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読書レビュー:「男気万字固め」  生涯現状維持らしいですww


ナイスな吉田豪の最初期の仕事集。

紙プロで度々名前を見ていたことは、こんなに有名になるとは思わなかった人。

プロインタビュアーと名乗っているが、まさしくその姿勢はプロだと思います。

まだ40過ぎなので、これらの仕事をしていた頃は20代最後くらいだったと思われます。

しかも、金髪のチャラい兄ちゃん。良く、錚々たる対象者がここまで乗って喋りまくってるなと感心します。

本人よりも本人の事を知っていると言われる、徹底した(偏執的?)下調べのなせる技なのでしょう。もっともイキ過ぎて気味悪がられることもあるみたいですが。

先日物故された真樹日佐夫先生や角川春樹さんなどには特に気に入られているようです。

中でも、山城新伍へのインタビューが最も気になっていたのですが、やはり面白い!!

小林亜星というのは意外なチョイスですが、またそのトンパチ振りもさらに意外でした。

この人選でも予想できますが、全体的に道義的にはどうよ?と思われることも多々あるのですが、みなさん、大枠では帳尻合わせて・・・いるかな?

もう少ししたら、吉田豪氏へのインタビューというリスキーな仕事をする人が現れないかなあとか思います。

新宿二丁目に住んでるらしい。ちょっとうらやましい。

読書レビュー:グレイメン   「マン」じゃなくて「メン」なんです


コチラからどうぞ。

マンガは好きなんですが、あんまり読んでない。

好きな(これは!っちゅう)作品は単行本で買います。

大体が読む(ヘビロテ)か読まないか。

どちらかというと一話完結が好きです。

だらだら続いてる「ドラゴンボール」とか「ワンピース」とかいうのには食指が動かない。

超続いてる「こち亀」は一話完結だし、「ゴルゴ」は作品的に凄すぎてなんも言えませんね。

「キン肉マン」に代表される、いきあたありばったりマンガが一番嫌いかな。

確固たる終わりを想定した上での人気要望による長期連載ならば、まだ良いのだが。

どんどん敵が強大化してきて収集つかないというか、初期との整合性もとれなくなってきてるのは、痛々しい。

かなり脱線しましたが。

グレイメン。

読了後知ったのだが、作者がまだ26歳とのこと。

なんという構成力・創作力でしょう。

脱帽です。

そう思って考えると、青臭さを感じさせてくれるところもまたいい。

佐野史郎が帯でも絶賛していますが、むべなるかな。

なんで、冒頭でマンガを持ちだしたかというと、なんかマンガを読んでいる感覚に近いんですよね。

スピード感なんかが。

これは「のぼうの城」なんかでも感じたことなんで、やはり作者の世代に関係するのかなと。

あと、最近のアメコミ原作のハリウッド映画の雰囲気。それも「ダークヒーロー」もの。近いとおもいます。

そして本作はちゃんと完結しちゃってるんですが、「2」があってもいいんじゃないか?

舞台が超近未来ですが、なんか意味はあるのかな。物語の時代とシンクロするまでに読んでみてはいかがでしょうか。

個人的にはR指定。

読書レビュー:『決定版 上方芸能列伝』 関西のお笑いを作ったのは、吉本ではなく実はこの人


澤田隆治。「リュウジ」だと思ってたら、正しくは「タカハル」らしいです。

でも、結構みんなサワダリュウジって言ってません?

まだご健在です。

若干評価が低いように思うんだけど。ご本人があまりアピールされないのかな?

秋元康レヴェルをはるかに凌駕するプロデューサーだと思うのですが。

つんくより若くしてダイラケや藤田まこと⇒てなもんやシリーズなどを生み出し、関西を全国区にしました。
スチャラカ社員・ダイラケ捕物帳・てなもんや三度笠等々・・・。

特に「てなもんや」は「全員集合」以前の怪物番組。

ゲストにブレイク前の若いドリフが出ていたのを思いだします。

澤田さんより歳はずっと下ですが、ダイラケを使っていたということは・・・。もう、お笑い界のドンですね。本書でも林会長を悪意なくオッサン呼ばわりしてますが。

その後、「花王名人劇場」を企画し、社会現象となった『漫才ブーム』を作り出します。
この『漫才ブーム』がなければ、ビートたけしはここまでのビッグネームになったでしょうか。

