような本ではないと思います。

いわゆるリファレンスなので。

gmailやGoogleのサービスは、操作性は分かりにくい場合が多いと思いますが、大体の使い方はさぐりながら使いこなせます。

しかし、ああ、そうか。というような使い方もあるので、目次や小見出しをざざっと読んで、いくつかのポイントを自分のものにしてしまえば、この本の値打ちは十分にあると思います。

もう少し図解が多ければ分かりやすいかもしれません。

ただ、最初の方でなんだかgmailの基本をサッカーに例えて説明しているので、逆に理解できず、イラッとしましたが。

良くあることですが、みんなが野球やサッカーのルールをしってると思う前提はやめてほしいです。

読書レビュー:ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」 (宝島社新書 307)


この著者の前著「ウェブはバカと暇人のもの」も読んだが、そこで書き足りなかったのか、同じ路線での著作、だと思います。

前著でも、端々の事例や考えはわかるのだが、今ひとつ言いたいことがわからない。
ボクの頭の中では様々な事例が解へと収斂していかない。シナプスがつながらないというか。

本書にある「ネット原理主義者」って、誰のことなんだろうか。そんなMacエヴァンジェリストみたいなユーザってあんまり周りにいないけどなあ。

むしろ、何日かに一編しかPCを立ち上げないとかいう人の方が目に付くか。

ただ「痛い人」は掃いて捨てるほどいますわね。多分、若年層を中心に多いのでしょう

その「いなし方」というところに惹かれて、読んでしまいました。決して前著に感動して読んだわけではありません。

インターネットに世界を変える力なんかないと。力のあるのは、それらを正しく使える人間だと。

そんなことは声高に叫ばなくてもわかってます。

そりゃ、もちろん、ツールはツールでしかないです。

それは電話やファクスにも言えることで、通信革命ですよね。

ファクスなんか、つい最近まで、そんなモンなくても仕事できる、って言ってる零細企業の社長はいましたから。

どんなツールでもユーザにエキセントリックな人間は存在します。

もともと偏執的な人が、こりゃいいわいと使い始めて、その存在があぶり出されるように顕著になったっていうのが現状じゃないのでしょうか。

「ウェブはバカと暇人のもの」というのは、やはりあまりにも一面しか表現していないと思います。

著者は、ネット住人でもある代わり、多くの偏執的なネットユーザの被害者でもあるので、あえて、辛辣に断じてるように感じました。  

最近、どのように使えばいいのか悩んでいるSNS。

Google+で一応の収束なのか?なかなか整理してついていけませんが、可能性は感じています。

読書レビュー:「最速」SEO ~たった28日で上位表示する驚速ビジネスサイト構築術~


非常に分かりやすい本だと思います。

ただ、タイトルに釣られて買うとがっかりするかもしれません。
結局、著者のように検証する力がないとどうしようもなということに思えます。

SEO施策としては、内部施策と外部施策に大別されるのは基本です。

内部施策としてできることは限られており、この本の前半で大体語られます。

あ、それと、この本が書かれた時点では、まだYahoo!の検索エンジンとしてGoogleは選ばれていませんでした。本書では、Yahoo!とGoogleが対立するものとして書かれているので、その点を差し引くと少し残念かもしれません。

内部施策としては、可能なことは、やはり限られます。

興味深いのは、半ば都市伝説的に語られる、SEOの常識。業者さんとかが良くセールストークみたいに話すやつ。

これらが、「私の検証としては」という説明つきで解説されています。心霊写真のネタばらしみたいで、面白い。

ただし、当然ですが、これらも確定ではない。

あくまでも、外部から帰納的に積み重ねていった推理の結果ということです。

そもそも、Googleのアルゴリズムなんて、分かる訳ないですよね。
日々刻々と(おそらく)変動していってるんだろうし。

世界トップレベルの頭脳集団がよってたかって構築したシステム(ブラックボックス)が、少々研究したって、解明できるわけがない。

なので、本書はタイトルに反して、半ば悟りきったような展開になっていきます。

小手先の刹那的な施策はやめましょう。

被リンクを増やすためには、コツコツとブログを書くとか・・・。

それが最速なんだろうか。急がば回れっていうこと?