紳竜を大ブレイクさせたことにより、フォロワーとしてのダウンタウン以降の流れができました。

最初から大河でしたが、今やその流れはアマゾン川の様相を呈しています。

その経済効果たるや計り知れません。

よしもとはそれをうまく利用しただけであって(もちろん、その手腕も凄いのですが)、大本は澤田隆治プロデューサー個人が源流の堰を切ったと言っても過言ではないと思います。

たまたま今年は吉本百周年で、いろいろと企画が練られているようです。

ひとつ言えるのは、ラジオ・テレビ時代黎明期に最高の企画で貢献した澤田隆治には足を向けて寝られない、ということでしょうね。

この本でも錚々たる演芸人が登場するのですが、中で最も印象に残ったのが、先日物故した正司玲児とコンビを組んでいた正司敏江(としえちゃん)。

その他の名人や、やすきよのようにあまり語られる事がなかったからでしょうか。

その出生などが凄まじい。

「ホームレス中学生」やメッセンジャー黒田・次課長河本あたりが貧乏話でウケてますが、こちらは次元の違う貧乏話の聞き書き。

時代が違うと言ってしまえばそれまでですが、それをウリにはしていないし、ちょっと笑いにもできない・・・かな。ご本人は笑い飛ばしてますが。
あまり可憐じゃない(謝)版の「おしん」という感じです。

現在、笑芸人は養成所出身がデフォルトにはなってますし、それにはどうしても違和感を感じてしまうのですが、この本あたりはテキストとして活用できるのではないでしょうか。

(敬称略)

読書レビュー:ヤクザ的な人々に学ぶ負け知らずのススメ


ギリギリの処世術あれこれ。大変なフィールドワークです。

本書を読んでいて、ゲンナリするか、ファイトが湧いてくるか・・・。

どちらにしてもポジティブな方向であれば良いんですけどね。

「いいひと」だけじゃやっていけない。清濁併せ呑んだいいひとが理想ではあるんだけど。

とりあえず生き残っていかなくてはいけないし。

そう言えば、昨日も近所の池で釣りをしているオヤジがいた。いつも何人かいる。

スーパーカブに道具一式を積んで乗り付け、「立入禁止・釣り禁止」の看板の貼ってある柵を乗り越えて鮒だかなんだかを釣っている。

ただのわがままオヤジだよね。カッコ悪い。

テレビのニュースなんかでも時々やっている。

曲がりなりにも告発なんだろう。

震災の措置として無料になった高速道路を違法に使う輩。

河原で周りに人がいるにも関わらず、凶器を振り回して、殺傷能力ありすぎのゴルフボールを打ちまくっている基地外。

みんなヤクザ的というよりはガキ以下のわがまま人間。

ワルっていうのはピカレスク的な魅力もあるんだが、なんせ大多数は、目の前の利益や快楽のために周りに迷惑かけまくっている奴ら。悪いというよりはセコいんで、単にかっこ悪いとしか言い様がないです。

でも、惑星間レヴェルで価値観がまるで違っているので、どうしようもない。

確かにたくましさはすごいんだけど。

本書にも出てくる言葉だが、同じ事を昔観た映画の中で鶴田浩二が言ってた記憶がある。

ヤクザもんのことを言い表すのに「バカでなれず利口でなれず。中途半端じゃ尚なれず。」

確かに一端のおアニイさんは間違いなくアタマはいいです。

この本に出てくる様々な事例。現実から目を背けることなく、見習うべきは見習わないと・・・と思う。

読書レビュー:死ねばいいのに   諸手を上げてオススします!


なんというか、びっくりしました。超オススメ!!

なんだこりゃ。

面白い。おもしろい。怖い。悲しい。

こんな展開あるんだろうか。ジャンルは何だ?
ミステリー?サスペンス?ホラー? 初体験、新感覚。

それほどの作品数を読んでいるわけじゃないけど、京極夏彦の作品のなかでは一番面白かった。

ていうか、ここ最近の小説のなかでは最高の興奮を与えてくれました。

ほとんどがセリフのやり取りで、法廷劇の様に進んでいきますが、なんという緊張感。ぐんぐん惹きつけられます。

優れたフィクションはノンフィクションの深層を浮かび上がらせます。社会派エンタテインメントというか。

色々書きたいけど、なんか書くとネタバレになるので難しいね。

主人公(でしょうね)ケンヤ。登場シーンではまさかコイツが主人公だとは思わなかった。

すっげーウザいチャラ男だと思ってたら・・・いつの間にか自分の中ではヒーローになってました。

いつも通り、京極流漢字表現が散りばめられていますが、時代がリアル現代なので、ちょっと違和感が。というよりも、先述したようにディベートとも呼べるセリフのやり取りが(・∀・)イイ!!ので、ちょっと目を走らせるリズムを壊す嫌いがある、かもしれない。