業者にまかせる場合のチェックポイントなんかも、結構使えると思います。

多分、SEOに関する本は、選ぶのが難しいと思いますが、これはとりあえず、読んでおいて良いのではないでしょうか。

読書レビュー:日本人のためのフェイスブック入門


何冊か、Facebookの解説書を読み始めたりしてましたが、なんか邪魔が入ったり、とっつきにくかったりして途中で投げてました。

この本は一気にすぐ読めました。文字が大きいというのもありますが。

なぜ「日本人のための」かというと、匿名で発達してきた(2ちゃんねるのように)日本のウェブ文化を鑑み、日本人のメンタリティを踏まえた上で、どのように使っていけばいよいのかということです。

自分自身、Facebookを使っていて、どうも、合わず。さりとて、これは使いこなすべきものだという直感みたいなのがあって、少しあせってた感じもありました。

ボクがとっつきにくかったのは、ひとつにはFacebookのインターフェイスの問題だと思う。単純に感性が合わないだけなのだろうか。多分、慣れによって克服できるレヴェルだと思う。

そもそも、そんなに複雑なツールではないのだ。でなければ意味がない。

その単純操作の生み出す巨大な成果について、驚愕を持って解説されています。

中でもそのキモは「いいね(Like)!」ボタン。これは本文参照。

Facebookは基本的にリアルな知人を改めてウェブ上で再構築するツールなのだと思っていたのだが、そうではないらしい。

実名運営ということで、mixiのようにやたら馴れ馴れしいのはNGだが、節度をもって、どんどんと友達の輪を広げていけば良いんだね。

本書では、ビジネス活用の視点に立ってアドバイスされているので、それもいい。

多分、この本だけで重要なポイントは網羅されているのではないだろうか。

しばらく、手元におきつつ、Facebookを活用していきたい。

読書レビュー:MY LIFE OUT SIDE THE RING〜わが人生の転落


ハルク・ホーガン,マーク・ダゴスティーノ
双葉社
発売日:2010-10-20

ビル・クリントンほどではないが、結構分厚い本である。

日本と比べるとアメリカは本は非常に高価である。というより、日本は本が安いようだ。

アメリカでもっとも有名なプロレスラーである「ハリウッド・ハルク・ホーガン」の自伝。

この厚さでは、それこそ、アメリカンな内容で、途中で挫折するだろうなと思っていた。

しかし、存外面白く、読み進めることができる。

と思いきや、やはり2/3を読んだところあたりで、どうも雲行きがあやしくなってきた。

なんだか、身内(離婚したホーガンの妻)のことや、仕事の契約上のトラブル・裁判沙汰など、プロレスに関係ないことがだらだらと続き始めるのだ。

まあ、素顔のホーガン=テリー・ジーン・ボレアについて興味があるわけでもなく、イヤになって読むのをやめてしまった。

映画「ビヨンド・ザ・マット」「レスラー」以降の著作でもあり、いまさら暴露本でもないが、裏話が赤裸々に描かれてはいる。その件については特に興味をひかれることはないけれども、80〜90年代のマット界の変遷の真相(?)としては面白い。ドラッグとかね。

あと、ビンス・マクマホンの成り上がる背景であったり。

人間ハルク・ホーガンはやはり興味深い人物である。自伝であり、当然一人称で描かれ進展していくので、話半分以下には読んでいるのだが。

あの、最強の大男が、本人言うところのヒステリーなわがままな愛妻とその親族に振り回されるというのは、ある意味お約束か。

おそらく編集者との共著なので読みやすさはあるとおもう。冒頭から自殺寸前のシチュエーションで始まるところなんか、ドラマチックですね。

最後まで読めなかったので、結論は書きにくいけれど。いいんじゃないでしょうか。

かつて、ゴッチやテーズは、最近のプロレスの象徴としてのホーガンをなんちゃってレスラーのようにこき下ろしていたが、ここではそのホーガンが新鋭のザ・ロックあたりを、今どきの甘ちゃんレスラーとして扱っているのがなんとも興味深い。

読書レビュー:七勝八敗で生きよ


天龍 源一郎
東邦出版
発売日:2007-12

これはまあ、天龍源一郎(著)というよりは、聞き書きですね、多分。別に、天龍 著 と書いてある訳でもないし、編集者というか、ゴーストライターが読みやすくまとめてくれているのであれば、全然問題はないです。

ちょっとひねった構成になってます。

最終章に自分の生い立ちから少年時代・相撲時代などが書かれています。

あとはプロレスファン向けのプロレス観とか・・・すこーし愚痴とか・・・SWSの件とか。

ちょっと引くというのは、最初のほうからジャンボ鶴田の悪口が結構出てきます。割と全編通じて。

てことは、天龍革命ってアングルでもなんでもないやんちゅう話しですね。マジで嫌ってた節がある(;・∀・)

「死人に口なし」っていうことは重々わかって書いてる(暴露っぽい)んだと思います。
最終章に近くなると、そんなジャンボが反面教師になって、現在の天龍が作られた。早世したブロディやジャンボに恥ずかしくない試合を心がけるみたいなことが書かれているので、ちょっと救われる部分はあります。

ジャンボ鶴田はフィジカルにも恵まれまくった天才であったがために、努力というものを全く怠った・・・と。まあ、ここまでは生前からも言ってたように思いますが、人間性までいろいろと。
なんかちょっと天龍源一郎らしくない物言いかな。

らしくないといえば、アメリカ遠征中に、日本の彼女に頼んで音楽を送ってもらってたんだけど、そのオーダーがなんとユーミン\(◎o◎)/!それをギャグとかじゃなく、さらっと流してるところがなんとも(;´∀`)  あの天龍が「中央フリーウェイ」とか?

それと、別に悪口でもないんですが、馬場さんの事・・・他の大多数の人のように、馬場さんをことさら尊敬してる風でもなさそう。

天龍のひたすら豪傑イメージが少しブレるかもしれない一冊です。

読書レビュー:葬式は必要! (双葉新書)


一条 真也
双葉社
発売日:2010-04-20

島田裕巳「葬式は、要らない」のアンサー本なんですが。

上記の島田氏の主張内容のカウンターとしては、かなり力不足ですね。
当然、日本で一番有名な宗教学者の島田氏のフィールドワークの力と論文構成力はハンパではないので。

こちらの本は玄侑宗久やドラッカー・孔子まで引用してるのですが、活字ポイントの大きさに比して、引用部分が多く、あなたのオリジナルが少なすぎません?と言いたくなる。

引用(理論)を積み上げていって、最後は、え、感情論でまとめる!?(;・∀・)みたいなのが繰り返されてます。

葬式が必要というのはわかったのですが、主張からすると、必要なのは告別式ということではないのでしょうか。
以下の二点を明確にしないと、話しが進まないと思います。

1.宗教儀礼としての葬儀、
2.社会性としての告別式

必要な理由として主に挙げられているのは「2」の方であり、これは島田氏も否定しいないし、心配しなくてもなくなることはないと思います。
持論はありますが、この場では割愛します。

あと、気になったのは、人生最後のセレモニーとしての葬式という言い方。

本人がゲームオーバーなのに、最後じゃないでしょう。もう、終わってますよ。

この点をどう思うんでしょうか。
つまり、著者の宗教観が記されていないということです。

映画「おくりびと」を絶賛しています。

私も「映画館」で観ています。

いい映画でしたね。著者と価値観を共有することはできますが、さりとて本書にはまったく説得力は感じませんでした。

※現役の葬儀会社の経営者なんですから、そりゃ葬式は不要とはいえないと思います。単純に。