でも、これがないとやはり京極作品ではないし。

タイトルから、てっきりネットに依存の心を病んでいるとしか思えない輩の救いようのないサイコ小説か?と思いきや、さにあらず。

まあ、読んでみてくださいという本です。

これは電子ブックの先駆けとして販売されたことでも有名です。

しかし、その他の極厚京極作品と違って、普通の(?)ページ数。すっごく読みやすいサイズでもあります。
せっかくページ数に関係ない電子ブックなのにね。

ある意味、言ってみたいね。

「ならさ。

—死ねばいいのに。」

読書レビュー:ちょいデキ! (文春新書)  「ちょい」を積み重ねたら、こうなるの?


確か、小飼弾さんが推してた本だと思います。

あの「サイボウズ」の社長ですね。

本書で自身も触れられてますが、あの「ボウズマン」はずっと胡散臭ぇと思ってました。
でも、グループウェアとしては先駆けであり、ほぼ国内では選択の余地がないようなポジションですよね。

徹頭徹尾主張してるのが、「自分のような普通の人間が」という姿勢。

自分のようなどこにでもいる凡人が30代で東証一部上場の企業のトップなんだから、ちょっとしたことでみんなそれくらいの事はできるんだよと言う、よくありがちな展開。

いやいやいや、逆に言うと、まず30代で東証一部上場企業のITベンチャー社長なんです。
絵に書いたような「IT社長」。

そりゃいろいろとあったでしょうが。

大阪大学から松下プロパーって、普通か?普通にエリートやん。

説得力にはかけますが、とりあえず、それは置いといてためになるところはピックしていきましょう。

飛ばし読みはしてませんが、かなりスピードアップして読みました。

常識と思っている視点を変えましょうという論調のポイントが多かったようです。

中でも、目標設定を低めに。

身の丈にあった目標設定を行い、確実にクリアしていこうと。

うん。なんか小学生の夏休みの宿題みたいですね。

あと、元々ナショナル(パナソニック)の社内ベンチャーだからか、やたらと松下幸之助の引用が多い。ボクも嫌いじゃないですが。

だったらPHP新書から出せば良かったのにね。

最初の目の付け所(グループウェア)が良かったし、仕事大好きな人で、なんだかんだ言って能力の高い人です。

余裕をかまして「ちょいデキ!」とか言われてもねえ・・・。

読書レビュー:吉田豪のセメント!!スーパースター列伝 (kamipro book’s)  んー、セメント


プロインタビュアー吉田豪氏がプロレス格闘技関連の一癖二癖五癖くらいあるチョイスでまとめた本なので、間違いはない。もっとも好事家向けではあるのだが。

かなり昔に「紙プロ」に掲載されたものの再録ではあるけれど、全く色褪せない。新鮮な面白さがある。

なんせ、最後の相手はマーシーだしwww すでに人間やめちゃってる感もあるマーシーではありますが。
やはり、時代の寵児ともてはやされた時代もあるし、もともといろんな意味で黒い(w)人だけあって、提供してくれるネタがめっちゃオモロイというかアブナイというか。さすがの吉田氏もかなり伏字のオンパレード。

サムソン・クツワダとか鶴見五郎とか・・・今の人(ファン)達は「歴史」としての認識だろうなあ。

プロレスラーらしく、どんだけ人生ガチンコやねん、という感じですね。二人とも。

あの故・サムソン・クツワダがこれだけオトコマエ(その上カール・ゴッチの直弟子!!)だとは知りませんでした、はい。

倉持アナウンサーのキラー振りを最初に発掘したのも吉田氏ですよねえ。確か。

この本「パート1」となってるけど「パート2」は出てるのかしら。

それと吉田氏はボクの大好きな山城新伍の若山・勝兄弟の本を文庫で再版プロデュースしてるんですよねえ。やっぱ、目が離せんは、吉田豪。

この男は実在する!

読書レビュー:ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法  100倍ラクかどうかはともかく


ちきりんさんは多くの読者をもつアルファブロガーです。

簡単なプロフィールからは、勝間さんともかぶります(?)が、勝間さんが常に己にプレッシャーを与えてるっぽいのに比べると、対極かもしれません。

また、一人称が常に「ちきりんは・・・」なので、ことさらユルイ印象です。それでいて、時として舌鋒鋭い切り口を見せてくれるところもある。

私には少なくとも価値観を共有できる人です。

現在、会社を辞めて特に仕事はしておられないそうです。

本やブログの執筆から収入はあるのでしょうが。

タイトルから、ストレスフルな生活をストレスフリーに生きるために、頭と体の体操でも書いているのかなと思ったけど、少し趣は違いました。

なんというか、最初から2/3程は、一般的な日常の再確認と整理。新しい視座からのまとめで構成されています。

そうなんです。もう、何が何だがわからなくなって、こんがらがっている日常を、冷静に分析して、まあ、落ち着いてお茶でも飲んで・・・こういうことでしょっていう感じですね。

で、頑張り過ぎない。現実不可能な(というよりは少し大変な)目標は立てない。ということなんですが、それは個々人が判断すればよいでしょう。

手元において、しんどくなったらパラパラとめくってみるのが良い本かも。

ベストセラーになった「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」や「カエルを食べてしまえ!」の日本語版という感じの本です。

あと、印象に残ったエピソード。

ちきりんさんのお母さんは、どんな時でも「良かった」ところを発見して、超ポジティブに考えられる人だそうです。

私もできるだけそうあろうと思っています。

昔、少女漫画の中で「ハッピーゲーム」という呼び方で紹介されていました。「ゲーム」と呼んでしまうところが、さらにポジティブでいいですよね。

読書レビュー:新書がベスト that’s right!


鈴木宗男氏と佐藤優さんの関係。ホリエモンと小飼弾さんの関係。小沢一郎氏と橋下徹氏の関係・・・はどうでもいいとして。

自分が買ってる人が「ん?」という人を全面擁護しているのは、なんというか悩ましい状況ですね。

で、その小飼弾さんの初めての新書。

その新書が「新書がベスト」でベスト新書から出したという、新書礼賛の一冊。

いや、ボクも前から新書ファンなんですよ。

弾さんは、本は全て新書にしろと言ってますが。できることならそうしてほしいですね。
装丁を統一して単価を下げるところに新書のメリットがあります。

そして、文庫版よりも少し大きく図版なども入れやすい。

これは書いていませんでしたが、文庫よりも経年劣化が少ないですね。紙質によるのでしょうが、ヤケにも強いし、背割れなんかもほとんどないです。

二冊くらい持ち歩いてもかさ張らないし。

まさに新書がベスト。

弾さんの指南する読書法は勝間さんよりは現実的だけど、やはり本は買えと。

でも、現実的んは難しいんですよね。

新書は安いけど、それでもランチ代はします。

もちろん、一食削ってもいいけど。

ハードカバーと比べて収納スペースもいらないとはいうけれど、やっぱりねえ。

まあ、もうしばらくは図書館と併用していこう。

でも、この本は買う価値あり。

しかし、弾さんは相当に難解な本を読みまくっているはずなんですが、自分で書く本はひたすら平易に徹しています。
難しいことや、ポイントを簡単に。それこそが一番難しいんだと、ご自分でも言ってますが、まさにそうだと思います。

あと、日本で出版されている各新書を全部詳しく紹介しています。ライバルなのに。ベスト新書(KKベストセラーズ)も太っ腹!!

読書レビュー:1Q84  読了、疲れた


自虐的な評価よりもずっと魅力的な、でも恐い、青豆さんと長い旅をすることになります。

ご存知の通り、ハードカバーで3巻。文庫版で6巻の長い小説です。

いろいろと意見はあるでしょうが、一言で言って冗長に過ぎる感が・・・。

最近のものでは「海辺のカフカ」が上下巻ですね。でも、一冊のボリュウムはこちらよりも小さかったように思います。

内容的にこれ(カフカ)くらいが丁度良いように思います。

特にBOOK2では中だるみ感が。

カフカ的な手法で時空が入り乱れながら進んでいくので、ストーリーがわからなくなります。

読後、そういえば、あれは・あの件はどうなったんだ?みたいなのがいろいろと。

すべての謎解きをしなければならないということもないわけですが。

おもしろいのは面白いと思うけど、あまり期待もしないほうがいいかも。

作品の重厚さに比して、読後感があまり書けない。